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その果実が堕ちる前に:乙女たちへの賛歌 ~享年92歳のおばあちゃまの幼女の姿で異世界転生、ツインレイの王女を救う~  作者: 茄珠みしろ
第六章 拝啓 なりそこない様

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春のお茶会での喜劇⑤

挿絵(By みてみん)

「第一王女殿下、タンザナイト公爵令嬢。お邪魔してもよろしいでしょうか?」


 近づいてきたパパラチャ侯爵令嬢が、優雅に微笑みながら声をかけてきましたので、私とフロリアナは小さく頷きました。

 私たちがオイドクシ公爵令嬢との距離を縮めていたこともあり、先ほどの会話は聞こえていましたが、晴れやかな笑みを浮かべたパパラチャ侯爵令嬢に、隠す気がないのですね、と苦笑してしまいます。


「祖父のお願い(・・・)を叶えることができなくなり、残念ですわ」

「まあ、パパラチャ侯爵令嬢。お顔がちっとも残念そうではありませんよ」


 国王の片腕であるパパラチャ侯爵の孫娘であり、パパラチャ侯爵家の正統なるジュエリア(継承者)

 彼女は、今後資格をもつ弟妹が生まれない限り、母親の後を継ぎ次々世代の女侯爵となる予定です。

 第二王子との婚約話は、ジャキルピット男爵令嬢への牽制だったのでしょう。

 皇女の夫君となった男の子供を産んだからと言って、勝手なふるまいができると思うな、という皇帝からの牽制。

 もっとも、正しい意味を理解しているかは謎ですけれどね。

 表向きの理由としては、認知しかしていない自分の娘の子供に対し、王族として迎え入れ、片腕の孫娘を婚約者候補(・・)としてあげた慈悲だとされている。


(それもたった今、表向きの理由はなくなりましたけどね?)


 扇で隠してクスリと笑い、私はフロリアナに半歩近づきました。

 その動きだけで何かを感じ取ったのか、フロリアナは私に視線を向けて目線だけで頷き、アンディア様に視線を向けます。

 フロリアナの視線を受けたアンディア様が、優雅に頭を下げた後オイドクシ公爵令嬢近づいていきました。

 二人がいくつか会話をした後、嫌な顔をしたオイドクシ公爵令嬢ですが、途中で気が変わったのかニヤリと口の端を上げた後、カツカツとわざとらしい程の靴音を立てて近づいてきます。


「ごきげんよぉ。っていうか、前に七夕の時に会いましたけど、挨拶まだでしたっけ? ごめんなさいねぇ?」


 まったく謝意の籠ってない言葉に、思わず笑いそうになりますが、隣にいるフロリアナは私が思ったよりも落ち着いているようなので、私は何も言わずに状況を見守ります。


「……ごきげんよう。わたくしはフロリアナ=カエリア=アダマンスですわ。ご存じとは思いますが、皇女殿下の娘であり、この国の第一王女ですの」


 手本のような淑女の礼をして挨拶をしたフロリアナに、オイドクシ公爵令嬢が眉を寄せる。

 小さく「設定が違うじゃない」と呟いたのが聞こえましたが、彼女の中ではフロリアナが皇女の娘になっていることは違う(・・)ことなのでしょう。

 それで言えば、私が誘拐されずにタンザナイト公爵家の娘でいることも、違う(・・)のでしょう。

 頭を上げたフロリアナが、無表情ながらにオイドクシ公爵令嬢を見つめます。

 私を含めた周囲の子息令嬢もオイドクシ公爵令嬢を見つめます。

 周囲から話し声が消え、誰もが彼女がフロリアナに返礼し名乗りを上げるのを待っています。

 一拍、二拍……。

 誰もが無言でオイドクシ公爵令嬢を見つめますが、彼女は頭を下げることも、名乗る事もしません。


ご令嬢(・・・)、第一王女殿下に返礼と名乗りをなさいませ」


 アンディア様が小さな声で促し、オイドクシ公爵令嬢が「あぁ」と、面倒くさそうにスカートの裾をつまみ、雑に頭を下げました。


「アウリティア=オイドクシです。オイドクシ公爵家の唯一の愛娘でぇす」


 最後の言葉は頭を上げて私に向けて放たれました。

 その言葉に私はにっこりと無言の笑みを返し、何とも思ってないと示しましたが、それが気に入らないのか、オイドクシ公爵令嬢はギロリと私を睨みつけました。

 けれど、同じ土俵に立つ必要はありません。


「第二王子殿下と、お噂の恋人でいらっしゃいますのよね?」


 無表情のフロリアナが問いかければ、オイドクシ公爵令嬢の視線がフロリアナに戻ります。

 先ほどまで浮かんでいた私への不機嫌さは消え、第二王子の恋人と言われた優越感が顔に浮かんでいます。


「うふふ、やっぱり気になっちゃいますぅ?」


 恋人と言われて気をよくしたのでしょう。

 先ほど、その恋人に腕を振り払われたことはもう頭にないようです。


「やっぱり、二人で遊びに行くと、絆って深まっちゃいますからぁ」


 クスクスと笑うオイドクシ公爵令嬢に、フロリアナは変わらない表情で「なるほど」と頷きます。


「では、オイドクシ公爵家は第二王子殿下に正式に婚約を申し出るのでしょうか?」

「当たり前じゃないですか」


 不思議そうに返答したオイドクシ公爵令嬢に、文句を言っていた二人の令嬢は目を吊り上げ、多くの子息令嬢は目を細め、私とフロリアナは表情を変えませんでした。

 彼女はわかっていないのです。

 今の(・・)オイドクシ公爵家に、第二王子の婚約者として娘を擁立できる、資金的余裕がないことを……。


(だって、本来ならヴィヴィアナ(・・・・・・)を捜索するという名目で、タンザナイト公爵家からの支援金があってこそ、オイドクシ公爵家は潤っていたのですから)


 全てを自力で賄うしかないオイドクシ公爵家が、どこまで愛娘(・・)のために動くか、楽しみですね?


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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― 新着の感想 ―
なんというか「そもそもその小説の主人公と同じ行動、言動がとれてるの?」て話ですけどねー。設定の立場に胡座かいてるだけにしか(笑) 本人が小説通りに動かなければ、周りも設定通りのままじゃなくなるだろうに…
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