黒青と金の微笑み
お茶会の会場に戻るまでの間、私とフロリアナの手はしっかりと繋がれたままになっておりました。その様子を見て驚いたようですが、実際に表情や行動に出さないのは流石ですね。
フロリアナは途中、敢えて私が興味を引かれそうな飾りの前で足を止めて、微笑みを浮かべて話をし、また歩き出すという行動をとります。
皇女と異母兄の前でだけは、僅かに見せることもあった子供らしい行動に、それを引き出している存在に、使用人たちが私を特別視するのに時間はかかりませんでした。
二人で話しながら歩いていれば、お茶会の会場まですぐ到着します。
扉が従者によって開けられると、すぐに視線がこちらに向けられ、その視線の多さにフロリアナがそれまで浮かべていた笑みが消え、無表情な硬質なものに変わりました。
それは私と会場を抜けるまで浮かべていた表情と同じもので、参加している子女たちは表情に関してはとくに気にした様子はないようです。
(でも、気に入りませんね)
私はそう考えて、さりげなく繋いでいたフロリアナの手を離し1歩距離を取りました。
その行動に驚いたのか、一瞬だけ傷ついたような表情を浮かべたフロリアナに申し訳ない気持ちを感じましたが、そのまま腰を下ろし、片手でスカートをつまみ淑女の礼をしたままもう片方の手をフロリアナに差し出しました。
まるで女主人を迎えるような、それでいて絶対の忠誠を約束するような仕草に、私の考えを読み取ったのか、途端に花がこぼれるような笑みを浮かべました。
フロリアナが笑みを浮かべ私の手に自分の手を重ねた瞬間、会場中の空気がザワリと揺れたのを感じます。
無機質な人形のような第一王女であるフロリアナが、この場にいる人達の前で初めて見せた本物の笑みですからね。
(ふふ、やっぱりフィリーには笑顔が似合いますね)
私も笑みを浮かべて軽く手を引っ張れば、抵抗なくフロリアナが一歩私に近づいて再び私たちは並び立って会場の中を進んでいきます。
周囲からひそひそとタンザナイト公爵家がフロリアナの後ろ盾についたのかもしれない、と噂をしている声が聞こえます。
ええ、そうですとも。
我がタンザナイト公爵家は全面的にフロリアナの味方ですよ。
正確には、フロリアナの味方をする私の支援者なのですけどね。
フロリアナが歩いていく中、大きな窓から差し込む柔らかい光が私たちを照らします。
まぁ、お茶会という事で日の光が入りやすい場所ではあるのですが、こうしていると、まるで私たちを祝福しているように見えるかもしれませんね?
並び立つ黒と金の髪。ああ、私の髪はインナーカラーが青だから、黒青と金、というべきでしょうか?
ハトコという血縁の近さもあるからか、どこか似ているような、けれども似ていないような私たち。
もっとも目立つ、そして直射日光は入らないけれど柔らかな光が常に照らしているテーブル席に並んで足を止めた。
「フィリーのおすすめのお菓子はどれですか?」
「早速お菓子でして? ヴィアは食いしん坊さんですわね」
親しげに話す私とフロリアナの姿に、再び会場の空気がザワリと動きました。
それまで私たちの一挙一動を見逃すまいと息をひそめていた子女が、今度は誰が真っ先に私たちに声をかけるかとタイミングを見計らう気配がしますね。
王族の中でも正当な王族の色……淡いブロンドの髪と星の輝きが浮かぶペツォッタイト色の瞳を持つフロリアナ。
ジュエリアとも呼ばれる特別な貴族の血筋を表すタンザナイト色の瞳とインナーカラーとはいえ青の髪色の私。
お近づきになりたいと思うのも仕方がありませんよね。
(でも、過去のループの世界での出来事とはいえ、貴方達はフィリーの心と魂を傷つけてきたのです)
それを許すことはなかなかできないでしょうね。
表面上では楽しくフロリアナとおしゃべりをしながら、私の心は冷静に周囲の動向を窺っていました。
(……あら?)
不意に、窓の外から視線を感じ、一瞬だけ確認するために視線を向けましたが、特に誰かがいる様子はありません。
気のせいでしょうか?
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あ、この作品のPVあります。
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↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




