正当なる言葉の力
下がりなさい、とフロリアナらしくない言葉に、多くの貴族が驚きの表情を浮かべ、離れた場所から見守っている皇帝たちは満足そうに微笑んでいます。
私はフロリアナがその瞳に強い光を浮かべていることに嬉しくなり、思わずフロリアナを抱きしめたくなってしまいました。
「聞こえませんでしたの? この式典は国事ですわ。マナーを身に着けていない者が参加することは、国家反逆に等しい行いでしてよ。今すぐ家門のものと出ていくか、警備に家門のものと共に追い出されるか、お選びなさい」
下がりなさい、から出て行きなさいに格上げ……格下げ? されていますが、構わないでしょう。
教皇がフロリアナの言葉を止めませんし、皇帝たちも止めに来ませんものね。
アウリティアを見れば、顔を真っ赤にしてフロリアナを睨みつけています。
「こっ……の……! 取り巻きにしかなれないモブ王女の分際で! そこの女が誘拐されなくて予定が狂ったせいで、その女の取り巻きにでもなったの?」
「無礼者」
フロリアナへの侮辱の言葉に、私は思わずそう呟きアウリティアじっと睨みつけました。
「第一王女殿下であるフィリーに対し、そのような暴言……。ただこの場から下がるだけでは許されません。貴女の家門にその責任を負わせます」
ゆっくりと立ち上がりながらそう宣言し、一歩アウリティアに近づきます。
それだけで、ビクリと肩を震わせたアウリティアは一歩あとずさり、足がもつれたのかそのまま尻餅をつく格好で倒れました。
会場のどこかからか「はしたない」「無様ね」と笑い声が聞こえてきます。
私は軽く手を上げ護衛に指示を出すと、「連れ出しなさい」と平坦な声で伝えました。
護衛が指示の通りにアウリティアの腕を取り立ち上がらせると、そのまま腕を引いて私たちの前から下がらせました。
そのまま家門の場所まで連れていくのでしょう。
勝手について来たとしても、入場者がどこのだれかはしっかりと確認されています。
そうでなければ、家門自体がここにいることができませんからね。
いなくなったことを確認して席に座り直した私の手を、フロリアナがそっと握りしめます。
私はその手の上に自分の手を重ね、大丈夫という意味を込めて視線を合わせて頷きました。
私の目を確認したフロリアナも頷き、ふわりと安心したような笑みを浮かべました。
「フッ」
そんな私たちに、アストリアンが小さく笑い声をこぼしました。
何かと思って視線を向ければ、すぐさまその横の教皇が口を開きます。
「タンザナイト公爵令嬢の守護の力はお強いですね。強く青い魔力……神の守護も宿っているように思えました」
教皇がそう言いながら一瞬アストリアンを見ましたが、アストリアンはにっこりと微笑んで私を見たままです。
なんだか、おもちゃを前にした子供のような笑みですね。
「わたくしのヴィアは、神にも興味を持たれるほど優れておりますのね。けれど、ヴィアはわたくしのツインレイですわ」
だから誰にも渡しません。と教皇の質問に答えながらも、アストリアンを睨みつけています。
その様子に教皇は驚きつつも、「それはそれは……第一王女殿下は随分とツインレイが大事なようだ」と笑います。
「当然ですわ、教皇猊下。自分の魂の片割れを愛さない者がおりまして? 大切に決まっておりますわ。ヴィアはわたくしの半身。わたくしはヴィアの半身。ツインレイにしてファタール……すべての世界で唯一の、運命ですわ」
先ほどと同じように会場中に響く声で宣言するフロリアナに、私は思わず笑みを浮かべてしまいます。
私も同じ思いです。私とフロリアナは運命の相手ですからね。
会場の視線が私たちに集まり、フロリアナの言葉に耳を傾けています。
「教皇猊下の前で改めて申し上げますわ。ヴィヴィアナ=オネルヴァ=タンザナイトの言葉はわたくしの言葉。わたくし、フロリアナ=カエリア=アダマンスの言葉は、ヴィアの言葉と同じ重さと意味を持っておりますの」
この国のほとんどの貴族が集まっている中、フロリアナが堂々と宣言し、教皇がゆっくりと頷きました。
「なるほど。お二人は強い絆で……いや、強い運命で結ばれているようだ。神のお導きか、神すら引き裂けないのか……いやはや、素晴らしい」
そして私とフロリアナにきらりと祝福の光が舞い降ります。
教皇が微笑んでいるのを見れば、私たちの関係に対して肯定の意味をかけての祝福なのでしょう。
祝福を受けた瞬間、僅かに私の周囲でパチンと青い光がはじけましたが、教皇とアストリアン以外は感嘆の声を上げ、拍手で祝意を表します。
そしてまた、すっと周囲の音が遠のくと、アストリアンが呆れた顔で「過保護すぎ」とため息をつきました。
今回もフロリアナも引っ張られて同じ空間にいますが、二回目だからか先ほどよりも落ち着いていますね。
「今、ヴィヴィアナを守護しているやつら……まあ、どこかの神だけど、余計な祝福なんかいらない、っていう妨害があった。まあ、僕と教皇以外には、ヴィヴィアナの魔力と祝福が共鳴したようにでも見えたんじゃない?」
と、疲れたように、どこか呆れたようにため息をつきました。
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あ、この作品のPVあります。
見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)
↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




