禁術の代償と、暴かれた原作者の秘密
光のように魔法陣が輝いたあと、シルヴィアはヒロトを見つめ、困惑と驚愕の表情で叫んだ。
「ヒロト……お前、一体何者だ!?」
ヒロトは首を傾げる。
「何者って、どういう意味だよ?」
「どういう意味も何も、さっきの魔法のことだ!」
「魔法? 何のことだ?」
「この魔力の障壁のことだ!」
ヒロトはさらに困惑して言った。
「いや、それはさっきの紙の呪文(刻印)のせいじゃないのか?」
「違う! あの刻印はただの……」
しかし、シルヴィアの言葉は途中で止まった。
突然、彼女の身体に異変が走ったのだ。
強い**高揚感(興奮)**に襲われ、彼女はその場に崩れ落ちる。
青い瞳にはハートの模様が浮かび、頬は真っ赤に染まり、荒い呼吸を繰り返し始めた。
「ひ、ヒロト……早く……何とかしろ……!」
ヒロトは混乱しながら周囲を見回す。
「な、なんだこれ!? シルヴィア、どうしたんだよ!?」
シルヴィアは苦しそうに言った。
「これは……刻印の呪いだ……!」
「呪い?」
「奴隷(従者)が主人を攻撃したり逆らったりすると……主人が“許す”と言うまで、強制的に強い興奮状態が続くのだ……! 早く……私を……許せ……!」
彼女は耐えきれず、甘いような悲鳴を漏らした。
ヒロトは慌てて叫ぶ。
「わ、わかった! わかったから! 許す! 許すから! だから元に戻れ!!」
その瞬間、刻印の光が消え、シルヴィアはようやく呼吸を整えた。
ベッドに腰を下ろしながら、彼女はヒロトを睨む。
「ハァ……ハァ……よりによって、こんな呪文を選ぶとは……この変態オタクめ……」
ヒロトは反論する。
「俺のせいじゃないだろ! そもそもお前が毎日剣を向けてくるからだ!」
「ゲームやラノベの話じゃないのか?」
「ゲーム? ラノベ?」
シルヴィアは首を振る。
「私は最初から本物の世界から来たと言っている」
ヒロトは頭を抱えた。
「意味がわからねえ……」
彼は本棚から適当に第3巻を取り出し、ページを開いてシルヴィアに見せる。
それを見たシルヴィアは目を見開いた。
「……な、何だこれは……ここに書かれている出来事は、私の世界で実際に起きた歴史だ……!」
そして静かに考える。
「答えは一つしかない。この本を書いた人間は、私の世界と同じ場所から来た者だ」
ヒロトは驚愕する。
「え!? フバト先生が……お前の世界の人間だって!?」
「それ以外に説明がつかない」
「でも、あの人は顔を出してないぞ?」
シルヴィアは鼻で笑う。
「それはただの偽装だ。あれほどの情報を知っている時点で、重要人物に決まっている」
ヒロトは混乱するばかりだった。
「じゃあ一体どうやって元に戻すんだよ……」
シルヴィアは真剣な表情になる。
「問題はそこだ。これは最上位の禁術だ。解除方法は存在しない」
ヒロトは絶望する。
「じゃあ一生このままかよ!?」
「そういうことだ」
そのとき、玄関の扉が開いた。
リカだった。
「やっほー! ミユキん!」
シルヴィアは軽く会釈する。
「こんにちは、リカ」
リカはヒロトを睨む。
「バカヒロ」
「なんで俺だけ扱い悪いんだよ!」
「ミユキんに謝ってないからでしょ」
「何もしてない!」
結局、ヒロトはため息をついて謝る。
「……悪かったよ」
リカは満足げに頷いたあと、話題を変える。
「ねえ、ミユキんって学校行くの?」
ヒロトは慌てて答える。
「いや、まだ慣れてないからホームスクーリングだ」
シルヴィアも合わせる。
「そういうことだ」
リカは納得したように笑う。
「じゃあさ、今度みんなで海行かない?」
ヒロトは少し考える。
「いいな、それ」
シルヴィアも目を輝かせる。
「海か……行く!」
リカは嬉しそうに笑う。
「じゃあユウトにも連絡するね!」
そしてヒロトは言った。
「せっかくだし、今日は夕飯食べていかないか?」
リカは驚く。
「え!? ヒロがそんなこと言うなんて!」
「いいから、食うのか食わないのか」
「食べる!」
リカは嬉しそうに笑い、ソファに座る。
そしてシルヴィアと並び、明日の予定を楽しそうに話し始めた。




