第62話~帆船の緊急着陸~
「いやぁ、凄かったよね。最初の試合形式のショーの光と闇の撃ち合いとか特に」
「確かに。それが消滅した勢いで発生した光の雨は綺麗だったよな」
「はい。ですが、精霊たちの音楽祭だって良かったですよね」
「水の精霊、風の精霊、氷の精霊だったよね? 私も混ざりたかったなぁ~」
「歌の最後の方、何を思ったか水の精霊たちが子守唄を歌い始めて会場の7割の人が眠りに落ちるトラブルがあったけど、誰も起きた後に文句言わなかったよね。みんなそれも込みで楽しんでたのかな?」
リーマナス魔導団のショーが終わった後、ヴァルフェの屋敷に戻っていた。もう既に夜になっていて、『そう言えば君たちって泊まる宿あるの?』とヴァルフェに聞かれたので、宿の予約をしていないので泊まるところが無いと言ったら、自分の屋敷に泊まっても良いよとの事なのでお言葉に甘える事にした。
「今日はありがとうございました。おやすみなさい」
「はーい。僕の方こそ、フィンちゃんを連れてきてくれてありがとうね。久しぶりに話も出来て良かったし」
「あの師匠、今までの言いづらいから黙っていましたけど人前で『ちゃん』を付けて呼ぶの恥ずかしいからやめてもらえませんか!?」
「え~。別に良いじゃん~」
「駄目です!」
そんな微笑ましいやり取りをしながらベッドに横になって眠りについた。そして翌日……
「おはようございま…… あ、まだみんな寝てた」
よく見たら外はようやく朝になるところだった。二度寝をしようかと思ったが、下手すれば昼近くまで寝てしまいそうだったので景色でも見ながらのんびり過ごす。2時間後、みんなが起き始めた。
「おはよ~」
「おはようございます」
「……おはようございます。クアメルさん、今日は起きるの早いですね」
「うん。何故か目が覚めちゃったから、窓の外でも見ながらのんびりしてた」
少し経って全員起きたので今日の予定を決める話し合いを始める。
「今日はどうする? まだこの町の名所とか色々ありそうだけど」
僕がそう言うと、ヴァルフェは『こんなことを言うのもなんだけど、昨日行った所以外に観光地ないんだよねこの町』とのことなので、ならば首都に行こうということで決定した。
「この国の首都は『セルバ』って言うんだけど、ここから遠いんだよね~。空中帆船で行っても3時間もかかるんだ」
「あの船の速度をもってしても3時間もかかる距離…… まあ、私たちは今まで長距離移動を経験済みだからそんな程度なら全然問題ないよ」
「そうなんだ。それなら良かった。本当は僕も一緒に行きたいところなんだけど、色々あって無理なんだ。だから、せめて君たちの冒険が充実したより良いものになることを祈っているよ」
「ヴァルフェありがとう。こっちも色々な実験が上手く行くように願っているよ」
お互いに挨拶をして僕たちは屋敷から出る。その後軽い朝食を市場で買って食べて空港に向かい、空中帆船に乗り込んだ。
「さて、3時間後に到着するまで寝るかな」
今日の朝に早く起きすぎてまだ少し眠いので、やることが無い船内で寝ることにした。そして1時間が過ぎた頃、船がグラッと揺れて起こされた。
「一体何が?」
「分かりません。ですが何らかの異常な出来事が起こっていると思われます」
突然のことで驚いていると、アナウンスが流れてきた。
『大変申し訳ありません。船の動力魔石が突如爆発し、この船はこれ以上の航行が不可能となりました。その為、近くにある浮遊島に緊急着陸します』
「成る程。しかし、そんなのに巻き込まれるなんてついてないよな」
「確かに」
そして、僕たちを乗せた帆船は動力喪失によって緊急着陸を試みていた。幸いにもかなりの揺れがあっただけで、船には爆発で出来た大穴以外に損傷はなく、無事にどこの町の空港かは不明だが着陸することに成功した。
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