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第64話
午後。
注文していたベッドや机が届いた。
配送業者さんに運び込んでもらい、親父と一緒に配置を確認する。
客間には、烈と静用の二段ベッド。
そして、いなり用のシングルベッド。
三人分の新しい寝床が並ぶと、今まで空いていた部屋が一気に賑やかになった。
ただし。
机は三つ注文したはずなのに、そのうち一つは俺の部屋へ運ばれてきた。
いなり用の机らしい。
「母様に、一緒に寝るのはだめと言われちゃいました」
いなりは少しだけ残念そうに言った。
「ただ、勉強は一緒にやればいいでしょうって。それで、あるじのお部屋に机を持ってきました」
俺の部屋の隅に置かれた小さめの机。
白い天板に、赤い取っ手の引き出しがついている。
「邪魔でしたか?」
「いや。いなりと一緒に勉強できるなら、俺も嬉しいよ」
「はい♪」
いなりは、嬉しそうに笑った。
机の前に座り、天板をそっと撫でる。
自分の場所ができたことが、やっぱり嬉しいんだろう。
さて。
いなりは、どこの学校へ通うことになるのだろうか。
宇迦之御魂神様は、伏見稲荷大社で決めると言っていた。
夏休みのお盆。
伏見稲荷へ行く日が、少し楽しみになってきた。




