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その果実が堕ちる前に:乙女たちへの賛歌 ~享年92歳のおばあちゃまの幼女の姿で異世界転生、ツインレイの王女を救う~  作者: 茄珠みしろ
第五章 動き出す星暦と運命

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重陽の節句イベント③ アウリティア視点

挿絵(By みてみん)

 祭りは楽しいけど、やっぱり護衛が邪魔でなんだか違うのよね。

 やっぱり、護衛を撒かないと心の底から楽しめないわ。


「ルベニウス様、あの屋台の食べ物はどうですか?」

「下民と同じものを食べるのか?」


 嫌な表情を浮かべるルベニウスに、「そうじゃなくって」と耳打ちする。

 急に近づいた距離に護衛が反応したけど、あたしはまだ子供だからなのか、すぐその警戒心を解いた。

 まぁ、その油断はこっちとしてはありがたいわね。

 あたしが急に近づいたからか、ルベニウスは慌てて離れようとしたけど、腕を絡めて逃げられないようにした。


「あたしとルベニウス様の分を護衛に買ってこさせて、そのすきに護衛を撒きましょう?」

「そういうことか」


 あたしの提案に納得したのか、ルベニウスがすぐに護衛に屋台のものを買ってくるように命令した。

 でも、それで動いたのは一人だけ。

 あと4人いるけど、見学しながら人ごみに紛れちゃえば、護衛なんて簡単にまけるわよね。


「あ、ルベニウス様ぁ。あっちでなんかしてますよ! いってみましょう!」


 そう言って手を引っ張って急に走り出す。

 驚いたルベニウスだけど、運動不足なのかしら? すぐに息切れしちゃってなっさけないわね。

 でも、王子様なんてそんなものなのかも。

 剣術の授業とか始まったらきっと体力もつくわよね。

 後ろをちらっと見れば、護衛たちは人ごみに邪魔されてるのがわかる。


(もうちょっとで撒けるわね)


 そう考えてルベニウスの腕を引いて、さらに人ごみに紛れていく。

 子供の身長は大人の中に入ってしまえば見つかりにくくなって、どんどん護衛が離れていく。


「ルベニウス様、ほらほら、あっちですよ」

「待てって!」


 そういうけど、その顔にはどこか期待してるのがわかる。

 こういうのはテンプレなのよ。

 新鮮な体験をして、それを共有した相手に親近感を持つ。それが、恋の始まりになるってね。

 護衛から十分に距離を取ったところで、あたしはルベニウスを連れて大通りの露店からがずれた道を選ぶ。

 少しまばらっていうかみすぼらしい感じの店も多くなるけど、だからこその吊り橋効果よ。


「なんだか汚いな」


 ぼそりと呟いたルベニウスに、あたしもちょっと変なにおいがするかもって思ってたから、頷きたかったけど、「庶民の住んでる場所ですから」って言っておいた。

 だって、これで戻られちゃったら意味ないじゃない。

 それでも比較的ましな店の前に行って、串焼きを2本買うと、片方をルベニウスに渡した。

 前世なら男が買いなさいよって思うところだけど、ルベニウスは自分にはない平民っぽい行動をするヒロイン(・・・・)が好きなんだし、仕方がないから譲ってあげるわ。


「熱いうちに食べて下さいね」


 にっこり笑って見本を見せるように、あたしが先に串焼きにかじりつくと、ルベニウスが驚いてその様子を見てくる。

 あ、はしたないとか思ってる? マンガでも高貴な人が丸かじりに驚いてるのを見たことがあるわ。


「ルベニウス様、こういうのはこうやって食べるのが普通なんですよ。それにここは庶民のお店ですから、周りを気にしなくていいんですよ」


 そう言ったら、ルベニウスは周囲を確認したけど、なにか覚悟を決めたのか、一気にかぶりついて、目を大きくしてる。


「味は、薄いけど……うまい……」

「でっしょー!」


 っていうか、王宮の料理より味が劣るのは当たり前じゃない。

 でも美味しいって言うのは、暖かい料理を食べたことがないとかそういうやつ?


「王宮だと大変ですよねぇ。毒見でしたっけ? そういうのしてる間に料理が冷めるんですよね?」


 図星なのか無言のルベニウスに、あたしは「大丈夫です」って笑う。


「ここは誰が何を食べるかわからない屋台通りですよ。だから、毒なんて心配しなくっていいんです」


 そう言って今度はジュースを買って渡す。


「……ぬるい」

「あはは、氷は庶民には高級品ですよ。それにまだ暑いから、すぐ溶けちゃうんです、がまんですよ」

「おれが我慢するのか?」


 不服そうに言うルベニウスに、あたしは笑って言う。

 お坊ちゃまってこういうところがわがままよねぇ。


「これもお祭りの醍醐味ですよ」


 笑って丸め込んで、そのままルベニウスを連れ歩いて自由な時間を楽しむ。

 最初は不服そうな表情も浮かべていたルベニウスだけど、今は何だかんだ楽しんでるみたい。

 そろそろ大通りに戻ってもいいかな。

 気づかれないようにルベニウスを大通りに誘導して、だんだんまた人込みに紛れていく。

 そういえば、今頃あの護衛たちが必死にあたしたちを探し回ってるかもね。

 あたしのイベントデートの邪魔をするのが悪いのよ。

 見失った罰でも後で受ければいいのよ。


「あ……」

「え?」


 ルベニウスの視線の先には、こっちに駆けてくる護衛の姿があって、明らかにルベニウスはがっかりしてるわ。

 自由な時間が終わっちゃうって思ったのね。

 でも大丈夫。お祭りはまだまだ続くんだから。


「こっちですよ」


 ルベニウスの手を引いて護衛が近づけないように、距離を取っていく。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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