パーティでの初仕事
「どれにしっよっかなー。常設で肩慣らししてもいいけど、依頼受けてもいいわよね?」
「これは?」
「うん。いいと思う」
「そうだな。あとこれと…」
「あ、いい組み合わせだね。これおいしいし」
いつもの冒険者ギルドにて。
いつもは必要最低限のやり取りだけで仕事に出るけど、今日は4人もいるので会話がはずむ。
というか私は聞いているだけだけど。
昨日の件があって、ギルドに行きにくかったから正直助かったという感じ。
「リアっちはいつもどんなの受けてたの?」
ベルが私の顔を覗き込んで聞いてくれた。
「狩猟系。主にお肉屋さんとか食事処に卸す系の」
「まんま、狩人の仕事してたんだ~」
「うん。他の仕事はあまりした事なくって。一人で受けられないのもあるし」
「護衛系とか典型的だよね。女の子一人でって怖いし」
「リアの評判、街でいいんですよ。狩ってから丁寧に下処理してくれてるからって」
ウリセスがフォローを入れてくれる。どこでそんな評判を聞いたんだろう?
「ほほぅ。それは今夜の食事のメニュー的に助かりますな。期待しちゃう」
今日の食事当番らしいベルがニコニコと言う。
「毎度毎度、消し炭みたいにするのだけはやめてね」
「いや、だってね?生でお腹壊すよりはね?」
「程度があるわよ。じゃ、受付するわよ」
モアシンさんがベルに呆れながら、依頼票をまとめて持つと、受付に向かった。
そっかー。パーティで仕事受ける場合、受付カウンターに私はいかなくてもいいんだ。
ガタイのいいモアシンさんが受付に行くと、それだけで威圧感があるので、受付嬢達も何か押され気味だ。
「んじゃ、依頼受託者は「ビターズ」のこの4人でお願い。ええ、わかってるわ。他に1年前と変わった所とかないのよね?じゃ早速仕事に行ってくるわ」
受付嬢の方へぞんざいに手を振ると、さっさと受付をすませてしまった。
まるでシッシって手を振っているみたい。
私が受付する場合と違ってスムーズで早い気がする。
「ププ。威圧されてるみたいって思ったでしょ?威圧かけちゃってるから」
ベルがこっそり教えてくれた。
「どうせまた、ウリセスを引っ張り出そうと、あーだこうだ言いだしたんでしょ?めんどくさいのよねぇ」
「貴重な時間を取られたくないからね。」とウリセスまで同意。
アイドルならファンサービスも仕事なんだろうけど、ウリセスさん、ただの一冒険者だからなー。
いちいち騒がれるのも面倒なんだろうな。
イケメンのせいで他人の無遠慮な視線に晒されたり、もめごとに巻き込まれたり、疲れる事もあるだろうし。
「元の職業とか人前で吹聴されましたからね、暫くは会話したくないです。」
う、うん。怒ってたんだね。まぁ当然か。
それに、私も「イケメンだからつい見ちゃう」のは不可抗力だって思ってた。ごめん反省。
今回も彼らに助けられた。
お礼は返さねば。
「いやぁ大漁、大漁。」
「リアっち、本当腕がいいねー。ずーっとソロだったって聞いたけど、やっていけたわけよね」
4人で受けた仕事は何の支障もなく終了し、何というか皆さん人の間合いを読むのが上手いし、新米の私の事も頼ってくれてちゃんと仕事をさせてくれる。
私も、他の3人の動きを可能な限り読んで邪魔しないようにしてたけど、「ここに援護が欲しい」っていうのをちゃんと伝えてくれるので色々悩まなくてすんだ。
「遠距離援護あると楽だわー」
「そうそう、間合いが取れるからねー」
「間引いてくれるので、集中できて楽できたな」
「リアっち視野も広いしねー」
褒めすぎである。
こそばゆい。
そして楽しいお仕事の後は嫌な受付だ。
「あなたねぇ!。上位冒険者さんが組んでくれるからって楽なんかしてると…」
ガーネットさんが受付から出てきて絡まれた。
「ストップ!」
モアシンさんが、ガーネットさんの頭を押さえ、こちらに突進しようとするのを抑え、次に肩に手を置き、後ろ向きにくるりと回し背中を押し、カウンターに戻す。
「貴女のお仕事場所はあちらでしょ~。だめよ。仕事途中で放棄してちゃ」
流れるような動きだった。ガーネットも意表を突かれてびっくりしているようだ。
「パーティ内の事はパーティ内でやりますんで。どうもご心配ありがとう。でも口出しは結構ですので」
ベルがぴしゃりと告げると、さすがのガーネットもちょっとはひるんだ様だ。
「さて俺達は、解体所に行きますね」
「よろしくね~。ウリセス!リアっち」
「なんであの子がウリセス様のパーティにいるの?なんで?」
「はいはい。貴女の仕事は、依頼票と達成報告の確認ね。あの二人はもって帰る肉を解体して用意してもらうんだから邪魔しないでよ」
え?なんで?どうして?を連発しているガーネット嬢に、どんどん仕事の話を手順よくふっていくモアシン。
「ねぇねぇ、後ろ並んでるよ?早くした方がいいんじゃない?」
ベルも一緒になって煽っているようだ。
明らかに機嫌の悪い他の冒険者さん達の表情に気が付いて、ようやくガーネット嬢はちゃんと仕事をし始めたようだった。
さすがの連携プレイ。
そして私達はウリセス達の「ビターズ」拠点に帰ってきて、驚きの光景に出くわした。
「お姉さまにお伺いしたところ、こちらにご滞在中のはずだとの事でして…」
メリーが土下座して私たちを迎え、待っていたのだった。
「ごめんなさいっ。私の不徳のいたすところでっ、ご迷惑をかけてしまいましたっ!」




