↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/55

第54話

 藤堂さんたちの車で家へ戻る。

 家に着くと、母さんが玄関で出迎えてくれた。

「おかえりなさい。お話はどうだった?」

「土地を借りて、柵や監視小屋を作る話だった」

「そう……」

 母さんは少し不安そうに、親父を見る。

 親父は短くうなずいた。

「安全のためだ。契約の内容も確認したが、問題はなさそうだった」

「そうなのね」

「それと、今まで透が集めた魔石を、市役所に預けることになった」

「魔石を?」

「ああ。買い取りの手続きに回すらしい」

 俺は二階の自分の部屋へ向かい、引き出しの奥へしまっていた小さな袋を持って戻った。

 中には、土偶を倒すたびに手に入れた小型魔石が入っている。

 テーブルの上へ、少しずつ並べた。

 くすんだ茶色の小石。

 けれど、どれも内側から淡く光っている。

「一、二、三……」

 辻元さんが数を数え、藤堂さんが横で記録していく。

「全部で、四十六個ですね」

「四十六個か」

 藤堂さんは、記録用紙へ数を書き込んだ。

「暫定価格で計算すると、九万二千円になります。ただし、正式な買い取り手続きと振込は後日です」

「分かりました」

 辻元さんが携帯用の小型プリンターを取り出し、預かり証を印刷する。

 そこには、数と特徴、預かり日時、それから採取者として俺の名前が記載されていた。

 母さんが内容を確認し、保護者欄へ署名した。

「こちらが控えになります」

「ありがとうございます」

 母さんは、受け取った預かり証を大切そうに見た。

 藤堂さんは、黄色い石が入った小袋も一緒に確認する。

「こちらについては、鑑定の結果が出るまで金額は決められません」

「はい」

「ただ、結果が分かり次第、必ず連絡します」

「お願いします」

 魔石の袋と、黄色い宝石のような石。

 二つは藤堂さんたちの持つケースへ収められた。

 少し前まで、俺といなりだけが知っているダンジョンの戦利品だったもの。

 それが今は、市と国の管理する資源として扱われようとしている。

 少し不思議な気分だった。

 でも、それが悪いことだとは思わない。

 ダンジョンが危険な場所である以上、誰かが管理しなければならない。

 そして、そこから得られるものにも、きちんと価値をつける必要がある。

 藤堂さんたちは、預かり証の控えを渡し終えると、帰る準備を始めた。

「では、小森さん。本日はありがとうございました」

「こちらこそ」

「契約書については、本日中に最終確認をお願いします。もし気になる点があれば、すぐに連絡してください」

「分かりました」

 玄関先で、藤堂さんと辻元さんを見送る。

 車が見えなくなってから、親父が俺の肩を軽く叩いた。

「これで、しばらくダンジョンは工事待ちだな」

「ああ」

 少し残念ではある。

 けれど、二週間あれば鍛錬もできる。

 魔術師や僧侶のこと。

 魔力の扱い。

 いなりとの連携。

 やることはいくらでもある。

 それに、柵と監視小屋ができれば。

 裏山のダンジョンは、もう俺たちだけの秘密の場所ではなくなる。

 その変化を少し寂しく思いながらも。

 俺は、次に進むための準備を始めようと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。