第67話~降臨祭終幕、そして首都セルバへ行く~
「盛り上がっていますね。精霊や妖精たちも喜んでいるようです。やはり、自分たちの母とも呼べる彼女が降臨して来たのが嬉しいのでしょうね」
「そうだろうなリュエル。お前の言う通りだろう」
「さて、私たちも楽しもう。ちょうどあの坂を下った先にシェインが自分で屋台をやるみたいだから行ってみない?」
「お、それいいなクアメル! 早速行こ…… げほっ! ごほっ! あぁぁ、目に入った!」
皆でシェインの屋台に向かおうとしたその時、酔っ払った若い男の集団がミラの頭から酒を被せてきた。おまけに顔にまで酒を掛けてきた
「おら、こんなありがてー日にそんな面してんじゃねーよ! もっとパーっと行こうぜ!」
「そうだそうだ!」
不意に酒を頭の上と正面から掛けられたミラは、それが目と口に入って染みてしまった上、飲んでしまった事によってむせてしまった。
「げほっ…… おい! 何すんだお前らやめろ……ごほっ! お陰で私の身体は汚れるわ酒でむせたり目に染みたりするわ、散々だ!」
しかし、酔っているからなのか、それとも彼らの元々性格故か。ミラがいくら拒否してもどこ吹く風である。これ以上彼らの行動がエスカレートすると魔法乱闘が始まりそうだったので、気づかれないように背後から肩を叩く。
「はい。貴方たち、そこまでにして。ミラが嫌がってるでしょう?」
「あ? なんだオメェ邪魔すんなよ――」
突っかかって来たので神気を使い、思い切り威圧をした。すると、効果は抜群だったようで、全員が一瞬で大人しくなった。今ので彼らの酔いまで何故か覚めたらしく、全員がこれまでの行動について謝罪してきた。お詫びに魔法でのミラの洗浄と金貨1枚を渡してきて、それをミラが了承したのでこの件は終わりにした。その後改めてシェインの屋台に向かう。
「全く散々だったな…… クアメルごめん。色々後処理してもらって」
「全然良いよ。気にしてないし。むしろ気づいてあげれなくてごめんね。それより目とか大丈夫? 凄い辛そうだけど」
「うん。それについてはこっちも気にしてないからな。目の方はまあ大丈夫。それよりもむせた時の方がヤバかったが。あぁ……咳のし過ぎで喉痛い」
彼らがちゃんと謝罪してきたお陰でミラの怒りは収まって乱闘騒ぎにはならず、穏便に解決することが出来たので、改めてシェインの屋台に向かって歩くこと5分、それらしき場所に到着した。予想通り、圧倒的人気であった。列に並ぶのは人間やエルフ、ドワーフと言った人たちよりも精霊や妖精たちの方が圧倒的に多かった。
この人の多さ、待ち時間は長いだろうが仕方ない。長時間待つのは覚悟で列に並ぶ。すると、係員の持っていた看板に予想待ち時間が書いてあったので見てみた。
「え~っと……『ただ今の予想待ち時間は2時間半です』……はぁ」
「まあ、これだけ人気なら仕方ないのじゃ」
2時間半立ちっぱなしで何もせずに待つのは何回経験しても辛いが、前世のように携帯ゲーム機やスマホといった暇潰しに最適なものは存在しないので、仲間たちと会話しながら2時間半待ち、シェインの屋台の食べ物を購入する事に成功した。
その後もシェイン直属の精霊たちによる音楽祭、盛り上がりすぎて冒険者自身開催したイベント、優勝商品が超レアな賢者の雫石で作られた武具一式の決闘祭を観覧する等、ほんの数時間程度に詰め込まれた祭を楽しんだ。
それらが全て終わった頃には、もう既に日が暮れている所か、跨いでしまっていた。今から宿を探すのも疲れるが仕方ないと思っていたら、いつの間にかアルカが宿を確保してくれていた。全員でその宿に向かい、騒いで疲れたので直ぐに眠りについた。そして翌日……
「おはよ~」
「皆さんおはようございます」
「うん。おはよう。早速だけど、兼ねてからの目的地首都セルバに改めて向かおうと思うんだけど良いかな?」
「良いと思いますが、シェインさんに挨拶してからの方がいいかもです」
「確かに。でも居場所が分からないな……」
「神聖霊樹に行けば居ると思いますよ」
リュエルがそう言ったので、皆で神聖霊樹のある場所に挨拶に行った。読み通り、シェインが居た。どうやら精霊たちと共に何か作業をしていたようなので、一旦落ち着くのを待って声をかけた。
「シェインさん。昨日は楽しい祭をありがとうございます。今日私たちはここを出て首都セルバに行きます」
「楽しんで貰えたようで嬉しいですわ。また機会があれば是非いらして下さいね」
こうして挨拶を終えた僕たちは、そのまま空港へ向かって今まで町案内してくれたアルカとも別れ、30分後に来た空中帆船に乗り込んで首都に向かった。
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