最悪の2択パート2
いつも読んでくださってありがとうございます!
「お姉さんたちぃ~俺たちと遊ばない~?」
俺はまたかとため息をついた。ゴリと翔子も共に顔が良い。ってかモデル顔負けだろう。だけど、距離が近すぎるせいで、俺はたまにそのことを忘れてしまうのだ。
「興味ないでぇす」
「ミートゥー」
全くの無関心。ゴリも翔子も全く相手の顔を見ていない。ちょっと面白そうなので、ゴリと翔子がどうやってナンパを退けるのか見たくなった。
「ええ~そんなこと言わずにさ~」
「二人じゃ楽しくないでしょぉ?」
「俺、金持ってるからもっと楽しいことができるよ」
なおもアピール。中々引き下がるな、モブ1、2,3。諦めないことは確かに大事だ。ただあいつら相手にどうなるかなぁ
「金とかそういう問題じゃないでぇす。貴方たちみたいな痛い人と一緒にいたら、恥ずかしいだけでぇす」
「ププ、翔子、言い過ぎよ(笑)」
翔子がスマホを見ながら、辛辣な一言を放った。俺はかろうじて噴き出すのを我慢したが、ゴリは隣で我慢できなかったらしい。
そんな風に挑発されれば当然、
「調子乗るなよ・・・」
「可愛いからっていい気になりやがって・・・」
ちょっと、不穏な空気になってきたな。そろそろ行くかね。これ以上刺激して怪我でもされたら、困るしな。
「お~い、何してんだぁ?」
一応丁度今来た感を出しておく。様子見してたとかバレたら後で何されるかわからんしな。
「あっ、伊織ぃ、ちょっと今怖い人たちに絡まれてぇ~」
「おい」
「ん、なあに、伊織」
翔子が俺のことを名前のみで呼びため語で話してきやがる。これはもしかしなくても、そういうことだろう。
「おい、お前がこの子の彼氏か?」
「あ、ああ」
これは俗に言う『彼氏のフリをして誤魔化す作戦☆』なのだろう。翔子の顔を見たら合わせないと殺すという雰囲気を醸し出していたので、俺は従うしかなかった。だが、この場においてそれは悪手過ぎるんだよぉ・・・
「ちっ、なら先にそう言えや」
モブいくつか分からないが翔子に対して、そんな悪態をついてくる。そして、もう一人の方に向き直る。
「それじゃあ、お姉さん。俺たちと遊ぼうぜ?」
「は?私?」
「そうそう友達は彼氏と遊ぶらしいから、一人になっちゃうでしょ?それなら俺たちといた方が楽しいんじゃない?」
ゴリの方を見て、気持の悪い笑顔でそう誘いかけた。恋人同士で来ている中に一人女が余ったと思っているようだ。中々いい根性してんなぁ。こうなると、彼氏作戦は使えない。彼氏と彼女と言うのは一対一だからこそできるものだ。さぁてどう助けようかねぇ。
俺とゴリは目が合った。ゴリは一瞬だけ逡巡して、顔を若干赤くしながら俺の元に向かってきた。なんだなんだ俺はゴリが何を意図しているのか分からなくて内心プチパニックになっていた。
そして、ゴリは何かを決心して、俺の腕を取り、
「こいつ、私の婚約者だから///」
「「「「「は?」」」」」
モブ3人だけではなく、翔子と俺も反応に困った。え?何どういうこと?ゴリの方を見ると、口だけ動かして、『合わせろ』と言ってきた。んな馬鹿な!
「てめぇ!婚約者がいるのに恋人を作っているのか!?」
「何様じゃてめぇ!?」
「堂々と浮気かてめぇ!?」
モブ3人の声を聞いて周りにギャラリーができる。なんだなんだと野次馬根性で見物しているやつらが多い。さっきまでモブ三人に対して不快感を持っていた、見物人たちはその矛先を俺に向けているようだった。
「え?いやいや違うって!」
俺はすぐさま否定した。この流れで行くと俺が死ぬこと確定なので、二人ともおれの友達だと言おうとすると、
「伊織!私とは遊びだったの・・・?婚約者がいるなんて知らなかったんだけど・・・?グス・・・」
「待て待て待て!!!翔子も悪ノリするんじゃねぇよ!!」
翔子が泣くフリをする。俺は見たぞ?その手の中でニヤリと笑った貴様の表情を!そんなことはつゆ知らず、周りのオーディエンスは、
「さいてー」「女の敵ね!」「ハーレム野郎ざまぁ」「修羅場乙~」「死んじゃえばいいのに!」
ヤバい!このままいくと本当にクソ野郎に堕ちる!とにかく誤解を解かなければ・・・翔子は・・・こいつはこの状況を死ぬほど楽しんでやがるからもう無理だな。俺はゴリに向かって視線で助けを求める。ゴリはコクンと頷いた。流石幼馴染。愛してるぜ!
「私は伊織が間違いを犯しても愛してるよ・・・」
「ゴリぃ、お前もか!!」
まるで、浮気性のダメ男を一人陰ながら支えている新妻のような雰囲気を醸し出していた。だが、その瞳が全力で笑っていることは俺は気が付いているぞ?
現場はゴリと翔子に完全に支配された。さっきまでいたモブはさっさと退散し、残っているのは俺とゴリと翔子だけだった。
今の図は婚約者であるゴリがいるにも関わらず、翔子という恋人を持つ浮気性のダメ男という構図だった。
「それで伊織!どっちを選ぶの!?」
「私は別に選ばれなくても伊織が幸せならそれで・・・」
全くの濡れ衣なのに俺は今最悪の二択を迫られていた。しかも二人とも結構役になりきっていやがる。瞳は大爆笑しているが・・・周りの観客も俺がどちらを選ぶのかに注目していた。
「どうすりゃええねん・・・」
なんかここでどっちか選ぶと、後で角が立ちそうなんだよなぁ~、かといってテキトーに選ぶという選択肢はこの真面目な空気の中では不可能だった。
なんとかこの空気をうやむやにする方法は・・・!閃いてしまったぜ!これならいける!
「ふ~」
「やっと覚悟が決まったみたいね」
「どっちを選ぶのかなぁ」
お前らに主演女優賞をあげたい・・・ここまで周りを惹きつけられるなら十分、女優の才能あるぞ・・・
「ああ・・・決めたぞ」
「そ、そう」
「そ、それじゃあ」
俺の真剣な空気にあてられてゴリも翔子も瞳から笑みが消えた。ってか戸惑いの感情が伝わってくる。いつしかここのプールは完全に鎮まりかえっていた。オーディエンスも俺がどちらを選ぶのか楽しみにしているようだった。
俺は覚悟を決めて、二人の元にいく。
「あの、先生?悪ふざけがすぎました」
「い、伊織?ごめん、ちょっとやりすぎた、そのマジになっていないよ・・・ね」
「・・・」
翔子とゴリがそう言ってくるがここまで来たら、引き返せない。そして、
「翔子、莉奈!!」
「は、はい////!」
俺は二人の前で大きな声を出した。ちなみにゴリと言わずに莉奈と呼んだのも俺なりのアレンジだ。
そして、
「俺は和葉さんが大好きなんだ!!!!!」
二択を選べないときはどうすればいいのか?答えは簡単第3の選択肢を作ればいい。
ふっ、完璧だ。嘘はついていない。彼女としては諦めたが、お姉さんとしては大好きなのだ!これで二人のどちらかに角が立つことはないな。だが、おかしい。周りが静が過ぎる。おれは恐る恐る顔を上げると、笑顔の二人がいた。よかった俺の意図は通じたらしい。俺も笑顔で返すと、
「「くたばれエロゲクソ童貞鈍感クズ野郎!!!!!!」」
「ぐほほほほほほほほお!!!!!!」
キー―ンと綺麗に鳴るくらいに二人の足が俺の股間に突き刺さった。俺は過去一にヤバい痛みを感じた。男としての俺が三途の川を渡って、乙女として復活する姿を走馬灯のように回想してしまった。
「いやっほー!いい気味!!」「ハーレム男万歳!!!」「いいぞぉ女の敵なんてもっとやっちまえ!!」「痛そぉ・・・だが、スカッとしたぜ!!!」「修羅場乙~メシウマ」
●こと死ねのような悲劇が起きた瞬間だった。そこまで酷いことをしなくても・・・
俺は薄れゆく意識の中でひそかに泣いた。
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「それではあなたたちは出入り禁止ですので、二度と来ないでくださいね」
「「「はい、すいませんでした」」」
俺たちはプールから出ると、受付から奥の部屋に通されて、出禁を言い渡された。まぁそうだろうなぁあんな大騒ぎを起こしたのだ。出禁で済んでまだよかった方だ。特にゴリなんて警察官なんだから余計にそう思っているんだろうな。
俺はかろうじて乙女になることは防げた。間一髪だったが、ギリギリで三途の川をリターンしてきたのだった。
俺たちは謝罪と出禁だけで処遇は済んだ。
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「ふう~楽しかったねぇ~」
「ですね!!」
「ソダネーじゃねぇのよ!!俺の金●がつぶれるところだったじゃねぇか!」
俺は車中で叫びあげた。ってかそれくらいは言う権利があるやろ!?
「うるさいなぁ童貞が」
「そうですよ童貞」
「なんで俺がキレられてるんだよ・・・」
もう疲れた。俺は何度目か分からないため息をついた。更衣室であんなに殺気をあてられながら着替えたのは初めてだよ・・・これならホオジロザメのプールに入った方がましだったな・・・
「そりゃ、あんなところで姉貴を叫んだら殺したくなるよ」
「ですですぅ、普通に選べよクズ野郎って感じでした・・・」
「お前らぁ~好き勝手言いやがって・・・」
「じゃあ姉貴と伊織が婚約者で「な、なんだって!?」設定な?クソ童貞」
まいっちゃうなぁそんなことになったら天国にでも行けるじゃんないかぁ
「普通にキモイですよ、ド変態。その顔辞めてください」
なんか小鳥がさえずっているが何も聞こえないな。
「で、その姉貴に別の彼氏がいたとします「ああー和葉さん!!俺という男がいながらどうしてそんな男と!!」話を聞けや。翔子」
「合点承知!」
翔子が俺の首を座席ごと決めてきた。
「ちょっ、苦しいっ!!!」
「で、姉貴に対して、今日と同じようなことを聞いたときに、別の男がいますって言われたらどう思う?」
「死にます」
「首絞めているのにどうやって声を出しているんですかぁ?」
翔子が何か言っていたが俺の耳には何も届いていなかった。それよりも俺はそんなことを想像しただけで、心がバラバラになってしまいそうな気分になった。
「私たちはまあ嘘で楽しんでいただけだけど(笑)」
「ですね(笑)」
「おい」
こいつらやっぱりあの状況を楽しんでやがったな・・・
「まっ、それでもムカついたのは事実なので、今日の分はしっかりと勉強料として納得しておきなよ」
「随分高くついたけどな・・・」
俺は一応の納得をした。その後は他愛のない話をしながら、俺たちの車は実家に向けて走っていた。
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「疲れたぁ~」
「お疲れ。いつもありがとな」
「ですですぅ~ありがとうございましたぁ」
俺たちは実家に着いて車から降りた。本当にゴリばっかりに運転させて申し訳がないな。俺も免許を取れれば良いのだが、あの時の恐怖がぬぐい切れなくて、取る気になれないぜ・・・
「そういや、翔子はどうするんだ?ここから駅までだと結構距離があるが・・・」
「ああーそれなら今日は莉奈さんの家に泊めてもらいます」
「そういうこと」
「なるほどね」
こいつらどんどん仲良くなっていくな。まぁ仲が良いのはいいこっちゃ。俺にも大学で仲が良いやつの一人や二人ほしいぜ・・・
「あれ、莉奈ちゃん、と伊織君?」
「あれ姉貴じゃん、今日は早いね」
「こ、こんにちは!」
俺は和葉さんにどもりながら挨拶をした。正直さっきまで和葉さん好き好きアピールをしていたが、最後に会った時があんなのだったから羞恥心とか色々混ざってやりにくいな。
「今日は半休だったからねぇ~、それと、え~とその子は?」
当たり前だが、ここでお互いに初見の人間がいるのだ。
「あっ、小山翔子です!、莉奈さんにはいつもお世話になっています。後ついでにそこの伊織先生にも」
「おれをついで扱いすんなや」
「ふふふ~面白そうな子ね。私は後藤和葉。莉奈ちゃんと姉で、伊織君の幼馴染です」
二人が挨拶を交わす。俺の居心地の悪さよ・・・もう帰ろうかなと思っていると、袖を引っ張られる。そっちを見ると翔子だった。耳を貸せというニュアンスだったので、顔を近づける。良い匂い!
「な、なんですかあの人!滅茶苦茶スタイル良くて顔も良すぎて本当に私と同じ人間なんですか?(ボソ」
「信じられないことに人間だよ(ボソっ」
「何よりもあの胸!莉奈さんと姉妹なのが不思議なくらいですね(ボソ」
「分かるか?人体の7不思議の一つだよな(ボソ」
「お前ら後で覚えてろよぉ?」
ゴリが俺の背後で笑いながら恫喝してきた。落ち着けって・・・
和葉さんはそのままニコニコとわらって佇んでいるだけだった。やっぱり大人だなぁ
「じゃあ俺は帰るわ」
「え~?伊織君帰っちゃうのぉ?」
「え?」
意外なことに和葉さんが止めてきた。そして、
「うちでゆっくりしていかない?」
「行きます!(キリっ」
上目づかいで俺に頼み事をしてくる。子犬のようなつばらな瞳で俺を見上げてくる。これに男でノーと言えるやつっているのか?俺はエロゲよりも早く即堕ちした。
「それじゃあ、こっちに「ちょ~と待ってくださぁい」どうしたの翔子ちゃん?」
もう『ちゃん』呼びですか、お姉さま。まさかここで翔子が水を差してくるとは、
「今日は女子会をしたいですぅ。和葉さんもいるなら、莉奈さんの恥ずかしいところとか色々教えてほしいんですよねぇ」
「ちょっ!翔子!」
「あ~なるほどねぇ、それは楽しそうねぇ。伊織君に家に来てもらうのは明日でもいいしねぇ~」
「あっ、俺が行くことは確定なんですね」
「迷惑だった・・・?」
「いえ全く!」
「伊織・・・」「先生・・・」
二人が呆れた視線を送ってくる。仕方がないだろぉ。抗うなんて無理なんだよぉ
これ以上ここにいたら心臓に悪そうだ。俺は一目散に実家に戻ることに決めた。
「それじゃあ、俺も疲れたし寝るわ。また明日」
「またねぇ」「また明日ですぅ」「じゃねぇ」
美女3人が俺に手を振ってくれた。俺はそれに一度返してから、実家に帰った。
結構あわただしい一日だったが、今日はぐっすり寝れそうだ。
『重要なお願い』
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