第61話~リェレセージ観光(後編)~
「ねえヴァルフェ。次はどこに行くの?」
「えっと…… 次は『リーマナス魔導団』の定期発表会がもうすぐあるからそれを見に行こう」
ヴァルフェによるとリーマナス魔導団は、リェレセージの町を拠点としてツコーレ共和国を回って魔法や精霊術を使って色々なショーをする団体で、彼らの放つ美しい魔法を使った、見る者を魅了すると言われているらしい。そして今日は拠点のあるこの町でショーを行うらしい。
「成る程。それは非常に楽しみだね。それで、彼らのショーをやる場所はどこにあるの?」
「ほら、向こうの方に巨大なテントが見えるよね? 『リーマナシア』って言う会場名なんだけど、あそこでやるんだ」
ヴァルフェが指差した方角には、ぱっと見300m位の超巨大テントがあった。確かにあれだけ大きければ、かなり大掛かりなショーを見れることだろう。
「ヴァルフェは何度か見たことあるよね?」
「まあね。かれこれ600回位見てるよ。その中で内容が他の回と被ったことはないって言うのが彼らの凄いところなんだ」
「成る程。じゃあ何回見ても新鮮な気持ちになれるね」
そんな話をしつつ歩いていると、目的地である超巨大テント型の会場リーマナシアに到着した。国中で大人気のリーマナス魔導団がショーを開くとだけあって、凄い人だかりだ。
「いい席が取られちゃうよ~。早く行こう!」
ローフェがそう言ったのを聞いて、急いで入り口の列に並ぶ。沢山の人で混んでいる上に、列の前方でのトラブルによる遅延が加わり、3時間程列で待ってようやく入場できた。
~超巨大テント型会場 リーマナシア~
「疲れたよ~」
「誰かがスタッフに喧嘩を吹っ掛けたり、酔っぱらい同士での乱闘騒ぎとかあったからな。全く…… こういう時位大人しく出来ないものなのか」
「まあ、いい席が確保出来たから良しとしましょう。ミラ」
そんな感じの会話15分程していると……
「え~。会場入り口でのトラブルや、入場者の多さによる遅延により大幅に遅れて開催いたします。大変お待たせしました。これより、リーマナス魔導団による魔法ショーを開催いたします!」
司会の人が開催を宣言すると、会場に拍手の音が鳴り響く。
「まず最初は、『陽光の魔導師スローア』と『月夜の魔法使いビアビス』の試合形式のショーを始めます。なお、この試合は『魔法のみ』使用が可能で、勝利判定には魔法の美しさが大きく左右します。観客の皆様にも楽しんで頂ければ幸いです」
成る程。魔法の撃ち合いのみで、なおかつ相手を倒すことではなく、放たれる魔法の美しさがこの試合では重きを置かれているようだ。本気の試合では無く、観客に魅せる為の試合なのだからそうなるのだろう。
「それでは、始めてください!」
司会の人が試合開始の合図を出し、魔法使いの2人が構える。
「まずは俺からいくぜ! 『陽光矢・拡散』」
魔力で生成した長弓から巨大な光の矢を発射したスローア。その後、小さく分裂して光の尾を引きながらビアビスに向かっていく。それを軽やかな身のこなしで彼女は回避した。
「はーい。私も行きます『月夜の蝶』」
そうビアビスが魔法を唱えると、会場内がまるで満月の夜のように暗くなり、それとほぼ同時にほんのり輝く蝶が複数出現、鱗粉のような光を振り撒きながら蝶とは思えない速度でランダムにスローアの所へ飛行して行った。
「うおっと! そいっ! ほらよ!」
彼の背後から来た蝶を魔力で飛行して回避、次に向かってきた複数の蝶をわざとギリギリで回避、最後に上から来た蝶を蛍のように輝く光球をぶつけて相殺した。蝶が全て消えた後、会場内に明かりが戻った。
「「「おぉぉぉぉ!」」」
会場内の暗さがいい感じに作用した為、会場内の観客たちの心に響いたようだった。
その後も順調に試合形式のショーは進み、最後の項目となった。
「さあ、次は2人の最高の魔法による撃ち合いです!」
司会の人がそう言うと、スローアとビアビスが同時に詠唱を始める。
「天地を照らす陽の光よ。我が元に集い、その力を解き放て『シャインソーラレイ』」
「全てを飲み込む深淵の闇よ。その力で光を打ち消せ『アビスダークネスカノン』
まばゆく輝く極太レーザーを放つ光属性魔法と、限りなく黒に近い赤色の稲妻を纏った闇を放つ闇属性魔法が衝突した。互いに相反する属性だった為か、はたまた想像出来ない理由なのかは分からないが、しばらく拮抗した後に消滅して会場内に光の雨が降り注いだ。
こうして最初のショーは大盛り上がりの中終了した。その次以降も精霊たちと共に音楽を奏でたりする等、魔法や精霊術を活用した出し物は大成功を納め、最後まで盛り上がったままリーマナス魔導団のショーは終了した。
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