7話 初めての観客
本日、二度目(◡ω◡)
完成した曲を――
誰かに聴かせたい。
そう思った私達は、ガルドさんに頼んで場所を借りた。
それは、初めてのことだった。
「……緊張する」
私かぽつりと呟く。
「大丈夫だよ!」
カノンが、いつもの調子で笑った。
「シオンとなら、絶対うまくいく!」
その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。
ガルドさんの店内――
一画を簡単に片付けて、簡易ステージみたいにしてもらい、私達の母達とガルドさん、ミレナさんに集まって貰った。
「さて……どんなものか」
ガルドさんが腕を組む。
「楽しみだねぇ」
ミレナさんが、柔らかく笑った。
「準備、いい?」
カノンが小さく聞いてくる。
「……うん、大丈夫」
それに頷き、ギターを構えた。
二人の息を合わせ。
そして――
弾く。
ジャラン――
店の中に、音が広がる。
続けて、旋律。
繋がっていく音。
その上に――
カノンの歌声が重なる。
優しく。
でも、まっすぐに。
音が、店内を満たしてていく。
誰も喋らず、ただ聴いていた。
(……届いてる)
分かる。
音が、ちゃんと届いている。
最後の音を弾く。
――静寂。
「……すごい」
母さんが、ぽつりと呟いた。
「こんな音、初めて聞いたよ……」
「綺麗だねぇ……」
声が、少しずつ広がっていく。
「すごいじゃないか、シオン!」
母さんが、嬉しそうに言う。
私はそれを聞き、少し照れくさくなり、カノンの方を見た。
すると彼女も、少し照れたように笑っていた。
(……よかった)
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
「……面白ぇな」
ガルドさんの声だった。
腕を組んだまま、こちらを見ている。
「音はいい」
短く言う。
「ちゃんと形になってる」
「……うん」
頷く。
だが――
褒められているはずなのに。
なぜか。その言葉の奥に、何かを感じた。
ガルドさんは、少しだけ視線を落とす。
私のギターの方を見ていた。
弦の張り。
木の鳴り。
音の余韻。
それらを、確かめるように。
そして――
「だが……」
小さく、呟く。
何かを考えるように。
顎に手を当てる。
「……いや」
ぽつりと、言葉を飲み込んだ。
そのまま、黙り込んだ。
(……?)
さっきまでの空気とは、少し違う。
褒めている。
でも、それだけじゃない。
何かを――
見ている。
私達の“音”の、その先を。
ガルドさんは何も言わなかった。
ただ、考えている。
じっと。
静かに。
その視線が――
なぜか、少しだけ気になった。
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