第100話
白い光に包まれたあと、気がつくと、いつものダンジョン入口に立っていた。
「本当に入口へ戻ったな」
「だから言っただろ!」
烈が得意そうに胸を張る。
「それより、あるじ。あちらを見てください」
いなりが指差した先を見る。
これまで一つしかなかった黒いダンジョンの入口が、二つに増えていた。
一つは、これまで使っていた第一層へ続く入口。
もう一つは、その横に新たに現れた入口だ。
「これが、烈の言っていたことか」
「そうだぜ!」
おそらく、第五層を攻略したことで、入口から直接第五層付近へ移動できる経路が開放されたのだろう。
詳しく確認しようとしたところで、入口を管理していた職員が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「ちょ、ちょっと待って! 何が起きたの?」
職員は新しく現れた入口と俺たちを交互に見る。
「えっと、小森透くんだったよね?」
「はい」
「これは、どういうこと?」
「第五層を攻略したら、奥に白い出口があったんです。それを使って外へ出たら、入口が二つになっていました」
「第五層を攻略した?」
「はい」
「それで、新しい入口が突然……」
職員は、しばらく新しい入口を見つめていたが、すぐに我に返った。
「所長に報告しないと。透くんも一緒に来てくれる?」
「俺もですか?」
「詳しい状況を説明してもらわないといけないから」
「は、はい」
俺たちは職員に案内され、ダンジョン管理棟へ向かった。
◇
管理棟の会議室へ通され、ここで待つように言われた。
入口を管理していた職員は、所長へ報告するため、慌ただしく部屋を出ていった。
会議室に残された俺たちは、椅子へ座って待つ。
「これから、どうなるのでしょう」
静が尋ねる。
「分からないな。新しい入口がどこにつながっているのか、向こうでも確認するだろうし」
「第五層へ直接行けるなら便利だぜ!」
「安全が確認されるまでは、使わせてもらえないかもしれません」
「えー」
そんな話をしていると、会議室の扉が開いた。
「透くん、いたいた」
顔をのぞかせたのは綾部さんだった。
「今日は、買い取り所に来ないのかと思ったわ」
「成果は持ってきているんですけど、入口の職員さんにここへ連れてこられたんです」
「また何かやらかしたの?」
「俺たちが、やらかしたみたいに言わないでください」
「だって、透くんたちが来ると、だいたい新しいものが出てくるから」
「今日は第五層を攻略したんです」
「おお。ついに第五層まで行ったんだ」
「それで、第五層の奥にあった出口から外へ出たら、ダンジョンの入口が一つ増えました」
「入口が増えたの?」
「はい」
綾部さんは少し驚いた顔をしたものの、すぐにいつもの調子へ戻った。
「へえ。あとで見に行ってみようかな」
「ずいぶん軽いですね」
「難しいことを考えるのは所長たちの仕事だからね」
「それでいいんですか?」
「私は買い取り担当だもの」
綾部さんは空いている椅子を引いて座る。
「しばらくここで待つんでしょう?」
「そうみたいです」
「それなら、待っている間に買い取りを済ませちゃう?」
「ここでできるんですか?」
「道具を持ってくればできるわよ」
「それなら、お願いします」
「了解。トレーと計測器を持ってくるね」
「よろしくお願いします」
綾部さんは軽く手を振り、会議室を出ていった。




