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水を司る神となって異世界へ  作者: 松雨
第4章 ツコーレ共和国編
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第52話~心の拠り所を壊す者~

 国境の門を跨いだ先の小さな島に着いた僕たちは、そこに来た空飛ぶ帆船で実質国境の町であるリュウカイに向かった。そこで、咄嗟の思い付きで町のギルドに行き、風の神を祀るルスツカゼ神殿を盗みと破壊から守る依頼を受ける。


「大神官様、本当に来られるのですか? 私としては、戦闘になったら危ないのでやはり来ないで待たれていた方が良いと思うのですが……」


「話し合いの時にも言いましたけど私、風属性のあらゆる魔法や術を極めているので大丈夫です。仮に危なくなれば逃げるので安心してくださいませ。リュエル様」


 2人の話し合いを聞くと、どうやらリュエルは依頼主で、大神官でもあるヒューランの身が心配のようで、宿で待っていてもらおうとしている。対して、ヒューランの方は神殿を散々荒らしてくれた犯人を自身の手で捕まえたいらしく、一緒に同行したいようだ。話し合いは平行線を辿(たど)っていて、このままずっと続きそうな雰囲気だったが、その時ミラが話に割り込んだ。


「なあリュエル。大神官様もそう言ってることだし、一緒に連れていこう。こっちは6人も居るんだし、大丈夫だと思うぞ」


「……分かりました。大神官様、出すぎた真似をして申し訳ないです」


「いえいえ。私の身を案じて下さったが故(ゆえ)の行動でしょう? 貴女方が申し訳なく思う必要は無いですよ」


「ありがとうございます」


 リュエルと大神官ヒューランの話し合いは、ミラが話に割り込んだお陰で解決した。そんな感じで歩くこと15分、神殿に皆が到着した。


「さて、ここから神殿に張り込みと行きますか…… あ、そう言えば壊された風の神像はどうなってます?」


「はい。壊された翌日に速攻で修復して、安全な場所に一時保管していました。それで、今日ギルドから『依頼を受けた冒険者が現れた』との連絡が来ましたので、所定の場所に戻しました。その時に思い付いた作戦が、町に風の神像修復完了を知らせるビラを大量にばら蒔(ま)いて、犯人をおびき寄せると言うものです。今日早速実行しました」


 成る程。流石ルスツカゼ神殿の大神官だなと思いつつ、中に入る。


「中はほぼ真っ暗だね。ランタンとかに火を灯したりしたいけど、明かりがあれば犯人どもにバレて、来なくなるよなぁ」


「そうだろうな。もし私が犯人の立場だったら行かないだろうし」


 そんな感じで話をしていたら、フィンドルが声を上げた。


「話の途中済まぬが、たった今取り敢えず敵から場所がバレないように『光魔迷彩結界』敵が来た時に直ぐ対処できるように『魔探結界』を神像が置かれている祭壇の後ろに張っておいたから、皆でそこに立って待つぞ」


「……流石フィンドル様。準備が早いですね」


「詠唱無しで強力な魔法が使えるなんて、流石大賢者さんだね!」


 皆で感心しながら、フィンドルがいつの間にか準備していた結界の中に7人が入る。スペースは少し狭めなのは、彼女曰(いわ)く『維持だけで結構な魔力を消費する結界』らしく、張り込み等の長時間維持し続ける必要がある時は、途中で切れて敵にバレるなんてことが無いように、結界の大きさを小さくして少しでも消費するの魔力を減らす必要があるからとの事。


 そして、結界内に入ってから7時間後……


「おい、お主ら。起きろ! 神殿内に数人の魔力反応があるぞ。外からも十数人単位で敵が来ておる。戦闘体勢を取れ!」


「……ああ、ごめん。あまりにも長すぎてつい寝ちゃった」


「全く…… 守る側がこんなんだと不安じゃな」


 気を取り直して戦闘体勢を取り、敵側の会話を聞いている。破壊行為や盗みを働いた瞬間、結界を飛び出して素早く制圧する。外に待機中の敵も、内部同様制圧する。そういう計画だからだ。


「隊長、こちら側には魔力反応を感じません。トラップの類いも無いようです。風の神像は完全に修復されていました」


「ああ、しっかし大神官も懲りないねぇ。次我々に歯向かえば神殿を全て破壊し、見せしめに神官1人を公開処刑すると言ったのに…… おい。まずは手始めにあの神像を破壊しろ!」


 隊長格の人物に命令された兵が、神像に向けて爆裂魔法を放とうとしたので、フィンドルがクルルに指令を飛ばす。


「クルル。お主の出番だ。存分にやれ」


「フィンドル様、本当によろしいのですか?」


「勿論だ。刀をやるから存分に暴れてこい。ただし、神像は壊すなよ」


「……分かりました。仰せの通りに」


 そうクルルが言った瞬間、爆裂魔法を放とうとした魔法使いが、素早い動きにより一刀両断されていた。






ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m

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