腐っちゃうわ
何回か滞在延長もして、狩人としても仕事はこなした。
めちゃくちゃ混む時間帯に出かけて、あの受付嬢が帰宅した頃合いを見計らって精算をすますという工夫をして、何とか何事もなく冒険者ギルドとも付き合えている。
商店に卸す「食肉用」の獣を狩り、たまにちょっと大物も狩ってくる、私はそこそこ腕のいい狩人として認知されているように思う。
あの受付嬢はやはりギルドの中で幅を利かせており、何度か他の冒険者のこともあんな感じであしらっているところを見かけた。
まぁ言っていることはあながち間違いではないのだが、主観入りまくりの思い込みで物申していて、大人しいというか自分がマウンティング出来そうな相手を選んでいるあたりが姑息というか。
そして、高ランクや見目のよい異性の冒険者には媚びているあたりがむかつく。
けっこうな確率で敵が多そう。
本人もそのことは気にしているみたいで、何人かの女冒険者には「〇〇ちゃん」などと呼びかけ、仲がいいアピールをかかさない。
勤務時間を自分が一番楽な時間帯をとり、他の受付嬢が夜遅くとか朝早くとかの勤務になるというしわ寄せもあるようだ。(彼女がいない時に他の受付嬢がこぼしていた)
いかんいかん。いつの間にか、あの受付嬢のウォッチャーになってしまう所だ。
ついつい気になって見ちゃうんだよね。
で、見ちゃってまた腹がたつという。
何というダメサイクル。
平常心で関わらないようにしなくっちゃ。私はやる事をやるだけ。
どこにでもいるしね?ああいった手合い。
何らかの事情でまた揉めた場合、冒険者ギルドに未練はないし。いざとなれば商業ギルドとかに移籍してもいいし。
…いないよね?商業ギルドにもそういうの。
なんかどっかでフラグが立ったような?
滝汗。
テオとウリセスが調査官を伴ってやって来たのは半年ほど経った頃。
これでやっとこの街の住民登録が出来るみたいだ。
思ったより早かった。2~3年はかかることを覚悟していたから何だか拍子抜け。
ウリセスかテオが頑張ったんだろうなぁ…。主にお姉さまのために!
少しやさぐれながらも、諸手続きが終わったので「住民登録祝い」としてパーティを企画した。
大工さんや左官さんタイル職人さん、屋根葺き職人さんなども招いての慰労会をかねて。
まだそのぐらいしか知り合いがいないんだよ…ほ、ほら冒険者ギルドとの関係とか微妙な感じだし。
それに彼らは家を直しながらもダンジョンのためにエネルギーを回してくれたのだから労わらなければ。
…勝手に頂いてごめんなさい。
お姉さまは家のリノベ作業が見ていて面白かったらしく、自分でDIYらしき事も率先してするようになっていた。身体を動かす事によって、だいぶ健康的な感じになったと思う。
というか、お姉さまの周囲に職人の若い衆が誰かしらいつもいて、率先してお姉さまの「こうしたい」を叶えてたからね?
栄養状態がよくなったからか、だいぶ逞しくなってきたラリーが目を光らせているし、親方連中が厳しいので不安はなかったけど。やっぱりちょっと強そうにみえる護衛的なのが欲しいなぁ。
体格がよくなってきたと言ってもラリーはまだ子供だしなぁ。
「何か困っていることなどありませんか?」
ウリセス、積極的。お姉さまの隣にしれっと座ったぞ。
この人、他人に拒絶された事とかなさそうだもんなぁ。
「リアが何でもそろえてくれますから。私、姉なのに不甲斐なくて…」
「あなたはリアに愛されている」
愛とかさらっと言えちゃうんだよね。私だったら気恥ずかしくて言えないのにさ。
「それに…」
意味深にお姉さまを見つめるウリセス。
見つめあう二人。
あーあ、やってられない。
チッチったら「キャー」ってな感じに目を覆ってる。
やめなさい。こういうのは周囲が気がついてないふりして放っておいてあげないと。
ふと目をそらしたところでテオと視線があった。
「あいつにフラれたからって俺に乗り換えるとかナシだぞ」
はっ???
いや…そんなに物欲しげに見えてた?
馬鹿にしないで?
短いのでもう一話夕方に投稿します。




