第57話~ルツェとの再会~
雲海の宿を出た僕たちは、リュウカイの町並みを歩きながら見て回る。
「最初にこの町に来て直ぐに依頼受けたから良く見てなかったけど、改めて見てみるといい町ですよね」
「やっぱり浮遊島国家だけあって鳥人さんが多いよね~」
「まあ、浮遊島と浮遊島の距離が最低で20km、最高で300kmも離れてるらしいからね。定期的に空中帆船便が出てるとはいえ、自分で飛べたほうが色々便利だし」
たまたま立ち寄った土産物屋の店主に流れで色々聞いてみたところ、そんな話を聞いた。確かにそれだけ離れていれば、空中帆船以外の島同士の移動手段が無い人は住み辛いだろう。まあ、それでもさすがに300 kmも離れていれば鳥人や竜人と言った自力で空を飛べる種族も空中帆船を使うのが殆んどらしいが。
そんな事を話しながら歩いていると、ローフェが何か見つけたようで、僕に声を掛けてくる。
「ねえ。あの人たち何やってるのかな?」
「本当だね。一体何を…… あ、まさか」
そこで見たのは、円形に6人の黒フードを被った男が展開しているところだった。良く見たら、円の中心に僕とミラ、リュエルがよく見知った顔の人物が怪我をして立っていた。
「ルツェ!」
「クアメルさん!? ちょうど良かった、助けて下さ――――」
「喋って良いって言ってねぇだろが!!」
そう言って6人の中のリーダーらしき男が火を纏いながらルツェの腹部を蹴る。
「ぐあっ!!」
「おら、それでどうなんだ? まさか俺らの頼みを断るなんて事はしないよなぁ?」
「冗談じゃありません! 貴殿方みたいな人にこれを渡すわけないじゃないですか!!」
「そうか。じゃあお前を殺してでも奪い取ってやる!」
ルツェに対して殺すぞと宣言した男たち。このままでは彼の命が危険だと判断した僕は、男の元に超高速で移動して腕を掴む。
「はい。暴力はそこまでですよ」
「え!?」
彼らが視認出来ないほどの高速で動いていた為か、全員で固まっていた。が、直ぐに立ち直って僕を威圧し始めた。
「部外者は引っ込んでろ! それともお前もコイツと一緒に殺されたいのか?」
「貴殿方みたいな雑魚に殺されるほど私は弱くないですよ。なんなら試してみます? まあ、試すまでも無いですが」
自分が思い付く限りの相手を神経を逆撫でするだろう言葉で挑発をした。すると、その中の6人程まんまと引っ掛かって、こちらに向かって来た。
「よくも我らがデゼアラム教壊団を侮辱したな!」
「裁きを下してやる!」
そう言って殴りかかってきた6人だが、その拳を難なく受け止める。
「はぁ。1人の商人をよってたかって集団リンチ、その上止めに入った私が少しだけ挑発をした位で殺すと言うとさは……」
拳を掴んだまま、2人ずつフィンドルたちの元に強制的に引きずる。
「と言う訳でフィンドル、コイツらをよろしくね」
「分かった。……悪しき心の持ち主よ。その心が消えるまで無限の地獄を味わうといい『永遠なる夢幻』」
フィンドルがそう唱えると、6人の周りを光が覆い尽くす。その状態のまま1分経って光が消えると、彼らは既に倒れていた。
「えっと…… 何をしたのフィンドル?」
「お主らに簡単に説明すると……」
あの光で敵を覆うと、時間感覚が100万倍遅くなるように感じるようになるらしい。で、その間にありとあらゆる幻を見せまくったり、悪夢を見せる。傷がないのに倒れているのは、この魔法が精神に対してダメージを与えるからである。
「それにしても、100万倍遅くなるように感じるって事はたった1分魔法が維持されるだけで100万分…… つまり約1年と2ヶ月地獄を味わったってことか」
「まあ、そういうことになるのう」
フィンドルの新魔法について談義していると、ルツェが近寄ってきた。
「クアメルさん方、今回は本当に助けていただいてありがとうございます」
「私の魔法が役に立ったようて良かったと思うぞ」
こうして、フィンドルの新魔法によりルツェを襲っていた奴らは全員片付けることに成功した。
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