第51話~ 浮遊島国家 ツコーレ共和国~
新たな仲間を加えて総勢6人となった僕たちは、港町スルフルを経由して、ツコーレ共和国との国境を跨ぐと、その先で見た光景にフィンドル以外の皆が驚いた。何故なら、国境の先には人工的に作られた小さな島しか無かったからだ。
「あれ? 町が無く、小さな島だけ…… ここから更に海を船で渡るのかな?」
それについて疑問に思っていると、フィンドルが口を開く。
「ああ、済まぬ。お主らには説明してなかったな。ツコーレ共和国は海上から10㎞の上空に浮かぶ、浮遊島で構成された島国なのじゃ。国全体に隠蔽の結界・魔法防御の結界を張ってあるから、外からは見えないだろうな」
成る程。門をくぐった時に小さな島しか無かった時はびっくりしたが、そういうことだったのかと、納得した。
「それで、どうやって浮遊島まで行くの? やっぱり空飛ぶ帆船とかだよね?」
「勿論。この島にある空港で待っていれば、その内共和国の空中船が来るぞ」
「成る程。空を飛ぶ船ですか。と言うことは、この国もかなり軍事的には強力なんですね」
「まあ浮遊島国家だし、空を飛ぶ帆船が無いと国内の移動すら不可能になるから自然と発展していったのだろうな」
そんな会話をしつつ1時間ほど待っていると、迎えの帆船がやって来たので乗り込む。10分程経つと、目の前に急に巨大な浮遊島が現れた。どうやら結果内部に入ったようだ。
「皆様~当船はこれより国境の町『リュウカイ』の空港に着船します。かなり衝撃がありますので、手すりに掴まる等をして衝撃に備えてください」
船内にアナウンスが流れた少し後に、船体が上下に揺れる。手すりに掴まりながら転ばないように踏ん張る。
揺れが収まると、船内の下方の扉が開いたのでそこから空港に降り立つ。
「凄い綺麗な光景だ。さすが空高く浮遊する島国と言ったところだろう」
「おぉぉ…… ここが、師匠の出身国。美しい所じゃのう」
「私ここ好きかも! 空気が澄んでて気持ちいいし」
「……良いところですね」
僕も皆と一緒の感想で、上空10㎞で、雲よりも遥か上の遮る物の無い場所から見る景色は格別だ。
そんな感じで見える景色を堪能しながら空港を出た。
「さて、町に出たは良いものの、何をしようか?」
「私としてはこの国に住んでる師匠に会えればそれで良い。どこから行こうと構わぬ」
「そうか、うーん。誰か思い付かない?」
全員で少し考えていると、リュエルが『ギルドに行って大変そうな依頼でも受けてみませんか?』 と言った。確かに僕らはここ最近、ギルドに行って依頼を受けてはいない。ならば久しぶりに依頼を選びに行こうと言うことになった。空港からかなり近くにあったらしく、歩いて5分で到着した。
「さて、どれにしようかな……」
掲示板に張られている依頼を吟味していると、受付の職員に何か依頼がないか聞いていたフィンドルが良さそうな依頼を見つけたと言うので、その渡された依頼書を見てみた。
『風の神殿を壊す者』 依頼者 ルスツカゼ神殿 大神官ヒューラン
ここ最近、夜中に何者かが何回も神殿内部に侵入しているらしく、あらゆる金品を盗られた挙げ句、先日は遂に風を司る神『エレイア』を祀る石像が粉々に破壊されていました。神殿に張り込みしていても、侵入者関知結界を張るも全て無駄に終わってしまいました。このままだとリュウカイの信徒の皆がお祈り出来なくなってしまい、加護が失われてしまうかもしれません。どうか、腕の立つ方お願い致します。
(報酬 別途相談)
「この報酬の別途相談って何だろう? 成功したら相談して決めるってことだよね?」
「まあ、そうじゃろうな。この依頼を成功したら交渉次第では大量の報酬が手に入れられる可能性もあるし、最悪無しと言う可能性もある」
「いや、流石に無しって事は無いだろ」
机の上に依頼書を置いて話し合いをする事30分、最悪無しでもランク上げは出来るし、冒険の資金はまだ沢山ある。それらの理由からこの依頼を受けることは決定した。
受付の職員に神殿の場所を聞くと、町の外れにあるとのことなので早速皆で向かう。町の馬車に銀貨1枚を支払って5分程経つと、神殿に到着した。
神殿内部に居た修復作業中の神官にギルドの依頼の件で来たことを伝えると、直ぐに大神官を呼びに行ってくれた。待つこと3分、依頼主の大神官が現れた。
「皆様今回は依頼を受けていただきありがとうございます。それでは改めて内容を説明します」
こうして、依頼の確認・作戦・行動時間の打ち合わせの結果、夕方になったらこの神殿に集まって行動を起こすと言うことで話がついた。
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