IFの世界のヒロイン アウリティア視点
「オイドクシ公爵令嬢。本日よりあなたの教育を担当することになりました。どうぞよろしくお願いいたします」
「あ、そう」
王家から紹介されて、どうしても断れないからって、あたしの教育係が新しくなったけど、見るからにお固そうなオバさん。
着てる服も華やかさがまったくないし、これで令嬢教育をするっていうの?
流行もまったく理解できないような女が、何を教えるっていうの?
「……指導は、オイドクシ公爵と王家の許可を得て、私がこの家に立ち入った時から始まっています」
「だからぁ?」
そう言った瞬間、にっこりと微笑んだ教育係が「物心がついた時は男爵令嬢だったとはいえ、基本的な挨拶もお出来にならないようですね」と言ってお母様を見た。
お母様は引きつった表情になり、「アウリティア、ジンカイト伯爵夫人にご挨拶をしなさい」と焦ったように言うから、マジで意味が分からないわ。
所詮伯爵夫人でしょ? 公爵令嬢のあたしが気を使う必要があるの?
「改めまして、私はメイディ=ジンカイトと申します。オイドクシ公爵夫人がおっしゃったように、ジンカイト伯爵の妻でございます」
「あっそ」
———ピシンッ
めんどうで適当に返事をしたら、瞬間手の甲を叩かれた。
はぁ? 意味わからない。
「体罰は幼児にはトラウマになりますので、できうる限り避けたいのですが……。お嬢様はその年齢で幼児もわかるようなマナーも出来ず、口で言ってもご理解できないようですからね」
冷たい視線に無性にイラついて、近くにあった燭台を掴んで教育係を殴りつけようとしたけど、すぐさま腕を掴まれて足払いをかけられ、あっという間に床に叩きつけられた。
「いっ……」
「すぐさま癇癪を起こし、暴力に走ろうとするなんて、とても公爵令嬢とは言えませんね。いいえ、男爵令嬢のままだったとしても、家の恥としてデビューなど永遠に無理でしょう」
「なんですって!?」
叩きつけられた体勢のまま顔だけを無理に上に向けて、教育係を睨みつけるけど、逆に冷たい視線で睨みつけられて、グッとあたしの喉が鳴る音が聞こえた。
「けれど、第二王子殿下と不謹慎な噂が出回っている以上、来年の春のお茶会では必ずデビューしていただく必要があります」
冷たい声で言ってくるこの女が、マジであたしの教育係? ざけんなよ。
「お母様! こんな暴力的な人があたしの教育係なんて、ひどすぎます!」
「それは……」
お母様に訴えても、視線を外される。
そんなに王家が偉いって言うの?
「いくらよ!」
「はい?」
「いくらもらってんのかって言ってんのよ!」
あたしの言葉に教育係の女が、呆れた視線を向けて来て、手を離した。
そのままあたしは体を起こしたけど、立ち上がるのに手を貸してもくれない。
なんだってのよ! 馬鹿にして!
あたしは誰よりも身分の高いお嬢様なのよ! 公爵令嬢で偉いのよ!
家にお金だってあるわ! なんでこんなめにあわなくちゃいけないわけ?
せっかく、せっかくお気に入りの小説の世界に転生してきたのに、意味ないじゃない。
ヒロインを引きずり下ろす悪役令嬢が活躍する。これこそがこの小説の内容じゃない!
「私の雇用主は皇女殿下の夫君、ひいては皇女殿下そのものです。なぜ、貴女に教育係としての給金を教える必要があるのでしょう?」
「その倍払ってやるわよ! あたしの言うことを聞きなさいよ!」
公爵家なのよ。王家がなんだっていうの? 所詮は税金で暮らしてる道楽じゃない。
あたしの方が偉いのよ。
そもそも王族になんの意味があるの? 税金泥棒よ税金泥棒!
いなくなってもあたしみたいな貴族がいるんだから、何の問題もないじゃない。
「クスッ」
あたしがせっかく倍のお給料を払うって言ってるのに、教育係は鼻で笑って来た。
「心の声が漏れていますよ? 本当に教養のない子供ですね」
「なっ」
怒りのあまりまた手が出たけど、あっさりかわされて床に顔から転ぶ羽目になった。
「ぐぅっ」
「貴女の首で国が救えますか?」
冷たく言い放たれた言葉に「はぁ?」と言って顔を上げたけど、あたしを見る教育係の目が冷え切っていて一瞬だけ息が止まった。
背中に嫌な汗がにじむような感覚も忘れるような視線。
「確かに今貴女は公爵令嬢です。けれども何かがあった際に、国を救う人身御供になることができるわけではありません」
「なにそれ」
「オイドクシ公爵家は確かにガラス産業に強い家ですが、その功績も100年以上前のものをそのまま使っているだけです。タンザナイト公爵家のご令嬢がオイドクシ公爵家に嫁いだのは、この家の格をましにするためです」
皇帝の姪を嫁に貰い、その間の子供が家を継げば、王室の縁戚になることができたと言われ、あたしでは何の意味もないと言われた気がして、ギリッと手を握りしめた。
このあたしが、ヴィヴィアナより劣るとでもいうの?
ヒロインなんて、この世界では悪役令嬢に逆転されて踏み台にされる、ただの当て馬でしかないのに!
この小説の真のヒロインはあたしなのよ!
せっかくヒロインをざまぁ出来る小説の世界に転生したのよ。
あたしこそが、この世界の中心なのよ!
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こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。
あ、この作品のPVあります。
見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)
↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




