第56話~雲海の宿~
返り討ちにした襲撃者たちをヒューランと、その護衛をしていたフィンドルとクルルが連れてきた警備隊に引き渡した後、依頼成功の旨のサインをヒューランから貰い、リュウカイのギルド協会に行って提出をした。
「では、こちらが今回の依頼主からの成功報酬となります」
「ありがとうございます」
金貨15枚に加え、数々の風の神エレイアの加護を受けたアクセサリーや魔道具等を報酬としてもらった。報酬別途相談と依頼書には書いてあったので、てっきりそうだと思っていたのだが、違ったようだ。職員に話を聞くと、ほんの20~30分程前に依頼主のヒューランがギルドにやって来て、『すみません。あの依頼の報酬、これでお願いします』と言ってさっき職員が僕に渡した報酬を渡してきたという。
「そう言えば『これでも足りないようであれば、更に追加しますので神殿までお越しいただくように言って下さい』って言ってましたが、どうしますか?」
金貨15枚と言ったら、うまく使えばそれだけで1~2週間生活できる量のお金である。それに、明らかに強力な神の力を秘めたアクセサリーや魔道具等もくれると言うのだ。正直これでも過剰な位なのに、更に報酬を要求するなど論外である。
「いえ、十分すぎるくらい貰ったと思うのでこれ以上は要りません。そう言っていたと依頼主にお伝えしてください」
「分かりました。あ、それと今回の依頼成功によりクアメルさんのランクがBに上がりました。これ以上ランクを上げるには一定数の依頼をこなして試験を受ける必要があります。まあ、貴女のステータスを見る限り余裕でランクアップの試験を突破できるでしょうけどね」
「あはは……」
ギルドの職員の話を聞いていた僕とフィンドルが苦笑いしていたその時、ローフェが言った。
「神殿を守る依頼は終わったけど、これからどうするの?」
「勿論観光するつもりだけど、他にやりたいことある?」
「いや、特にないから観光で大丈夫だよ~」
「私も同じく。リュエルやフィンドル、クルルもそれでいいってさ」
「了解。泊まる宿は私が決めても大丈夫?」
「……皆さんそれで大丈夫みたいですよ」
依頼も終わってどうするかみんなで話し合いをした結果、最初に僕が言った通りリュウカイの町の観光をすることに決まったので、その為に宿泊する宿をガイドブックを見て決めて向かった。
~国境の町リュウカイ 雲海の宿~
「景色が凄いですよね。地上じゃ絶対に見れない絶景です!」
「まさか『雲海』の中で本当に泳ぐ生物を見るなんて始めてだよ……」
リュウカイのある浮遊島の端に建っているこの宿は、雲海に生息する生物たちと絶景を楽しめる宿として人気が高いとガイドブックに書いてあったのでそこに決めたが、その判断は正しかったと僕は思った。
何せ、特定の条件を満たして見られるはずの自然現象が、浮遊島周辺の海上に発生していて、しかもそこに生き物が生息していると言うのだ。その美しい光景を見た瞬間、自分の中の常識が音をたてて崩れ去る程の衝撃を受けた。
(あくまでもここは前世とは違う世界、そういうこともあるか)
あまり考えているとせっかくの楽しい気分が台無しになりそうだったので、考えるのを止めて楽しむことにした。
まずは雲海の宿内で有名なレストランに行って『雲海魚』と呼ばれる雲海を泳ぐ魚を焼く雲海魚の塩焼きという料理をを食べる。骨が少ない為、非常に食べやすくて美味しい。その他の料理も美味しく、非常に満足のいく食事だった。
その後は、外の景色が見える部屋の中でのんびり過ごし、夜になれば露天風呂を堪能した。一通りやることをやって過ごしたら、布団を敷いて眠りについた。
そして翌朝……
「おはようございます皆さん。良く眠れましたか?」
「勿論、快適な眠りだったぞ」
「私は良く寝れたよ~」
「あ、まだクアメルが起きてなかった。おーい。もう昼近いぞー。起きろー」
「あぁ。おはよう…… そしてごめんね」
あまりにも寝心地が良すぎたせいでこんなにも寝てしまった。今後こういう時にもっと早く起きれるようにしなければと僕は思った。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m




