第59話~伝説の賢者が居る町 リェレセージ~
「皆さん着きました。ここが、伝説級賢者ヴァルフェ・ラディエルクの居る町リェレセージです」
「成る程。ここがリェレセージか。凄い魔力の流れを感じるな」
フィンドルの師匠が住んでいるこの町は、全世界から魔法道を極めたい賢者や魔法使い、精霊術士等といった人たちが60万人程集まっているらしい。それだけ多くのエリートが集まっている要因の1つが伝説級賢者の存在だ。彼の魔法技術と魔力の多さは凄まじく、ヒーティルオン帝国以下の国軍なら1人で滅ぼせると言われている。
それらの超絶技術を学ぶべく、彼に弟子入りを志願するエリートたちが後を絶たず集まった結果、元々の住民たちの魔法レベルもどんどん上がっていき、いつしか小国の軍隊と戦えるレベルにまでになったこの町は別名『魔軍町』とも呼ばれていると、ルツェが言っていた。
「じゃあこの国がフルツライト連合の軍事の要になってそうだね」
「まあ、確かに『魔法技術』の面ではこの国は要でしょうね。もしもこの国が無かったら、ケレストラ皇国の魔導軍団に対抗する手段が完全に潰えるでしょう。ですが、魔法技術に特化しすぎてその他の面で…… 特に前衛が貧弱なのです」
「成る程。そう言えば思ったんだけど、ルツェって一体どこでそんな知識を身に付けてくるの? 不思議に思うんだけど」
「かれこれ10年近く色々な国を渡り歩いていますからね。そうすると聞かなくても情報が入ってくることが多々ありますし、各地に僕の情報源となってくれる人も沢山居ますから」
まあ、それだけの人脈がルツェにはあるのだろう。とてもじゃないが自分には出来そうにない。
そんな感じで会話しながら歩くこと30分、僕たちの目的地であるヴァルフェの屋敷前に到着をして直ぐに、門番の人に話しかけた。
「こんにちは。ルツェ様、お待ちしておりました。後ろの6名の方々は?」
「この方々は冒険者です。僕が依頼して付いてきてもらってます」
「成る程。少々お待ちください」
そうして屋敷の中に入っていく門番の人。5分程経った頃、戻ってきた門番の人が1人連れて来て、言った。
「お待たせしました。冒険者の方々も入って問題ないとの事ですので、どうぞ。ヴァルフェ様の部屋まで彼が道案内してくれます」
そう言われたので屋敷の門を潜って、内部に入ることが出来た。
「凄い数の魔道具…… さすが伝説級賢者の屋敷と言ったところですね」
「はい。ここにある魔道具の大半はヴァルフェ様の自作なんですよ。各地から材料となりそうなものを集めて試行錯誤しながら魔道具を製作するのが主の趣味なのです」
「成る程。それは凄いですね。魔道具商に売るなり、自分なるなりすれば成功しそうですけど、そう言うのはヴァルフェさんはしないのですか?」
「しないですね。高価な材料を使って製作するだけで、後は放置するので費用がかさむんですよ。お陰様で我が屋敷の財政は火の車です」
(作ったっきりで放置か。そりゃ屋敷の人も困るだろう)
そんな事を思っていると、続けて案内人が言う。
「でも、ヴァルフェ様は今まで仕えてきた人族の中で飛び抜けて良い方です。休みをちゃんとくれる、無理な仕事はさせない、体調が悪ければ仕事が残っていても直ぐに家に返してくれる、そして何より亜人差別を全くしないので、ここを離れるつもりはありません」
「成る程。直して欲しいところはあるけれど、それが小さく思えるくらいいい人なのですね」
「はい。他のメイドたちも私と同じ風に思っていると思います…… あ、着きました。この部屋です」
そんな会話をしていると、ヴァルフェの部屋前に着いたようだ。
「失礼しますヴァルフェ様。ルツェ様とその付き添いの方々がお見えになりました」
「はーい。入れて良いよー」
扉が開いたので、部屋の中に入る。
「こんにちは。ヴァルフェ様、お望みのものが手に入ったので届けに参りました」
「ああ、ご苦労様。白金貨15枚でいい?」
「はい。問題ありません」
様子を見る限り、どうやらルツェの取引は滞りなく済んだようだ。
「いつもありがとうルツェ。ところで後ろの人たちは……」
そう言いながら僕たちの方を見たヴァルフェは、フィンドルの顔を見た瞬間固まっていた。
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