第60話~リェレセージ観光(前編)~
「……まさか君はフィンちゃん? そうだよね?」
「はい!お久しぶりですね! 我が師匠!」
「おぉぉぉぉ! やっぱりそうか! 久しぶり。あの時はごめんね。急にいなくなったりして」
「いえいえ。何年も前のこと事なので気にはしていません。むしろ、私の方が師匠にお礼を言えずに申し訳ないと思う位ですね 」
数年ぶりの再会で2人とも目に涙を浮かべながら抱き合って喜んでいた。久しぶりに会った親と子供のようで、見ている僕らまで感動してきた。
「師匠! 私遂に大賢者となりました! これも貴方の教えのお陰です。本当にありがとうございました!」
「それは良かった! ひとえにフィンちゃんの元からの才能とたゆまぬ努力があったからなれたんだよ。ともかく、おめでとう。これからも頑張っていけばきっと、僕を超える賢者になれるだろうね」
「師匠を超えるなんて私には無理ですよ~」
この後30分程、帝国四天王まで上り詰めたこと、その四天王の座を降りて冒険者となったこと等の思い出を楽しそうに話していた。それを聞いていたヴァルフェの方も、フィンドルと別れてからの出来事、新開発の魔法や精霊術の説明・伝授等をやっていた。新たな魔法を覚えるのにそんな少ない時間で大丈夫なのかと思ったが、完全ではないものの覚えられたようだ。超人的な記憶力・技術力である。
「あ、すみません。ルツェさんとその護衛の方々。だいぶ話し込んでしまいました。数年ぶりの再会だったものでつい……」
「いえいえ、私たちは時間は沢山あるので大丈夫ですよ」
「そう言って貰えると助かります…… 話は変わりますが、この町は観光されました?」
「いえ、まだです」
「そうですか。もし良ければなのですが、僕の案内で観光しませんか? 久しぶりにフィンちゃんと会ったのでもっと話したくて……」
「良いですよ。こちらとしてもこの町の地理に詳しい人に案内して貰えると助かります」
話の流れで僕たちが観光する間、ヴァルフェも一緒に着いていくことになった。ルツェも一緒にどうかと誘ってみたが、『商売があるから』と言って断られた。
~リェレセージ町内~
「ヴァルフェさん。最初はどこに行きますか?」
「呼び捨てでいいよ。そうだね…… まずは無難に食事にでも行こう。この先にこの町1番の鳥と竜の料理屋「ワードリ」があるからそこでもいい? 他にも海鮮以外の料理屋ならあるけど」
「いや、ヴァルフェのオススメの場所でいいよ」
「分かった」
リェレセージ観光最初の場所は、この町で1番の有名どころである鳥と竜の料理屋ワードリに決まった。ヴァルフェによると、これから寄る場所は野生の鳥とワイバーンがメインの料理屋で、店長自ら部下と共に現地に出向いて材料を調達しているとのこと。
そこでの長時間の調理と厳選作業の結果、調理レベルだけでなく、副次的な効果として戦闘レベルの上昇が発生した。その為今ではCランクやBランク成り立ての冒険者程度の敵であれば、余裕で捻り潰せるらしい。
(そこら辺の野鳥ならともかく、ワイバーンは下位とはいえ竜なのに…… ワードリ恐るべし)
そんな事を考えながら歩いていると、目的地へと到着した。
「ここだよ。さあ、入ろう」
ヴァルフェに先導されて、店内に入った。
~鳥と竜の料理屋 ワードリ~
「風鳥焼き美味しそうだね」
「ワイバーンの丸焼きとか興味あるけど食べきれるか不安だな……」
「……こっちの風鳥の唐揚げというものも美味しそうですね」
「私お肉食べれないからどうしようかと思ったけど、野菜とか飲み物も充実しててよかった~。あ、でもここお肉屋なんだよね…… 賢者のお兄ちゃんなんかごめんなさい」
「いやいや、全然構わないよローフェちゃん。楽しんでもらうのが第一だからね」
店のメニューを見ると、かなりの豊富な種類の料理があり、野菜などのサイドメニューも充実している。それでいて値段もお手頃な価格である為、少なめの元手で沢山食べることが出来そうだ。
「皆食べる物決まった?」
「「「決まりました!」」」
全員の食べる物が決まった為、ヴァルフェが備え付けのベルで店員を呼ぶ。注文を受けた店員は厨房の調理師に伝える。そして1時間後、全ての料理が同時に出てきたので、皆で食べ始める。
「予想はしてたけど、ワイバーンの丸焼き大きすぎだろ…… でも美味いな!」
「……こっちの風鳥の唐揚げも凄い美味しいですね」
「野菜おいしい~」
出された料理はどれも非常に質が高く、今まで食べた肉料理の中で一番の美味しさだ。肉料理メイン店ではあるが、サイドメニューの野菜料理や飲み物もそれの専門店には負けるが、並みの店であれば味で勝つことは可能だろう。
更に1時間過ぎると、皆は食べ終えていたが、ワイバーンの丸焼きを興味本位で頼んでしまったミラは、半分近く食べきったところで残した。店員さんに残したものはどうするのか聞いたら、『残したものは野生動物の餌にでもするので大丈夫です』とのことらしい。
こうして、食事を終えた僕たちは、鳥と竜の料理屋ワードリを出発した。
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