第49話~逃げてきた2人の四天王~
軍事都市から王都に戻ってきた僕たちは、今までのお礼の挨拶を皇太子夫妻と互いに交わした後、報酬をギルド支部に取りに行った。その後、王国から 出て他の国へ行く為に港に行ったそのタイミングで、ちょうど皇太子夫妻が空中戦艦に乗って国に帰るために飛んで行った。入れ替わるようにして小規模帆船が3隻入港して来て、その中の2人が走って僕らに近寄ってきた。
走ってくる彼女たちを見て、何かの攻撃をしてくると思って一瞬身構えたが、魔力の急な流れは無く、殺意や敵意を感じなかった為警戒を解く。そうすると、2人は僕の目の前で止まり、その内の1人で杖を持った黒髪の女性が問い掛けてくる。
「もしかしてそこの白髪のお主、水の女神ではないか?」
予想だにしない彼女の質問にどう答えようか考えていると、ローフェが先に言ってしまう。
「この白髪のお姉ちゃんでしょ? うん! そうだよ。私の産みの親で、水の女神様なんだよ! どう? 凄いでしょ!」
「ふむ、やはりそうか。それにしても、これ程の強力な精霊を生み出すとはさすが水の女神と言ったところだな」
いや、確かにルエルフ王国でローフェの宿った神水桜を生み出したけども、ローフェ自身を産み出してはいない。そんな強力な精霊を生み出す能力は僕には無い。
「ねえ、ミラ。ローフェが私の事産みの親って言ってるけどどう言うことなのか、知ってる?」
「いや、知らないな…… こうじゃないかって予想はしてるが」
精霊は、宿ったものとの相性が良ければ良いほど自身の力が上がる。何にも宿っていなければ最悪消滅する可能性がある。宿ったものの相性が極端に悪くても消滅の可能性がある。そこに、偶然僕が生み出した神水桜を発見し、宿ったことにより、消滅しかけた自分が復活して更に実体化できるレベルまでに力が上がったからではないかと、そうミラは予想していた。
「まあ、実際はどうなんだか分からん。気になるならローフェにでも聞けるときに聞いといたら良いんじゃないか?」
「うん。もし聞けたら聞いとくね」
ミラの問い掛けに対して答えていると……
「あの…… クアメル? この2人貴女に用があって来た感じだけど、放っておいて大丈夫?」
そうだった。ミラと話していてすっかり忘れていた事に気付く。
「ごめんなさい。それで、私に用事ってなんでしょう?」
「ああ、それは…… お主らと共に行動させて欲しいと言うことじゃ」
たった今会ったばかりの彼女から突拍子もない事を言われて驚いた。
「えっと…… 取り敢えず名前を教えてもらえないですか?」
「もちろん大丈夫だ。私は帝国軍元四天王フィンドル、こっちの少年は『クルル』まだ四天王なりたてではあるが、強力な力を持っている」
「「「えっ!?」」」
まさかこんなところで帝国四天王2人に会うなんて思ってもみなかったので、ローフェ以外は皆驚いた。
「フィンドルさんは、どうしてここに?」
「……ここじゃ話しづらいから、どこか建物の中でも良いか?」
「もちろん大丈夫です。私が泊まっているホテルへ行きましょう」
そして歩くこと15~6分、僕たちが泊まっているホテルの一室に全員で入る。
「それじゃ話を始めよう。まずは……」
皇帝が散々好き勝手した事、ミラとリュエルの処刑にことごとく失敗して兵の損失を出そうとも諦めなかったこと、ミラと間違えてケレストラ皇国の王女を襲って報復を受けたこと等、フィンドルが帝国脱出に至った経緯を細かく話した。
「そういうことか…… 道理でこの王国に四天王シャドスが居たわけだ」
「そう。皇帝は今まで損失を出しまくっているにもかかわらずに、またもや四天王が送り込んだ。その時シャドスの馬鹿がそこのミラと言う者とミリア皇太子妃を間違えてしまった。その結果、お金をたんまり使い込んだ挙げ句ケレストラ皇国を怒らせて報復攻撃を受ける羽目になってしまったのじゃ」
「成る程。こちらでもミリア皇太子妃の護衛依頼の際にその話は聞きましたが、大賢者の貴女が逃げるしかないほど、帝国が大変なことになっていたのですね」
「ああ、特にあの空中を飛ぶ全長300mはあろうかという戦艦は驚異だったのう。帝国竜騎士があっという間にやられていたから……」
その後も色々な話をする事1時間、全ての話が終わった。
「えっと、私はこの2人と冒険するのも良いと思うんだけど、ミラとリュエルはどう思う?」
「私はこの2人なら良いと思うぞ」
「同じく」
「お姉ちゃんたちが良いなら良いよ!」
こうして3人の了承を得ることが出来たので、元四天王のフィンドルとクルルが冒険の旅に同行することが決定した。
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