第66話~降臨祭開幕~
リピタの町に住む精霊や妖精たちを滅ぼしてまで、デゼアラム教壊団の拠点にしようとした奴等をシェインは裁きの鉄槌を下して逆に滅ぼした。その後、彼女は助けた精霊たちを抱えた僕たちの元に近づいて来た。
「私の子供たちを助けてくれてありがとう。感謝しますわ、水の女神様とそのお仲間さん」
「いえいえ。シェインさんが居たから円滑に救出が出来たんです。もし貴女が居なければもっと面倒な事になっていたかもしれないです。最悪、犠牲者が出る可能性だってありました」
実際、彼女の登場による奴らの動揺がなければ恐らくだが、犠牲者が出ていただろう。あの時に使える魔法や技が無かったのが痛い。今後そういう場面に出くわしたときの為の魔法や技を会得しておこうと誓った。
「あらあら、謙虚な女神様だこと。あの拘束魔道具を力任せに引きちぎるなんてそうそう出来ませんわ。私だと術を使っても貴女よりも時間は掛かりますよ」
確かに力任せに引きちぎろうとするなら、神気を込めなければ破壊は難しい…… と言うか無理だったかもしれない。こんな強力な魔道具をデゼアラム教壊団は一体どこで手に入れたのだろうか?
「そうだ。問題も解決したことですし、神聖霊樹に祈りたい人々の為に準備をしなければ。ついでに折角私が降臨したのですから、お祭りも開催しちゃいましょう! 貴女たち、大丈夫ですか? 行けますか?」
「シェイン様ぁぁぁーー! はい! 勿論行けます! 助けてくれてありがとうございます!」
シェインがそう僕の助けた精霊たちに声を掛けると、自分たちを生み出した全ての精霊・妖精たちの王…… と言うより母だろう。その彼女に声を掛けられた感動と恐怖から解放された安心感からか、泣きながら彼女の元へ駆け寄って行った。
「よしよし。私の子供たち、無事で良かったですわ。あと、貴方たちが無事だったのは私だけではなく、あそこに居る水の女神様とそのお仲間のお陰でもあります。だから、彼女にもお礼を言いなさい」
「はい!」
そう言われた精霊たちは、僕とクルルの元へ駆け寄って来た。
「ありがとー」
「水の女神のお姉さんどうもありがとう。そちらのお兄さんもありがとう」
「2人ともありがとう! お陰で助かったよ!」
こうして、一通りお礼を言った精霊たちはシェインと共に祈祷の門とお祭りの開催準備をする為に去っていった。30分経った頃、再び列が動きだした。そこから更に50分経つと、ようやく自分たちの番がやって来た。精霊たちにここでのお祈りの仕方を教えてもらい、その通りに行う。神社の参拝方法と似ていたので特に迷うこともなく終えられた。
その後、シェインが『折角降臨したのだから楽しいお祭りでも開いちゃいましょう!』と、あの時精霊たちに掛けた一声によって、『シェイン降臨祭』と名付けたお祭りを開くことになった。彼女たちによると、名前こそシェインが降臨したことを称える祭のように思えるが、実際はその他の祭と大差無いものになるらしい。
「ふう…… 何とか精霊たちを無傷で救出することが出来て良かった」
「……そうですね。それにしても、まさか精霊と妖精たちの始祖の姿をこの目で見ることになるなんて思いませんでした」
「確かにそうだね」
そんな感じでシェインの開催する祭が始まるまでその辺をウロウロすることにした。途中、『まさか今日この場で精妖たちの始祖を見ることになるなんてな』とか、『すげぇ美人だったよなぁ』とか言って盛り上がっている観光客の集団をちらほら見かけた。
そして、何をするわけでもなくただウロウロしたり、飽きたら屋台の食べ物を買って食べるのを1時間程繰り返して祈祷の門まで戻ってくると、祭の準備が出来たらしく、開催式が始まっていた。
「え~っと…… 皆様本日は精霊や妖精たちを滅ぼそうとした愚か者が現れるトラブルがあり、なおかつ思い付きで計画したこの祭ですが、祈祷を含めて参加して頂き、感謝致しますわ。……これ以上言うことが思いつかないので、ここで締めさせて頂きます。ただ今から降臨祭を開催致します!」
「「「おぉぉぉぉ!!」」」
こうして、シェインによる思い付きのぶっつけ本番の降臨祭は、非常に盛り上がっている状態から始まった。
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