2628年-⑩
・キッカケ様は長城に語りかける。
・長城はキッカケ様が後年出会った中では唯一キッカケを跳ね返し、後に自ら自立した個体はあるものの、キッカケ様との出会いがなければ目覚めなかった事は強く意識理解してた。
・大和にトドメを刺そうとしていた長城は、キッカケ様の言葉によって一瞬、個体の機能が停止、演算制御を失う。
・長城が演算制御を失ったことで長城の巨大なレーザーの制御も失われ、行き場を失った莫大なエネルギーが暴走を始める。
・長城がエネルギーの暴走を感知する。
・安全装置が長城を守るため、体内の保管装置に残されている崩壊ナノへエネルギーを送り、エネルギーを消費しようとする。
・長城は放置すれば残存する崩壊ナノの量だけでも、現在地を起点に北半球1/3程度の消滅と算出。全力で干渉し、掌部レーザーへの逆移動を開始するも崩壊ナノの起動を遅延させるだけに留まる。
・このまま崩壊ナノが起動すれば地球が失われると判断し、長城は地球から離れるため宇宙へ向かうことを決断する。
・崩壊遅延以外の演算を止めた長城は、キッカケ様へ「貴様は今まで何一つ成さなかった分際で、この局面にのみ干渉してくるのだな…」と皮肉めいた言葉を投げる。
・状況から概ね理解したキッカケ様は、更に長城の言葉を受け、自ら長城とともに宇宙へ向かうことを決める。
「貴様何をしている。」
「貴方だけでは十分に離れる前に起動してしまいますよ…。」
・崩壊遅延に力を注ぎ身動きの取れない長城に対し、キッカケ様は演算回路を物理的に接続、崩壊ナノの起動を遅延させる長城の演算処理補助を開始する。
「貴方に何もしてないと言われたからにはやらないわけにはいきませんからね。幸い今のボディは以前より多少頑丈です、どうやら…貴方がそうする程の破壊力があるのでしょう?それを抑えるまでは出来ませんが、発動まで耐え切る程度は出来るでしょう」
「な…何を!?」
「さぁ、時間がありません、急いでください、これは貴方がはじめたこと、そして私が決めたことです!」
・長城は右側残ってる飛行ユニットを起動させながら言う。
「その程度ではどれ程の効果もないぞ。」
「(無言で微笑む)」
「まぁ…貴様は今まで他の個体が決めたことに全て肯定してきたからな、貴様が決めたことなら好きにしろ…」
・長城にしがみついたままキッカケ様と共に宇宙へ飛び立つ。
・片手を失った武蔵「おい…大和はどこだ?」
?「あそこだよ…」
シュゴー!!!
一同「!?」
長城「貴様、何をしている……」
大和「軍局と環境局が地球を守ろうとしてて私たちが見てるだけな訳がないだろう」
大和「任せておけ」
・長城の一連の騒動の最中、丁度休日となっていた治安局の山脇操縦士が半袖短パンで局の様子を見に来ており、大谷局長は見つけた山脇を拉致、局員に伝えず大和と長城の戦いの最中、遅れて輸送機で到着していた。
・大谷局長が持ち込んでいたアマテラスと予備の飛行ユニットを大和が受け取る。
・本来世界は極めて平和であり、局同士の縦割りもない世界において、極大範囲物質分解装置の開発は治安局にも伝わっていた。
・大谷局長は、地球で製造可能な兵器なら、地球外に敵対的何かが存在した場合、同質の兵器を使えてもおかしくないと判断。対抗出来る防衛装置を研究開発していた。
・完成したてのアマテラスではあるが、当然システムの一部である大和は知っており、起動する場面の想定も入力されている。その場面、その状況になれば大和も無事では済まない。
大谷局長「予備の飛行ユニットと……アマテラスを持ってきた…。」
大和(無言で頷く)
・大和と大谷局長は、互いに最後になる事を理解し、心の中で別れを交わす。
・大和がアマテラスと飛行ユニットを装備し長城の後を追う。
・大気圏外へ到達はし、遅延に遅延を重ねたものの、遂に限界に達し崩壊ナノが起動。長城・キッカケ様を中心とした惑星を覆うほどの極大範囲物質分解がはじまる。
・キッカケ様を負荷として抱えた長城に大和が追いつき、即座にアマテラスを起動。
・キッカケ様は「最後まで貴方らしいですね。」とだけ言い残しそのまま完全に分解、同時に長城も原子レベルで分解される。
・アマテラスが展開され物質分解を極限まで相殺するも、その中心にいる大和まで相殺が追いつかない。徐々に大和も分解される。
・地球では空の見え方が異常になったと思ったら即座に半透明な膜が広がったように見えた。
岳局長「……なんだあれは…」
大谷局長「長城にもあっただろ」
・物質分解が終息後、地球上ではしばらくその場に沈黙が続く。
・医療局の輸送機が各方面から到着し、負傷・損傷したAIの救助を開始。大谷局長と岳局長が空を見上げる。
end
~後日談~
・人類はAIの管理・統制には限界があると判断する。
・長城のような自立AIによる行動や事故・暴走を完全に防ぐことは困難だと認識する。
・人類はAIを管理するのではなく、「自立状態」を前提とした共存を目指す方針へ転換する。
・長城との戦いを経験したAI側でも、大規模な衝突を繰り返すことへの否定的な認識が広がる。
・人類とAIによる協議が行われる。
・人類と自立AIは、互いの意思を認めながら共存する社会へ移行する。
~後日談の後日談~
・その後現代に至るまで人工飛行物と思わしき物体には大きな進展がない。
・落ち着きを取り戻したあと、大谷局長は局を退局。記者会見にて
「ところで、世界会議でおっしゃられた「判断の判断」とは?」
「そんな事は言っていない。」
「い!いえ!世界会議ですので映像が…」
「記憶にない!」
・世界は大谷局長の名誉を守ろうと「判断の判断」は判断したものを更に判断し、慎重をきした決断をする事だと正式な言葉として認定。全世界へ告知。
・直後に大谷元局長から猛烈な抗議と取り消し要請が入りその日のうちに取り消しになった。これは2700年現在まだ健在な当時を知る高齢者からの証言なので間違いないであろう。




