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その果実が堕ちる前に:乙女たちへの賛歌 ~享年92歳のおばあちゃまの幼女の姿で異世界転生、ツインレイの王女を救う~  作者: 茄珠みしろ
第六章 拝啓 なりそこない様

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IFの世界のヒロイン アウリティア視点

挿絵(By みてみん)

「オイドクシ公爵令嬢。本日よりあなたの教育を担当することになりました。どうぞよろしくお願いいたします」

「あ、そう」


 王家から紹介されて、どうしても断れないからって、あたしの教育係が新しくなったけど、見るからにお固そうなオバさん。

 着てる服も華やかさがまったくないし、これで令嬢教育をするっていうの?

 流行もまったく理解できないような女が、何を教えるっていうの?


「……指導は、オイドクシ公爵と王家の許可を得て、私がこの家に立ち入った時から始まっています」

「だからぁ?」


 そう言った瞬間、にっこりと微笑んだ教育係が「物心がついた時は男爵令嬢だったとはいえ、基本的な挨拶もお出来にならないようですね」と言ってお母様を見た。

 お母様は引きつった表情になり、「アウリティア、ジンカイト伯爵夫人にご挨拶をしなさい」と焦ったように言うから、マジで意味が分からないわ。

 所詮伯爵夫人でしょ? 公爵令嬢のあたしが気を使う必要があるの?


「改めまして、私はメイディ=ジンカイトと申します。オイドクシ公爵夫人がおっしゃったように、ジンカイト伯爵の妻でございます」

「あっそ」


———ピシンッ


 めんどうで適当に返事をしたら、瞬間手の甲を叩かれた。

 はぁ? 意味わからない。


「体罰は幼児(・・)にはトラウマになりますので、できうる限り避けたいのですが……。お嬢様はその年齢で幼児もわかるようなマナーも出来ず、口で言ってもご理解できないようですからね」


 冷たい視線に無性にイラついて、近くにあった燭台を掴んで教育係を殴りつけようとしたけど、すぐさま腕を掴まれて足払いをかけられ、あっという間に床に叩きつけられた。


「いっ……」

「すぐさま癇癪を起こし、暴力に走ろうとするなんて、とても公爵令嬢とは言えませんね。いいえ、男爵令嬢のままだったとしても、家の恥としてデビューなど永遠に無理でしょう」

「なんですって!?」


 叩きつけられた体勢のまま顔だけを無理に上に向けて、教育係を睨みつけるけど、逆に冷たい視線で睨みつけられて、グッとあたしの喉が鳴る音が聞こえた。


「けれど、第二王子殿下と不謹慎な噂が出回っている以上、来年の春のお茶会では必ず(・・)デビューしていただく必要があります」


 冷たい声で言ってくるこの女が、マジであたしの教育係? ざけんなよ。


「お母様! こんな暴力的な人があたしの教育係なんて、ひどすぎます!」

「それは……」


 お母様に訴えても、視線を外される。

 そんなに王家が偉いって言うの?


「いくらよ!」

「はい?」

「いくらもらってんのかって言ってんのよ!」


 あたしの言葉に教育係の女が、呆れた視線を向けて来て、手を離した。

 そのままあたしは体を起こしたけど、立ち上がるのに手を貸してもくれない。

 なんだってのよ! 馬鹿にして!

 あたしは誰よりも身分の高いお嬢様なのよ! 公爵令嬢で偉いのよ!

 家にお金だってあるわ! なんでこんなめにあわなくちゃいけないわけ?

 せっかく、せっかくお気に入りの小説の世界に転生してきたのに、意味ないじゃない。

 ヒロインを引きずり下ろす悪役令嬢が活躍する。これこそがこの小説の内容じゃない!


「私の雇用主は皇女殿下の夫君、ひいては皇女殿下そのものです。なぜ、貴女に教育係としての給金を教える必要があるのでしょう?」

「その倍払ってやるわよ! あたしの言うことを聞きなさいよ!」


 公爵家なのよ。王家がなんだっていうの? 所詮は税金で暮らしてる道楽じゃない。

 あたしの方が偉いのよ。

 そもそも王族になんの意味があるの? 税金泥棒よ税金泥棒!

 いなくなってもあたしみたいな貴族がいるんだから、何の問題もないじゃない。


「クスッ」


 あたしがせっかく倍のお給料を払うって言ってるのに、教育係は鼻で笑って来た。


「心の声が漏れていますよ? 本当に教養のない子供ですね」

「なっ」


 怒りのあまりまた手が出たけど、あっさりかわされて床に顔から転ぶ羽目になった。


「ぐぅっ」

「貴女の首で国が救えますか?」


 冷たく言い放たれた言葉に「はぁ?」と言って顔を上げたけど、あたしを見る教育係の目が冷え切っていて一瞬だけ息が止まった。

 背中に嫌な汗がにじむような感覚も忘れるような視線。


「確かに今貴女は公爵令嬢です。けれども何かがあった際に、国を救う人身御供になることができるわけではありません」

「なにそれ」

「オイドクシ公爵家は確かにガラス産業に強い家ですが、その功績も100年以上前のものをそのまま使っているだけです。タンザナイト公爵家のご令嬢がオイドクシ公爵家に嫁いだのは、この家の格をまし(・・)にするためです」


 皇帝の姪を嫁に貰い、その間の子供が家を継げば、王室の縁戚になることができたと言われ、あたしでは何の意味もないと言われた気がして、ギリッと手を握りしめた。

 このあたしが、ヴィヴィアナより劣るとでもいうの?

 ヒロインなんて、この世界では悪役令嬢に逆転されて踏み台にされる、ただの当て馬でしかないのに!

 この小説の真のヒロインはあたしなのよ!

 せっかくヒロインをざまぁ出来る小説(同人小説)の世界に転生したのよ。

 あたしこそが、この世界の中心なのよ!


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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― 新着の感想 ―
たとえ小説世界であっても「自分が知らないことが起こっている時点で自分が知らない同人版だったら」とか考えられないあたり、とても残念な脳内(笑)
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