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第92話

 第一層と第二層を順調に通過し、第三層へ入る。

 ここからは魔物を倒すだけでなく、採掘できる場所を探しながら進むことになる。

 発掘地点を見つけるためにも、重要になるのは魔力操作だ。

 俺は目の周辺へ魔力を集中させながら、通路の壁を確認していく。

 けれど、まだ自分だけで発掘地点を見つけることはできていない。

 今のところ、最初に見つけられるのはいなりだけだ。

 いなりが場所を見つけ、その周辺を俺たち三人が魔力を込めた目で確認する。

 そんな流れで訓練を続けていた。

「あるじ。あそこにあります」

 いなりが正面右側の壁を指差した。

「分かった」

 俺は目へ魔力を集め、指差された周辺をじっと見る。

 普通の岩壁にしか見えない。

「うーん……」

 視線を少しずつ動かしながら、魔力の流れを意識する。

 すると、壁の一部がぼんやりと光り始めた。

「あっ、あった」

 光をはっきりと認識した瞬間、頭の中に声が響いた。

【スキル《魔力視》を習得しました】

「おっ」

 突然の通知に、思わず声が漏れる。

「あるじ、どうしましたか?」

 いなりが俺の顔をのぞき込む。

「スキルを覚えた」

「何のスキルですか?」

「《魔力視》だって」

 俺は改めて壁を見る。

 さっきまでは目へ意識して魔力を集め、じっと凝視しなければ見えなかった。

 けれど今は、少し意識するだけで、採掘地点が淡く光って見える。

「すごいです。おめでとうございます、あるじ」

「ありがとう」

「何か変わったのですか?」

「スキルを覚えたら、前みたいに長く凝視しなくても見えるようになったよ」

「では、これは見えますか?」

 いなりが右手を前へ出した。

 手のひらへ魔力を集めたのだろう。

 いなりの手が、薄い光に包まれて見える。

「いなり。手に魔力を集めた?」

「はい」

 いなりが嬉しそうにうなずく。

「あるじにも、魔力そのものが見えるようになったのですね」

「みたいだな」

 発掘地点だけを見つけるスキルではないらしい。

 人や物に集まっている魔力も確認できるようだ。

「透様。俺たちも、そのスキルを覚えられるのか?」

 烈が期待した顔で尋ねてくる。

「たぶん覚えられると思う」

「本当か!」

「俺も発掘地点を見つけようと、何度も目へ魔力を集めていたら覚えたからな」

 静も壁を見つめながら、目の周辺へ魔力を集めている。

「つまり、僕たちも同じ訓練を続ければよいのですね」

「ああ。烈と静も、今日から特訓だ」

「任せろ!」

「承知しました」

 二人は早速、光っている場所を見つけようと壁を凝視し始めた。

「烈。力みすぎると、顔が怖くなってるぞ」

「見つけようとしてるんだよ!」

「目に力を入れるのではなく、魔力を集めるのですよ」

 静が冷静に指摘する。

「分かってるって!」

 本当に分かっているのかは怪しい。

「二人とも、訓練は移動しながらにしよう。ここで立ち止まってたら探索が進まないからな」

「はい!」

 周囲に魔物がいないことを改めて確認し、俺はピッケルを取り出した。

 《魔力視》で見ると、掘れる範囲が以前よりもはっきり分かる。

 光っている場所だけを狙って掘ると、今日も壁の中から鉄鉱石が三個転がり出てきた。

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