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第93話

 第三層の探索を終え、第四層へ進む。

 前回の反省を生かし、採掘や魔石の回収を行う時にも、必ず一人は周囲を警戒するようにした。

 烈と静が前衛。

 いなりが索敵。

 俺は後方から全体を確認する。

 小鬼が現れても、もう不意を突かれることはなかった。

「静、右から来るぞ!」

「はい!」

 静が盾で小鬼の剣を受け止める。

 その横から、烈が大太刀を振り下ろした。

「これで終わりだぜ!」

 小鬼は光の粒となって消え、床に魔石を残す。

「次、左から二体です」

 いなりの警告に合わせ、四人で陣形を整える。

 前回よりも、明らかに安定して戦えていた。

 この調子なら、第四層は問題なく回れそうだ。

 探索を続けていると、ダンゴムシを倒した場所に、いつもの魔石とは違うものが落ちていた。

「あるじ。何か光っています」

 いなりが指差した先に、小さな宝石が転がっている。

「宝石だな」

 以前手に入れたトパーズに似ている。

 魔石の代わりに落としたのだろう。

「また珍しいものが出たな」

 宝石を拾い、ポーチではなく、破損しないようリュックの中へしまう。

 さらに探索を続け、小鬼を倒した時にも、見慣れないものが残った。

 手のひらに収まるくらいの小さな瓶。

 中には、赤みがかった液体が入っている。

「なんだ、これ」

「飲み物ですか?」

 烈がのぞき込む。

「勝手に飲むなよ」

「飲まないって!」

 ゲームなら、体力を回復するポーションといったところだろうか。

 けれど、見た目だけでは中身が分からない。

 毒という可能性もある。

 正体不明の液体を試しに飲む勇気はなかった。

「これは、買い取り所で調べてもらおう」

「その方がよいと思います」

 静もうなずく。

「いなりにも分からないか?」

「魔力が入っていることは分かりますが、何に使うものかまでは分かりません」

「それなら、なおさら使わない方がいいな」

 瓶を布で包み、リュックの中へ入れた。

 第四層の探索を終えた時点で、時間と三人の様子を確認する。

 疲れて動きが鈍くなっている者はいない。

 けれど、今日は第四層を安定して回れるようにすることが目的だった。

「第五層は、明日以降にしよう」

「今日は行かないのか?」

 烈が少し残念そうに尋ねる。

「ああ。第四層を問題なく回れることは確認できた。今日はそれで十分だ」

「分かったぜ」

「無理をしないのが一番です」

 静がうなずく。

「あるじの判断でよいと思います」

「じゃあ、戻ろう」

 俺たちは、来た道を引き返した。

 今日の収穫は、魔石五十二個。

 宝石が一個。

 正体不明の液体が入った瓶が一個。

 それに、第三層と第四層で採れた鉄鉱石が六個。

 魔石の数がいつもより二個少ないのは、ダンゴムシが宝石を、小鬼が液体入りの瓶を落としたためだろう。

 宝石と瓶がいくらになるのか。

 それ以前に、瓶の中身が何なのか。

 いつもの買い取りとは少し違う結果になりそうだった。

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