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直前の参加表明は困りますよ?

挿絵(By みてみん)

 フロリアナと別れて屋敷に帰り、部屋に戻ると侍女が用意した茶菓子やお茶を飲んで一息つきました。

 初めての原古神語の授業だったからでしょうか、随分と疲れてしまいましたね。

 とはいえ、私は復習しているだけでしたが。


(今夜中に刺繍を終えないといけませんね……)


 とはいえ、もう少しで完成ですから大丈夫でしょう。

 侍女に言いつけて作りかけのお守りと、道具を持ってこさせます。

 お守りを兼ねた匂い袋ですが、中身は私が育てた香草(ハーブ)ですが、つい私好みになってしまったので、お養父様のお気に召すかわかりませんね。

 袋に一針ずつ願いを込めて刺していきます。

 刺繍枠も大きなものは使えないので、小さなものを準備してもらい、子供の手には大きく感じる針は、まだ私の手にはなじみませんね。

 最初は侍女どころか、お母様もお婆様も止めにきましたが、ゆっくりやるし侍女が必ずついている場所ですると約束し、なんとか許してもらいました。


「お嬢様、不思議な模様をしておりますが、まだ完成なさらないのですか?」


 侍女が手元を確認しながら尋ねてきますが、私は「もう少しです」ともう一針刺しました。

 どの侍女も見たことがないと言いますけれども、当然のことです。

 前世では刺繍は嗜みと教えられ、それなりの技術を身に付けましたが、この体でも同じように……とはいきませんが、記憶にあるので手が動いてくれるのは助かりますね。

 表の布地だけではなく、裏の布地にも刺繍をします。

 重要なのは飾りの多い表の刺繍ではなく、守りの願いを込めた裏の刺繍です。

 お養父様の健康祈願、商売繁盛、そして家内安全です。

 子孫繁栄は……お母様のお腹に子供がいますから、ことが落ち着いてからでいいでしょう。

 ゆっくりゆっくりと、間違わないように、自分の指に針を刺して侍女たちが止めに入らないよう、慎重に進めていきます。

 そのぶん、しっかりと想いを込めることができると思えば、まあよいでしょう。

 けれど、この刺繍を始めてから、私の中の魔力が安定していくのを感じますが、どういう繋がりがあるのでしょうね。


(……前世で縁を繋いでいた神々に関わる刺繍ですが、その影響でしょうか?)


 そういえば、アストリアンも私を守護する過保護の神々がいると言っていましたが、……まさか本当にあの方々がこちらの世界にまで干渉しに来ているのでしょうか?

 考えた瞬間、周囲でパチリと魔力の火花が爆ぜました。

 侍女が驚いたように息を飲みましたが、その火花の残照が刺繍に吸い込まれるのを見て、刺繍に魔力を込めているのだと思ったのか、なにも言わずにいます。


(とくに、魔力を込めているつもりはないのですが……)


 きっと心を込めて刺繍をすると、自然と魔力が流れ込んでしまうのかもしれませんね。

 そのまましばらく刺繍をしていき、最後の一針を刺し終え、袋の形に整えていきます。

 中にしっかりと香草を入れ、侍女に香りを確認してもらいますが、問題ないと言われました。

 お母様も悪阻が終わっていますし、香りに問題はないでしょう。

 完成した品物を丁寧に包装したころには、夕食の時間になっており、少々急いで食堂に行けば、私以外の全員が揃っていました。


「遅れてしまい、申し訳ありません」

「問題ない。さあ、席に着きなさい」


 私の謝罪にお爺様がすぐさまそう返し、私に座るよういいました。

 食事が始まれば、会話はほとんどなく食器のなる音が響きます。


「……そういえばヴィヴィアナ」

「はい、お爺様」


 不意にお爺様が言い淀むように言葉を発しました。

 その様子に全員の視線がお爺様に向けられます。


「夕食前に王宮から……というか、皇帝陛下から手紙が届いた」


 その一言に、全員が嫌な予感を覚えました。

 以前、その一言の後に続いたのが王宮に私専用の部屋を作るので、家具や私物、衣類を送るか新しく購入するので選ぶように言って来たと言われました。

 あの時は全員が唖然とし、フロリアナのわがままがきっかけかもしれないけれど、皇帝の暴走があるのは間違いありません。

 教皇にも認められたツインレイを、皇位継承権保有者に次ぐ待遇に置くのは、周囲への政治的アピールもあるでしょうが、どう考えても離さないという執念と、外堀の埋め方の迅速さを感じます。


「内容をお聞きしてもよろしいですか?」


 私の言葉にお爺様は深く息を吐き出した後……。


「今後、王宮に宿泊することもあるだろうから、夜に着用するものも選ぶか持ち込むように、と……」


 その言葉に、全員が一瞬遠い目をしてしまいました。


(フィリー、さっそく皇女殿下か皇帝陛下にわがままを言いましたね?)


 このようなわがままは私的には別に構いませんが、王宮的には何日も検討して決めることのはずです。

 警備とか世話人の手配とかありますからね。

 とにかく即決していい問題ではないはずです。


「それから、明日のオストリオの誕生日パーティーだが……、第一王子殿下と第一王女殿下も参加なさってくださるそうだ」

「「「「………………は?」」」」


 お爺様の言葉に、私たち4人の声が重なりました。

 確かに明日のお養父様の誕生日パーティーには、幾人もの人を呼び、それなりに大きなものではありますが、王族を呼ぶようなものではありません。

 王族を迎えるとなればもう一段回格式を上げるべきでしょうし、そのための準備を今夜中に手配しなければならず、主役のはずのお養父様は疲労困憊で自分の誕生日パーティーに出席することになるのは目に見えています。

 それにたとえ、私がフロリアナのツインレイとはいえ、王族が公爵家とはいえ一貴族の次期当主の誕生日パーティーに出席することは、よほどのことがなければありません。


(これ、どのようにしたらよろしいのでしょうか)


 思わず遠い目をしてしまう私は、悪くないと誰かに擁護をしてほしいですね。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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