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水を司る神となって異世界へ  作者: 松雨
第4章 ツコーレ共和国編
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第54話~神敵排除戦(後編)~

「一体何が起こったと言うんだ……」


 僕が周りの十数人の兵士を眠らせると、リエルフィオと言う今回の襲撃のリーダーはその場に立ち尽くしていた。クルル以外の僕たちは光魔迷彩結界内部に居座ったままなので、彼から見ると目の前の奴は何もしていないのに突然兵士たちがばったり倒れると言う怪現象が起きたように見えるだろう。


「貴様……一体何をした!?」


「……何もしていませんよ。貴殿方が神殿に散々無礼を働いたから、風の神様が罰を与えただけじゃないですか? これ以上やると、今度は死ぬかもしれませんよ?」


 クルルの言葉を聞いたリエルフィオは顔が少し青くなるも、直ぐに元に戻って怒鳴り始めた。


「そんなわけ無いだろう! 現に俺には何も起こっていないではないか! とにかく、貴様は我々『デゼアラム教壊団』に逆らったのだからこの場で殺してくれる!」


 頭に血が昇り過ぎて顔が真っ赤になっていたリエルフィオは、冷静さを失ってクルルに真正面から彼の背丈ほどある大剣で斬りかかって来た。と言うか、今回の襲撃にはデゼアラム教壊団が絡んでいるみたいだ。


「全く…… 受刀『流水』」


 クルルは振り下ろされた大剣を受け止めた瞬間、その流れを変えて剣撃を斜め下に強制的に受け流す。受け流された剣は神殿の床にめり込んでしまった。


「くそっ!」


 リエルフィオがめり込んだ剣を引き抜こうとした隙を突いて、クルルが追撃をする。

 

「隙ありです! 速刀『疾風』」


 目にもとまらないほど高速での風の斬撃は、剣を引き抜いていて対応が遅れたリエルフィオに全て命中し、何十回も斬られた後に風の神像方向に吹き飛んできた。


「不味い! 結界解除、完全防御結界!」


 フィンドルが隠れる為の結界を解除し、風の神像に防御結界を張り替える。その結果、結界を張り替えたわずか1秒後に直撃したが、結界の防御力は非常に高い為、吹き飛んで神殿の床を少し割っただけで済んだ。


「クルル。もう少し考えて飛ばせ。危うく神像が壊れるところだったぞ」


「あ、フィンドル様。それに、ヒューランさん…… 申し訳ありません」


 注意されたクルルは、フィンドルとヒューランに対して頭を下げた。


「おのれぇぇぇ!! 糞共の分際で我が団体に楯突きおって!! こうなったら…… 出でよ『エンシェントアビスナイト』」


 リエルフィオが召喚魔法を唱えると、紫色に輝く魔方陣から猛烈な魔力を放つエンシェントアビスナイトと言う騎士が現れた。


「おいおい、何だよアイツは」


「……あれは僕だと手に負えないかも知れないです」


「あやつは強敵じゃ。この世界のどこかの海の深くにあると言われる海神を祀る神殿の最深部を守る騎士で、その強さは古龍とほぼ互角。まともにやり合えば挑んだ者は消し飛ぶと言い伝えが残っておる」


「リエルフィオにあんな奴を召喚できるだけの力があったとは……」


 皆がその存在について話をしていると、その騎士が喋り始めた。


「我を呼んだのは誰だ?」


「俺だ。エンシェントアビスナイト。力を貸してくれ」


「貴様か…… して我に何を望むのだ?」


「あそこに居る7人を消すのと、この神殿の破壊だ」


 リエルフィオがそう言うと、彼は僕たちの方に近づいて見回す。そして、僕を見ると予想外の行動に出た。


「貴様…… いや、貴女は新たな水の女神様ではないでしょうか?」


 まさか跪かれるとは思ってもいなかったので驚いた。これで正体が速攻でバレたのは一体何度目であろうか。


「つい最近この世界に誕生したばかりですが、確かにそうです」


「おぉぉ! やはりそうでしたか。私はアヴィシア、海神の神殿を守る騎士です。水を司る女神よ、我らが主神シーズエルと共に貴女の誕生をお待ちしておりました」


 アヴィシアによると、先代の水の神が消滅したことによる海への影響を抑えるために、海神シーズエルが付きっきりで神殿に籠っているという。それにより、深海底の町に邪海王や海竜といった存在が襲来して、それを撃退しようと奮闘しているが、相手の圧倒的な物量に押されているという。


「あの…… まだ僕、海の安定に何も貢献していないのですが」


「その点は問題ないです。何故なら、貴女が居るだけで海は安定するからです」


 成る程。僕の存在自体が海の安定に繋がるなら、特に何もしなくても貢献してることになるわけだ。アヴィシアとそんな話をしていると、ほったらかしにされて怒っているリエルフィオが叫び出す。


「おい! 早くそいつらを殺れ!」


「……」


 アヴィシアは、リエルフィオの元に近づいてこう言った。


「それは無理な相談だ。あの白髪の方は我が主神の仕える水の女神で、その他6人は女神の付き人だからだ。これ以上無礼を働けば、容赦はしない」


「ならば仕方ない!!」


 そう言ってリエルフィオが僕に向かって突撃しようとしたが、アヴィシアに止められる。


「無礼を働けば容赦はしないと言ったはずだ。今すぐ貴様を排除する!!」


 そう言って、リエルフィオを縛り上げて、魔法を唱える。


「神に仇なす悪しき者に制裁を『ゴッドジャッジメント』」


 そう言うと、リエルフィオの真下から光の柱が出現して包み込む。まともに喰らった彼は、叫び声をあげながらその場所に倒れてしまった。


 こうして、予想外の展開により計らずもヒューランから依頼は大成功を納めた。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m

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