出会いのお手伝い②
「自然の風もありますが、この辺は特別に魔道具で気温を下げているのですよ」
「なるほど、通りでこの付近にくると涼しさが一段と強くなるわけですわね」
私に腕を組まれたまま、せせらぎの音を楽しみつつ、邪魔をしないように小声で話していると、アンディア様が冷やした果実水を運んできてくれました。
(冷やした果実水もいいですが、冷やした甘酒が恋しいですね)
酒粕も米麹もこの国にはないのですよね。
いえ、そもそもお米がないのですからどうしようもありませんが……。
周辺国にある穀物に稲はありませんからね……。
王宮にある書物を調べれば、何かヒントがあるかもしれませんが……、花図鑑はもちろん、薬物図鑑や薬草図鑑にもありませんでした。
最新の植物図鑑も確認しましたが、稲はありませんでした。
うーん……。
名前もない草花、もしくは雑草として早期に引き抜かれて、稲にならないまま捨てられているかもしれません。
どうにかして稲を探したいと考えていると、フロリアナが「そういえば、香り袋の話ですけれど、主だったハーブをこちらも用意いたしましたわ」と笑みを浮かべました。
「ヴィアの育てているハーブと同じものもありますが、王宮でしか扱わない特別なハーブもあるのですわ」
「まあ、それは楽しみですね」
フロリアナと他愛のない雑談をしていると、目の端で第二王子がつまらなさそうに川に近づいていくのが見えました。
護衛もついて行っておりますが、母親であるジャキルピット男爵令嬢も、実父である皇女の夫君も胃互いの会話に夢中で、息子に興味がなさそうですね。
子供を持つ親として情けないこと……。
「フィリー、見て下さいな」
「なんでして?」
私が視線で第二王子がいる方を見れば、フロリアナも自然とそちらを見ました。
一瞬だけ体がこわばりましたが、すぐに力を抜き、私と同じように第二王子を観察し始めました。
私たちの視線の動きに、護衛や侍女たちも第二王子に視線を向け、護衛を引き連れて川辺にそって離れていくのを確認しました。
けれども、彼らは私たちの護衛と世話をする役目があるため、第二王子の行動を報告するつもりはないようです。
そもそも、彼らは第二王子のことをなんとも思っていないのかもしれません。
「ヴィア、あのまま彼はあちらに行く気でしょうか? それではあちらの川涼みの邪魔をしてしまいますわ」
「大丈夫、ジンカイト伯爵家は少々のことで騒ぎ立てる家ではありませんよ」
もともと多少騒ぎが起きるかもしれないと、事前にお伝えしていますしね。
けれど、そのまま歩いていく第二王子を目で追っていけば、ジンカイト伯爵家主催の川涼みに近づきましたが、興味がなさそうに川を離れて雑木林の方に向かいました。
(あら、あちらに行かれると様子が分からなくなりますが……)
少し残念だと思っていると、第二王子の姿を確認したのか、オイドクシ公爵令嬢が第二王子を追いかけて雑木林に歩いていきました。
「ヴィア……」
フロリアナが二人の行動を確認し、私にどうするかと視線で問えば、私はにっこりと微笑んでから、アングレサイト男爵令嬢に視線を投げました。
その視線に頷いたアングレサイト男爵令嬢がさりげなさを装い、二人の後を追いかけていきました。
「大丈夫ですよ、フィリー。きっと素敵な出会いが彼らに待っているでしょう」
フロリアナの中では、オイドクシ公爵令嬢と第二王子はヴィヴィアナが登場するまで、仲睦まじい恋人になるわけですから、私の言葉に不安な表情を浮かべましたが、むしろそれこそが狙いですからね。
そのまま、川涼みもお開きにしようというころ、第二王子とオイドクシ公爵令嬢が戻ってくるのを確認しました。
そのあとすぐ、アングレサイト男爵令嬢が戻ってきて、そっとメモを渡してきました。
すぐさまフロリアナと一緒に確認すると、護衛を撒いた第二王子にオイドクシ公爵令嬢が近づき、躓いた第二王子を助け楽しそうな会話を繰り広げたようです。
主な内容は、私やフロリアナの悪口のようですが、それでしたら盛り上がるでしょうね。
親しくなった二人は、にこやかに別れの挨拶をしてから、こちらに戻ってきました。
私とフロリアナはそれを確認し、護衛に囲まれたまま皇帝たちがいる場所に戻りました。
ジャキルピット男爵令嬢に第二王子が、気になる令嬢が出来たと話しているのが聞こえました。
それがオイドクシ公爵令嬢だと聞き、ジャキルピット男爵令嬢は眉を顰め、「後妻の連れ子は貴方にふさわしくありません」と言いましたが、第二王子は逆に「彼女がオイドクシ公爵の実の娘だって、みんな知っていると言っていました!」と大声で叫んでしまいました。
(あらまぁ……)
無表情になったお爺様とお婆様。元とはいえ愛娘の夫が浮気をしていた生き証人がいるとなれば、不快にならないはずがありません。
とはいえ、お爺様たちもすでに当然知っている情報ですから、今更ではありますよね。
「もう約束したんだ、彼女を僕の離宮に呼ぶって!」
叫んだ第二王子に、ジャキルピット男爵令嬢が「なんてこと!」と叫んで、手を振り上げかけたのが見えましたが、すぐさま切り替えたのかよろめいて皇女の夫君にもたれかかり、「旦那様ぁ」と甘えた声を出しました。
(すぐそばに皇女がいるというのに、自分の方が愛されている自信があるからでしょう)
それは事実ですが、その男に対して皇女の愛情があると思っているのでしょうか?
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こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。
あ、この作品のPVあります。
見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)
↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




