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その果実が堕ちる前に:乙女たちへの賛歌 ~享年92歳のおばあちゃまの幼女の姿で異世界転生、ツインレイの王女を救う~  作者: 茄珠みしろ
第六章 拝啓 なりそこない様

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春のお茶会での喜劇

挿絵(By みてみん)

 タンザナイト公爵家は新しい家族、フトゥルム=クアム=タンザナイトの誕生で慌ただしい年末年始を迎えることになりました。

 というのも、お母様は乳母という存在にトラウマを抱えており、自分の手で育てると言ってきかず、逆にお婆様やお爺様は乳母を付けるべきだと譲りませんでした。

 お父様はお母様の気持ちもお爺様たちの気持ちもわかるため、信頼できる乳母を探してはどうかと提案したものの、マリッサ(オイドクシ公爵夫人)を信用して乳母にした結果が、私に毒を盛ることを許す状況になっていた、とそれはもう大変な剣幕でお怒りでした。

 あれですかね、前世で言うところのガルガル期でしょうか?

 いえ、トラウマもあるので少し違いますね。

 けれども公爵家の跡継ぎに乳母を付けないとなれば、我が家になにか問題があるのではと噂される可能性があります。

 そんな愚痴をついフロリアナにこぼしてしまったところ、王家から乳母が紹介されることになりました。

 正確には、皇帝の乳兄弟の末の娘と皇女の乳兄弟の妹で、二人ともお母様よりも一年早く子供を産んでいるため、乳母にちょうどいいのではとのことです。

 どちらも伯爵夫人のため我が家に常駐はせず、一日交替で乳母として我が家に来るという事で、最終的には話が落ち着きました。

 それでも、乳母が世話をするのは朝から夜寝るまでとお母様は譲らず、夜の時間は自分が世話をすると言い張りました。

 もっとも、2時間おきのミルクやおむつ替えのためにろくに眠れず、三日目にして体調を崩してしまい、これから訪れるであろう夜泣きに備え、夜に世話をする乳母をもう一人雇い、3人の乳母が交代で世話をすることになりました。

 お父様の後のタンザナイト公爵家を継ぐ子供ですから、他の貴族から過保護すぎるといわれるのは、甘んじて受け入れるしかありません。

 そう、フトゥルムはお婆様やお母様の髪色を一部受け継いでいる私とは違い、髪色もその瞳の色も完全にお父様やお爺様譲りのタンザナイト色です。

 お母様たちの黒い色と、タンザナイト色が混ざっている自分の髪も気に入っていますが、跡取りとなるにはやはりフトゥルムをとなるのが正統でしょう。

 赤ん坊と過ごす時間というのはあっという間で、気づけば3月のお茶会開催の日がやってきました。

 私とフロリアナは事前に打ち合わせをして、お揃いの意匠を取り入れたドレスを着用しての参加です。


「フトゥルムは会いに行くたびに大きくなって、赤ん坊の成長はあっという間ですわね」

「そうですね。毎日傍にいても新しい発見があります」


 そう言って私はフロリアナに今朝がた撮影したフトゥルムの画像を見せる。

 画像や映像、音声の記録用の魔道具は存在しますが当然高額の品物で、一般的には絵に残すのが主流ですが、我がタンザナイト公爵家はすでに所有していますので、特にお母様が熱心に撮影をしています。

 そこには少しの不調も見逃さないという執念も感じますが、気のせいとしておきましょう。


 春のお茶会は子供のみの参加であり、毎回王族の子供や高位の爵位家の子供が参加しているとは限らないため、開始時間になったら会場が解放されて、その場に集まった子供たちが会場に入り自由にお茶会が始まります。

 ただ、今はフロリアナが参加しているため、彼女が登場すれば自然と主催者のような扱いになります。

 もっとも、第二王子も出席するので派閥は別れてしまいますが……。


「ごきげんよう」


 挨拶をしに来た令嬢にフロリアナが最初に言葉をかけ、その後に私が声を掛けます。

 初めて会う令嬢には互いに自己紹介を正式にします。

 会場にはジュエリアの子供も参加しており、正式にフロリアナの侍女になっているアンディア様は常にそばにいますが、他の方々は会場内にばらけつつ、何かあればすぐ動けるようにこちらに意識を向けているようです。


「ルベニウス様ぁ♡」


 甘ったるい子供の声が聞こえてきたので視線を向ければ、第二王子の髪色を意識した赤いドレスを身に着け、オイドクシ公爵令嬢が恋に恋をする少女のような笑みを浮かべていました。

 以前から思っていましたが、彼女はあの年齢でお化粧していますよね?

 重陽の節句でお見かけした時よりも、目元の釣り上りが抑えられており、ぱっちりとしたたれ目に見えます。


「はしたない」


 フロリアナの周囲にいた令嬢の一人が小さな声でそう囁けば、伝播するように冷たい感情がオイドクシ公爵令嬢に向けられました。

 この場に参加しているということは、家としては彼女の淑女教育に合格点を出したということですが、教育を担当しているジンカイト伯爵夫人は、最後まで参加させないほうがましと反対したそうです。

 とはいえ、第二王子とオイドクシ公爵令嬢の重陽の節句でのデートの噂のせいで、彼女をいつまでもデビューさせないわけにもいかず、オイドクシ公爵の独断でこの場に参加させたそうです。

 なんでも第二王子の可愛い恋人といわれる娘をデビューさせなければ、王家がデビューもしていない分別のない子供(・・・・・・・)をそそのかしたと言われる、など遠回しに陳情したそうです。

 本当に汚い手を使いますね。

 この件で、ジンカイト伯爵夫人はオイドクシ公爵令嬢の教育係を、正式に退任したと聞きます。


(合格をもらえていないご令嬢の振る舞いとやらを、見せてもらいましょう……)


 今回のためにフロリアナと揃いで用意した扇子で口元を隠し、ゆったりとした笑みを浮かべました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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デビューする令嬢のお手並み拝見(見る前から分かる(笑)
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