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第72話

 その時だった。

 ピンポーン。

 玄関のチャイムが鳴る。

「はーい」

 母さんが玄関へ向かう。

 俺も後を追うと、そこには藤堂さんと、東中学時代の担任だった佐藤先生、そして初対面の男性が立っていた。

「佐藤先生、お久しぶりです」

「おお、小森君。元気そうだね」

「はい。今日はどうされたんですか?」

「二学期から編入予定の烈君と静君へ挨拶に来たんだ。

 学校生活の説明と、必要な教材も持ってきたよ」

 すると隣の男性が一歩前へ出る。

「申し遅れました。

 東中学校校長の井上です。

 今日はご挨拶も兼ねて伺いました」

 母さんが軽く頭を下げる。

「失礼いたしました。

 どうぞ中へお入りください」

 藤堂さんが車の方を振り返る。

「教科書や制服などは車に積んできていますので、運び込みますね」

「藤堂さん、俺も手伝います」

「助かります」

 俺といなりで教材や制服の箱を運び、烈と静の部屋へ置いていく。

「いなりもありがとう」

「烈と静の荷物です。

 運ぶのは当然なのです」

 荷物を運び終え、俺はふと思った。

「いなりの学校は、いつ決まるんだろうな」

 いなりがこちらを見上げる。

「いなりも、あるじと同じ学校へ通いたいです」

「西海南高校に?」

「はい。

 宇迦之御魂神様にもお願いしたのです」

 思わず笑ってしまう。

「高校は、いなりがもう少し大きくなってからだな」

「むぅ……あるじが子ども扱いするのです」

 頬を膨らませるいなりがかわいくて、思わず頭を撫でてしまった。

 その時、居間から声が聞こえてくる。

「本日はありがとうございました」

 どうやら面談が終わったようだ。

 烈と静が戻ってくる。

「どうだった?」

「夏休みの宿題をしっかり終わらせるように、と言われました」

「じゃあ決まりだな。

 毎日午前中は勉強タイム。

 午後はダンジョン探索だ」

「「「はい!」」」

 夏休みだからといって、毎日ダンジョンへ潜るわけじゃない。

 午前は勉強。

 午後はダンジョン。

 そんな新しい生活が、今日から始まった。

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