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異世界アウトドア紀行 ~食べて作って、愉快な仲間と気ままな冒険~  作者: 深嶋ねむり
第1章 -出会って、食べて、狩りをして-

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閑話

 宴の帰り、リクとラフィーネが泊まる部屋。


 カイルが持ち寄ったエールによって、イビルディアー討伐記念の宴は夢心地に終わった。

 久しぶりの酒で楽しい気分になれたし、意外にもラフィーネがエールの味を気に入ってよく飲んでいた。


 もし彼女の酒癖が悪くて暴れたら……

 なんてまずい状況が過りもしたが、新しい味を知りたい純粋な気持ちを無碍にも出来ない。


 結果的にいつもよりウトウトするのが早かったくらいで、最後には無防備にもぐっすり寝てしまった。


 揺らしても起きないくらいには眠りが深かったので、仕方なく部屋まで背負って戻ったのである。

 カイルが分かれ際に何か余計な事を言っていた気もするが、そこはスルーを決め込んだ。


 

「よいしょっと」

 リクはラフィーネを彼女のベッドに降ろして、丁寧に横たわらせる。


 背負ってみて分かったが、ラフィーネの身体は本当に軽い。

 彼女を人間として見るなら、少し小柄で華奢な女の子と言う印象だが、体重もそのスケールに収まっている。


 イビルディアーを一撃で沈めたあの力は、いったいどこから来たのだろうか。


 今さらな疑問を浮かべたりしながら、横たえたラフィーネに布団をかけようとした時、彼女の手が何かを探るように動く。

 それはリクの服をキュッ——と掴んで、抗えない力で引き寄せた。


「え、ちょ!?」

 急に視界が横転したリクの目と鼻の先に、ラフィーネの小さく綺麗な顔がある。

 引っ張り込んだ当の本人は、唇からすぅすぅと寝息を立てていた。


 リクは当然、自分のベッドで寝るつもりだったので、起こさないようゆっくり離れようとする。


 しかしラフィーネのベッドから出られそうかと言う直前に、今度は視界が3周くらい回る。

 その瞬間は宙に浮いてしまうほど、急激な回転だった。


 目の前にはまた、気持ちよさそうに寝息を立てるラフィーネの顔。


 リクの四肢はスマキみたいに、まとめて何本かの糸で括られていた。

 

 完全に自由を失ったわけではないが、逃れるのは困難だ。

 転がり出るのも防ぐかのように、ラフィーネが両腕で抱き枕のように掴んでいる。


 痛いとか苦しいとかはないのだが、徹底的に逃げを塞がれているのだ。


「ちょっ、ラフィーネ! さすがに離せって」

 もう起きないようにとか悠長なことも言っていられないので、身体を揺らしながら普通に声をかける。


 だがその度に……


「んんっ、リク……お腹いっぱい、しか肉」

 全く起きる気配がないし、より密着するように抱き着かれている気がする。


「いい、におい」

 夢に見てる鹿肉の話だよな? と思いつつ、鼻先を首筋に這わせながら言われると、心臓が騒いで治まらない。

 リクの顔には彼女の髪や耳の辺りが擦れて、ほんのりと甘い香りが鼻腔をくすぐる。


 もはやリクには成す術がなかった。

 抵抗すれば引き寄せられ、逃れようにも糸で自由に身動きが取れない。


 もう心を落ち着かせて、ラフィーネが起きるまで心頭滅却するしかない。

 なんて思った矢先に、今度は彼女に顔を埋められていた首筋がぞくりとする。


 ——暖かいような、少し湿ったような感触。


「おい、しい。……はむはむ」

 角度的に見えないが、首筋を柔らかい唇で食まれていた。

 痛みはないが、ほとんどキスされてるような感触に身体が震える。


「うっ、ちょっと!」

「ロースト? はむ……アヒー、なんだっけ。はむほむ」

 もう頭の中がどうにかなりそうだった。

 こんなに密着しているのに押すも引くもままならず、これを甘受するしかない。


 リクはその夜、ラフィーネが再び深く眠るまでその感触に耐え続けた。



 翌朝。


「リク、おはよ」

 ラフィーネは寝ぼけているのか、お互いがどんな距離感で密着していたのか、いまいち分かっていない様子だった。

 

 対するリクはようやく解放された安堵と、ほとんどまともに眠れなかった疲労でげっそりしている。

 戦っていたのだ。いろいろなものと。


「悪いラフィーネ。昼までちょっとゆっくりさせて欲しい……」

 リクはふらふらと起き上がり、自分のベッドに倒れ込んだ。


 今後ラフィーネに酒を飲ませるのは、絶対にやめよう。

 固く誓うリクであった。

個人的にちょっと"攻め"要素のあるヒロインが好きです。


1章本編を含め、ここまでお読みいただきありがとうございました!


現在2章のプロットは出来て、執筆も進めております。

少々期間は空きますが、ゆるゆるとお待ちいただければ幸いです。


★やブクマ、感想などもいただけたら大変喜びます!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

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