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新しい授業の始まり

挿絵(By みてみん)

 この空気……どうしたらよいのでしょう?

 アストリアンが原古神語の授業をするにあたり、彼専用の部屋が王宮に用意され、なぜかついで(・・・)に私専用の部屋も用意されました。

 王宮の奥、つまり皇位継承の資格を持つ方が部屋を構える場所に……です。

 それもおかしいのですが、いざ授業となったら私を中央に、左右にアストリアンとフロリアナが座っています。

 フロリアナはともかく、アストリアンは講師なのだから、向かいに座ったらいかがでしょうか。

 というか、子供の姿とはいえ、狭いのですが?


「アストリアン様、どうぞ向かいの席にご移動なさってください」

「いえいえ、お気になさらずに」


 私が気にしますので、移っていただきたいのですけど、わざとですね?

 そしてフロリアナ、しがみつくのはいいのですが、貴女のきき手が使えなくなっていますが、いいのですか?

 どうしたものかとため息を内心でつくと、珍しくアンディア様が「ンンッ」と声を出したあと、すっとアストリアンが使用する教本やカップを、向かいの席に移動させました。

 そして、にっこりとアストリアンに笑みを向けましたので、無言で「移動しろ」と言っていますね。

 アンディア様がこのような行動にでるとは、本当に珍しいですね。

 普段は徹底して主人に尽くす侍女を貫いているのですが……。

 アストリアンもわずかに驚いたようにしていますが、すぐに肩をすくめ、大人しく向かいの席に移動しました。

 確認したフロリアナが軽く息を吐いてから、私の腕を離しました。

 もっとも、距離は拳一つもなくドレス越しにふとももがぶつかるほどです。

 フロリアナのアストリアンに対する敵対心はどうしましょう?

 警戒するよりも、協力して利用する方が効率はいいと思うのですけど……。


「では、まあ……まずは、お二人がどこまで神語を理解しているかの確認から始めましょう」


 アストリアンは楽しそうに、神語の本を開きました。

 周辺国家の基礎言語は習得していますが、実は私は神語を習い始めたばかりなのですよね。

 フロリアナはループを繰り返す中で習得したようですが、私はこの世界に転生してまだ1年と数か月ですからね……。

 数か国語の基礎を習得しただけでも、子供の吸収が早い脳に感謝です。

 アストリアンとフロリアナが教本を見ながら、神語で会話をしていますが、半分もわかりませんね。

 文字は解読できますが、発音が難しいのですよね。

 そう考えながら、教本文字を確認していきますが、神語は象形文字を崩したような形です。

 前世で漢字に慣れ親しんだ身としては、象形文字には親しみがありますが……、漢字よりも崩し方が強くて解読が難しいのですよね。

 流石にもう読めるようになりましたけど。


(………………あら?)


 私が教本を読んでいる間に、フロリアナとアストリアンは随分と盛り上がっているようです。

真剣な顔をしているフロリアナにアストリアンが楽しそうな顔で話をしています。

 喧嘩をしないのであれば、それで構いませんし、その間、私は邪魔をしないように復習をしておきましょう。

 教本の内容は経典のようなものから、神話ですね。

 いつも思いますが、時代に合わせてわかりやすく解釈を添えた方が、多くの方が読むようになるのではないでしょうか。

 孫やひ孫も、歴史や古典は意味が分からないと嘆いていました。

 私がかみ砕いて説明していましたが、あの子たちの感想が「昔から恋愛ってドロドロなんだね」と言われた時は、否定できず困ったものです。

 純愛もありますよ、となんとか言いつくろった、いえ、否定しましたが、人という生き物はどの時代もあまり変わりませんよね。


「どういうことですの?」


 不意にフロリアナの言葉が耳に入り、驚いてそちらを見れば、アストリアンをフロリアナが睨みつけていました。

 私が聞き取れなかった部分で、悪口でも言われたのでしょうか?

 それであれば、私も容赦しませんが……。


「なにかあったのですか?」


 にこやかな笑みを浮かべて尋ねると、フロリアナが私の腕に再度しがみついてきました。


「ヴィア、このアストリアン様と二人きりで馬車に乗ったり、夜中に二人きりでいたりしたそうですわね?」

「…………まあ、そう……ですわね?」


 嘘をつくようなものでもないので、頷くとフロリアナはより強くしがみついてきました。

 式典の宴でも夜に会っていたと話していたはずなのですが、どうしたのでしょう?


「寝顔を見たことといい、ずるいですわ!」

「どういうことでしょう?」

「だから今日はここに泊って行ってくださいませ!」

「……………………なにが、だからで泊っていくことになるのでしょう?」


 そう言った瞬間見つめてくるフロリアナの目には覚えがあります。

 駄々をこねる子供、孫、ひ孫と同じ目です。

 王宮には私専用の部屋もありますからお泊りは構いませんが、タンザナイト公爵家に連絡をして、着替えなどを届けてもらわないといけませんね。

 あ、いえ明日は予定がありましたね。


「ごめんなさい、フィリー。明日はお養父様のお誕生日ですから、今日は帰って準備をしないといけません」

「誕生日……。それは、しかたがありませんわね……」


 寂しそうにうなだれるフロリアナには申し訳ないですが、明日は私がお養父様の呼び方をお父様(・・・)に変えるのです。

 そして、プレゼントも仕上げをしなければいけません。


(けれど、この手で刺繍をするのには時間がかかりますね)


 前世であればもう終わっていたはずなのに、とため息をついてしまいそうになるのは、しかたがありませんよね。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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