第58話~賢者の雫石~
「そうだ、ルツェ。私たちに仲間が増えたから順番に紹介するね。まずは、治癒の精霊ローフェ、次はヒーティルオン帝国元四天王のフィンドルとクルル。よろしくね」
「よろしくね~」
「よろしく頼むぞ」
「……よろしくお願いします」
「はい。皆さんよろしくお願いします」
一通り仲間の紹介を済ませた後、問い掛ける。
「そう言えば、ルツェってこの国に何しにきたの? 商売?」
「それもありますが、今回の目的は僕の所属する商人会の商品をいつも大量に買ってくれるこの国のお得意様…… 伝説級賢者と呼ばれている方なんですけど、その方が前から欲しがっていた『賢者の雫石が遂に入手できたので届けに来ました」
「賢者の雫石?」
「はい。これなんですけど……」
そう言ってルツェが見せてきたのは、魔力を感じる透明な箱の中に入れられた、拳ぐらいの大きさで白い光を放つ石だった。
「凄いねこれ。見た感じ希少性が高そうだけど」
「そうですね。あらゆる属性の魔力が均等に詰まったこの石は、伝説級の武具やアクセサリーを作るのに必要なんですが、これが採れる鉱脈でも殆んど出ない上に、特定の環境以外に曝すと溶けて無くなるので、それが希少性に拍車をかけてます。仮に鉱石商に賢者の雫石を売るとするなら、この大きさだと白金貨10枚位ですね」
「成る程。ところで、ルツェはオリハルコンが安く見える位の超希少なこの石をどうやってこんなに集められたの?」
「それはね……」
説明によるとルツェには伝説の鉱石採掘士『オーレウツ』と、最強との呼び声高い『ムウゼ冒険団』との繋がりがあったらしく、魔法通信で呼んで鉱脈のある山に採掘要員と護衛として連れてきてもらった。彼らのたぐいまれな採掘技術と鉄壁とも言える守り、そしてなにより彼自身のあらゆる物を探知する能力が合わさることにより、長時間の活動を可能としたからだという。
「何はともあれその繋がりがあって良かったね。あ、そうだ。実は聞きたいことがあるんだけど、ルツェたちのお得意様ってヴァルフェ・ラディエルクって名前の賢者だよね?」
「はい。そうです」
「じゃあその人がどこに居るのかも知っているということですよね?」
「ええ。知っていますけど、どうしました? 何か用事でもあるんでしょうか?」
「実は……」
僕たちがこの町に来た目的をルツェに話し、どうにか一緒に同行させてくれないかと頼み込んだ。
「成る程…… 分かりました。本来彼の屋敷に入るには手続きがいるのですが、僕の護衛を担当している冒険団と言うことにしておけば大丈夫だと思います。嘘がバレる可能性も無くはないですけど、実際先ほど助けられましたし、全部嘘って訳ではないから心配は要らないでしょう」
僕の頼みを聞いてくれたルツェに感謝をしようとしたら、先にフィンドルがお礼を言った。
「ルツェと言ったか。ありがとう。お主のお陰で私の師匠に会う目処がついた」
「いえいえ、僕も前にクアメルさんとミラさん、リュエルさんの3人人助けてもらったのでそのお礼です。それにしても、まさかヒーティルオン帝国の四天王だったなんて驚きです」
「まあ、皇帝たちが色々やらかしてくれて、おまけに私の知らないところでケレストラ皇国に喧嘩売って報復されてるのを見て愛想が尽きて逃げてきたから今は『元』四天王じゃ」
こんな感じで話をして盛り上がっている2人に声を掛けた。
「2人とも話の途中に悪いけど、伝説級賢者に会いに行くなら早く行った方がいいんじゃない?」
「あ、済まん」
「すみません。では皆さん、今から伝説級賢者の居る『リェレセージ』の町に空中帆船で行きます。歩きでも行けますが、こちらの方が断然早いので」
「「「了解です」」」
こうして、フィンドルの師匠の居る場所に行きたい僕らと、ルツェが賢者の雫石を渡したいと利害関係が一致したので、リェレセージの町で伝説級賢者に会うまで一緒に行動することになった。
リュウカイに来たときの空港まで行って、空中帆船便のチケットを購入して1時間程待つと、船がやって来たので乗り込む。そして30分後、目的の町リェレセージに到着した。
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