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その果実が堕ちる前に:乙女たちへの賛歌 ~享年92歳のおばあちゃまの幼女の姿で異世界転生、ツインレイの王女を救う~  作者: 茄珠みしろ
第六章 拝啓 なりそこない様

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幕間 終焉(フィニス)が訪れ全てが消えゆく前に アストリアン視点

挿絵(By みてみん)

 タンザナイト公爵家に新しい子供が生まれる。

 だからいつものように自分の空間からヴィヴィアナを眺めた。

 いつもなら何か気配に気づいただろうに、新しい命に気を取られたヴィヴィアナは僕の監視に気づかない。

 それだけ、気を取られているのだとはわかるし、気を張り詰めている。そのくせ、他人に気づかれないように、いつも通りを装っている……。


「面倒な性格」


 いっそ、周囲の男たちのように落ち着きをなくせばいいのに、誰にも気づかれないように笑みを浮かべてなるようにしかならない、なんて平気そうに言う。

 あんなえぐいほどに魔力と加護を込めた護符を渡しておいて、なにもできることはないなんて口にする。


「矛盾しているよね」


 誰か気づくだろうか? ドレスの下に冷たい汗がにじんでいることに。自分すら意識できないほど、かすかに震える手に……。

 いつもなら緩く上がる口角に、僅かに力が入っていることに……。

 そのまま眺めていれば、駆け付けた王女がヴィヴィアナにしがみついた。


(ああ、王女は気づいたのか)


 流石としか言いようがない。

 ツインレイ、魂の片割れ……。もともと共にあるべきだった二人。


(そりゃあ、気づくかぁ)


 苦笑しながら監視を続ける。

 王女が来たからなのか、ヴィヴィアナの様子は先ほどよりも落ち着いた。

 まだ不安と緊張は残っているけれど、ずっとましになっている。


「…………君が動いて、書き加えられた星暦だ。だから、僕はその結果(・・)を見届けるよ」


 ヴィヴィアナが行動を起こすまで、死ぬはずだった命と、存在すらありえなかった命。

 けれど、星暦が変わったのであれば、見届けるのみ。


 そのまま時間が経ち、予定通り新しい命は誕生した。

 タンザナイト公爵家の青を純粋に受け継ぐ赤子。

 君たちが気づいているかはわからない、もしかしたらそんなことすら意識していないのかもしれない。

 でもね、ヴィヴィアナ……。


「この星暦は、君への枷を外すものだって、理解しているのかい?」


 黒を持つとはいえ、タンザナイト公爵家の色を持つ唯一子供。

 これまではその枷がヴィヴィアナの自由に枷を付けていた。

 でも、今その枷が無くなった。


 監視を止めて空を見る。

 この星の寿命はまだまだあって、崩れるのはまだまだ先で……。


「そのはず、だったんだけどなぁ」


 異物が入り込んだあの瞬間、この世界に存在する星暦が一斉に書き換わった。

 それが意味したことは、世界の終焉……。

 星の守護者たちはいっせいに行動を始めた。

 世界を創造し管理する神にコンタクトを取ろうとして、何人もの星の守護者が飲まれた。

 あの空間は、長くいれば星の守護者であっても耐え切れない場所。

 いや……、本来なら立ち入ってはいけない場所。

 入るだけでも魂は摩耗し、入ることが出来たとしても、魂を削られ食われる場所。

 わかっている。星の守護者ならだれだってそんなことわかっている。

 それでも、自分のみを犠牲にして守護する星を守ろうとし、世界の終焉の理由を知るために行動した。

 どの星の守護者も、必死に行動を起こしていた。そんな中……。


「ヴィヴィアナの介入でまた星暦が変わった。この星の星暦だけ(・・)が……」


 だから……。


「君の行動は、すべての星の守護者が興味を持っているんだよね」


 そのあげく、もう引退した始祖まで出てくることになった。

 あの神の空間に行っても平然と帰還するという存在。

 神はこの世界を管理するけど、守護はしない。始祖はこの世界を管理しないけど守護はする。

 似て異なる役割。


(でも、ヴィヴィアナは神が寵愛しているのは王女だという……。じゃあ、ヴィヴィアナに加護を与えているのは別の神……、元の世界の神の加護がそのままついてくるなんて、それは加護じゃないよね)


 それはもう執着や呪縛の類だとしか思えない。


(可哀相に……って思うのは、流石に傲慢かな?)


 ヴィヴィアナだって無意識にその加護を利用しているし、結局は魂に刷り込まれた習性なのかもしれない。

 それなら、どっちもどっちだろう。


 ふと目を閉じて、寄り添っていたヴィヴィアナと王女の姿を思い出す。

 彼女たちは気づいていない。

 そうあるほどに魂はより共鳴して溶け合い、そして……。


「危うくなる……」


 ひとつであったものが分かたれた。それぞれが違うものを経験したのちに、それをまた一つにするのであれば、それはもう、もとのひとつとは違うものになる。

 それこそ、神にも予想できないなにかに……。


 そう考えた瞬間、頭の奥でチリンと何か鈴を鳴らしたような、ガラスにヒビが入ったようなか細い音が聞こえた気がした。


(僕は、ただこの星を守るべき存在……)


 だから、この星を危機にさらすというのであれば、排除しなければならない。

 それがなにものであっても、どんな手段を使ってでも……。


 ポタリ、と握り込んだ手のひらから地面に落ちた赤をあえて見ず、ただそれだけを考えた。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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