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第90話

 昼食を食べ終えると、みんなで後片づけを手伝った。

 食器を台所まで運び、俺と烈が洗う。

 静が洗い終わった食器を拭き、いなりは母さんと一緒に調理器具を片づけていた。

 全員で手分けしたおかげで、後片づけもすぐに終わった。

 居間へ戻って少し休んでいると、母さんが押し入れから大きなタオルケットを出してきた。

 それを居間の床へ広げる。

「お昼寝するんでしょう? どうぞ」

「ありがとう、母さん」

「午後三時になったら起こすから、それまでゆっくり休みなさい」

「はーい」

 烈は待っていましたとばかりに、タオルケットの上へ転がった。

「俺様、ここ!」

「烈。そんな真ん中に寝ると、ほかの人が寝られません」

「じゃあ、静はこっちで寝ればいいだろ」

「少し詰めてください」

 静に押され、烈が端へ移動する。

 俺も空いている場所へ横になった。

 すると、いなりが俺の隣へやってくる。

「あるじと一緒です」

「隣で寝るのか?」

「はい」

 いなりは嬉しそうに答えると、俺の腕を持ち上げ、そのまま頭の下へ入れた。

 俺の腕を枕にするつもりらしい。

「寝にくくないか?」

「大丈夫です。あるじの腕、落ち着きます」

「そうか」

 いなりは身体を丸めるようにして、俺のすぐそばへ寄ってきた。

 柔らかい狐耳が腕へ触れる。

 尻尾も、俺の足へ軽くかかっていた。

 こうして見ると、本当にかわいい。

 初めて作った料理を褒めてもらえたのが嬉しいのか、いなりは満足そうな顔をしている。

「おやすみなさい、あるじ」

「ああ。おやすみ」

 少しくらい、いなりの寝顔を見ていようと思った。

 けれど、朝からキャンプ用品の清掃をしたせいだろうか。

 思っていた以上に眠気が強い。

 いなりの温かさを腕に感じながら、俺の意識は急速に遠のいていった。

 午後三時になれば、母さんが起こしてくれる。

 そう思ったところで、俺は眠りへ落ちた。

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