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お爺様への薬草茶

挿絵(By みてみん)

 8月、前世の晩年の異常気象、いえ、温暖化現象といえるほどではありませんが、こちらの夏も暑く、体があまり丈夫ではない私には少し厳しい季節ですね。

 屋敷の中は魔道具を使用して温度管理がなされていますが、香草や野草を育てている温室までの道のりは、日傘を使っていてもつらいものがあります。

 いつにもまして遅くなる私の足取りに、侍女や護衛が何度か「抱き上げましょうか?」と言ってくれましたが、私の体力をつけるためにも甘んじるわけにはいきません。

 それに体が動く時は動かないと、すぐに鈍ってしまいますからね。

 若いうちの基礎体力付けや習慣付けは重要なのです。


(とはいえ、今日は特に暑いですね)


 温度計が存在しませんが、体感30度は越えていますよ……たぶん。

 芝生に水撒きはされているので、前世よりはずっとましですが、暑いものは暑いですよね。


「はあ」

「お嬢様! 大丈夫ですか!?」


 思わず出てしまったため息に、侍女が慌てて反応しましたが、私は大丈夫と笑って温室に入ります。

 別荘で育てていた野草や香草の苗を半分ほどこちらに移し、残してきた分は領地の今後の産業として発展させるため、栽培方法を伝えておきました。

 お爺様曰く、今のところ問題なく事業は進んでいるそうです。


(今日は、頭痛に効くものを調合しましょうか)


 お爺様がお疲れのようで、今朝頭痛がすると言っていましたからね。

 侍医が既に対応をしていますが、侍医に許可をもらって、お薬に影響のない薬草茶を飲んでいただくためです。

 本来なら、漢方のように事前に煎じておくのがいいのでしょうが、流石に詳しい薬学や漢方には深い知識がありませんから、下手に手を出したくないですね。


(頭痛には……磯菊ですね)


 本来なら海辺のような砂のある場所に生息するのですが、別荘付近の川辺に自生していたので、そのまま苗を持ち帰り別荘で繁殖させました。

 やせた土地を好む野草なので、タンザナイト公爵領と相性がよかったのでしょう。


(えっと、孫はなんといっていましたか……エム体質植物、でしたか?)


 まあともかく、栽培を任せた人には肥料を与えすぎないようにと特に注意しました。

 温室ではありますが、魔道具で風通しはよくしているので、磯菊も繁殖しやすい環境になっているはずです。

 磯菊をいくつか摘み、温室に設置している魔道具で速乾させます。

 魔道具は本当に便利ですね。これは私がお爺様に頼んで特注していただいたものですので、きっとお値段は……相当お高いでしょうが……。


(そう考えると、私は浪費家なのかもしれませんねぇ)


 あとでお婆様に相談してみないといけません。

 乾燥されたのを確認して、コットンに包んでいくつかのパック状にすると、他の野草や香草の状態を確認し、温室を後にしました。


 館に戻ると、出迎えに来た執事にお爺様の居場所を聞けば、頭痛がするというのに執務室で仕事をしているというので、過労で倒れる前に一度休ませなければ、と強く決心しました。

 前世の雇用形態とまでは言いませんが、定期的な休暇制度は欲しいですよね。

 寝ている時間以外ほとんど働くなんて、前世の旧い世代の主婦ですか?

 いえ、若い世代も共働きなどで休む間もなく働く女性は多いと聞きましたね。

 育児をしている時など、それこそ寝る間もなく働かなければいけませんでした。


(……この屋敷の使用人や住人が倒れる前に、お爺様に働き方改革をしてもらいましょう。本人も含めて)


 これは、お爺様だけではなくお婆様やお父様、お母様にも話すべきですね。

 必要なら執事長や侍女長、メイド長にも確認が必要ですね。


(孫が言っていたブラック企業にしてはいけません!)


 考えながらお爺様の執務室の前に到着し、少し待っていると侍女がお湯とカップをカートに乗せて来てくれたので、扉をノックして入室許可をいただきました。


「お邪魔いたします、お爺様」

「どうした、ヴィヴィアナ」


 真面目な表情で私を出迎えたお爺様ですが、すぐさま「まあ座りなさい」と言って、執事に自分の隣に椅子を用意させました。


「お爺様、今朝お顔の色が悪いとお父様が尋ねた時、軽い頭痛がすると言っていましたので、侍医に確認して薬草茶をお持ちしました。良ければお飲みください」

「そうか」


 表情は崩していませんが、声がわずかに弾んでいるように聞こえるので、喜んでもらえたようですね。

 最初はこの時期ですし、冷やして召し上がっていただくことも考えましたが、館の中は温度調整されていますし、あまり体を冷やすのはよくないので、温かい状態で召し上がっていただくことにしました。


「執事長もご一緒にどうぞ」


 私がにっこり言えば、お爺様の雰囲気がピリっとしましたが、執事長はにこやかに「お嬢様のご厚意に感謝いたします。よろしいですよね、旦那様」とお爺様に言いました。


「……許す」


 ぐぬっという音が聞こえそうな声で言うお爺様に、執事長はさらに笑みを深め、「お嬢様もここでご休憩なさっていかれてはいかがでしょう? 茶菓子を用意させましょう」と言ったことで、お爺様から漂う空気が柔らかくなったのを感じます。

 お爺様、執事長に手玉に取られていませんか?


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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お爺様が執事長の掌の上でコロコロと……(笑)
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