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転生ギタリストは異世界で音を鳴らす  作者: 神凪狐龍
1章 失った音、始まる音

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17話 逃げられない問い

2週間……早いなぁ〜/ᐠ。ꞈ。ᐟ\


 部屋の空気は、静かだった。

 けれど――

(見られてる)

 視線が、重い。

 神官様――ヴァルディス様は、机の向こうでこちらを見ていた。

 

「……心当たりはあるか?」

 

 その問いに、私は短く答える。

 

「……あります」

 

 隠しても意味はない。

 むしろ、不自然になる。

 数秒の沈黙。

 やがて――

 

「そうか」

 

 それだけだった。

 追及は、ない。

(……?)

 少しだけ、拍子抜けする。

 だが。

 

「後ほど、その件についても確認する」

 

 淡々と、付け加えられる。

(……やっぱり、終わりじゃない)

 

「まずは予定通り、魔法適性検査を行う」

 

 ヴァルディス様が手を軽く動かすと、 別の神官が前に出てきた。

 手には、小さな水晶のような球体。

 

「これに手を触れなさい」

 

 差し出される。

 

「これが……検査?」

 

 カノンが小さく呟く。

 

「魔力の質と属性、適性を測る道具だ」

 

 簡潔な説明。

 

「順番に行う。まずはカノン」


「は、はい!」

 

 カノンが一歩前に出る。

 少しだけ緊張しているのが分かる。

 

「落ち着いて、手を置きなさい」

 

 ゆっくりと。

 カノンが水晶に触れる。

 

 ――次の瞬間。

 

 淡い光が、灯った。

 

「……っ」

   

 徐々に強くなる。

 やわらかい光。

 けれど、その中に――

 

(……揺れてる?)


 波のように。

 音のように。

 光が“共鳴”している。

 

「……ほう」

 

 神官の一人が、小さく声を漏らした。

 

「魔力量は……Cランク……」

 

 淡々とした記録の声。

 

「属性は――」

 

 一瞬、言葉が止まる。

 

「……単一ではない?」

 

 光が、変わる。

 ひとつの色じゃない。

 二つの色が混ざり合うように、揺れている。

 

「珍しい反応だな……」

 

 ヴァルディス様が、静かに呟く。 

 カノンは、水晶からそっと手を離した。

 

「ど、どうだったの?」


「問題ない。むしろ……興味深い」

 

 その言葉に、カノンは首を傾げた。

 

「次。シオン」

 

「……ん」

 

 前に出る。

 水晶を見る。

(……これで分かるのか)

 

 手を、置く。

 

 ――その瞬間。

 

 先程と同じく、光が灯った。

 

「……っ!」


 まるで――

 音の構造を見た時と同じように。

 

(……整えられる)

 

 無意識に、触れる。

 流れを。

 歪みを。

 

 整える。

 

「……これは」

 

 誰かの声が、漏れる。

 

 光は、安定している。

 だが――


「……揺れが、ない?」

 

 濁りも、偏りもない。

 異様なほど“整っている”。

 

「魔力量……Cランク……」

 

 記録の声。

 だが、少しだけ迷いがある。

 

「属性は……」

 

 また、止まる。

 

「……判別しにくい?」

 

 光はある。

 だが、偏りがない。

 

「均一……いや、違うな」

 

 ヴァルディス様が、目を細める。

 

「……調整されているように見える」

 

(……)

 

 無意識にやってしまった。

 

 ただ。

 流れを、整えただけ。

 

「手を離していい」

 

 言われて、離す。

 光が、すっと消えた。

 

 静寂。


 しばらくして――

 

「……二人とも」

 

 ヴァルディス様が、ゆっくりと口を開く。

 

「興味深い結果だ」

 

 その声は、変わらない。

 淡々としている。

 だが――

 

(……見られてる)

 

 さっきよりも、強く。

 

「魔力量自体は突出していない」

 

 事実を並べる。

 

「だが、性質が特殊だ」

 

 一拍。

 

「ユニークスキルの影響と見ていいだろう」

 

 カノンが、少し不安そうにこちらを見る。

 

「……大丈夫?」


「……問題ない」

 

 そう答える。

 自分にも、言い聞かせるように。

 

「検査は以上だ」

 

 だが――

 

「さて」

 

 ヴァルディス様が、指を組む。

 

「先ほどの“音”の話に戻ろうか」

 

(……来た)

 

 逃げられない。

 

「君たちが関わっていると言ったな」

 

 視線が、まっすぐ向けられる。

 

「具体的に、何をしている?」

 

 部屋の空気が、わずかに張り詰める。

 

 普通の検査は、終わった。

 ここからは――

 

 本題だった。

読んでくださりありがとうございますm(_ _)m


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