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もう一人の異物

挿絵(By みてみん)

 教皇は平民の暮らしの向上こそ、国の安定に繋がると話し、この話は皇帝ともすべきだろうと提案します。

 フロリアナは頷き、控えている侍女に今の話を伝えるよう、命じました。

 その後、教皇は平民がどのような苦労をしているかを語り、教会として出来る限りの助力を続けていきたいと話します。

 話している様子を見ると、教皇は賢い善人のようですね。


「えぇ~、雑草をお茶にするとか信じられなぁい」


 不意に聞こえる声に視線を向ければ、前世でひ孫が話していたアニメの…………魔法少女でしたか? それに近いデザインのドレスですね。

 随分大きなリボンですが……かわいらしいですが……。


(派手……いえ、装飾過多ですね……)


 思わずドレスに目が行きましたが、話に割り込んできた人物はアウリティアで、オイドクシ公爵たちはどうしているのかと探しますが、付近にはいないようです。

 子供を放置してなにをしているのかと、憤りが湧きますが、アストリアンがアウリティアを視界に収めると、口元を袖で隠して見えないように笑った気配がしました。


「平民は雑草のお茶を飲めっていうこと? そんなことを教会の偉い人が言うなんて、びっくりぃ」


 ケラケラ笑うアウリティアに、周囲の貴族が眉を顰めます。

 だれも彼女がデビューしていることを知らない。いえ、実際に社交界デビューしていないのですから、ここにいる資格がありません。

 いてはいけない人物がいるという事実は、それだけで式典の品格と、貴族の品位を落としてしまうのです。

 教皇の様子を確認すれば、先ほどとは明らかに違う微笑みを浮かべています。

 絵に描いたような聖職者の笑み。切り替えの早さは流石ですね。


「あ、でもあたしも知ってますよぉ。健康にいいお茶。えっとぉ、ルイボスティーとか、なんかめっちゃいい感じなんですよぉ」


(あぁ、孫が妊娠していても飲めると言っていましたね。飲みすぎは逆に良くないとも言っていましたけれど……)


 過ぎたるは毒。どれにでも言えることですね。

 それにしてもアウリティアは何がしたいのでしょうか?


「あたし、いろいろ健康にいいのに興味があったから、知ってるんですよねぇ。えっとぉ……あ! ホットヨガもいいですよぉ。ラジオ体操とかだっさいのはレベチですぅ」


 アウリティアの言葉の内容は、私はギリギリわかりますが、ラジオ体操は老後の私にもできた、優秀な運動の1つです。

 馬鹿にしないでいただきたいですね。

 孫達はヨガの方がいいとも言っていましたが、老人にあの動きは難しいというか、無理です。

 あら、思考がそれてしまいましたね。アウリティアの無礼さに思わず現実逃避をしてしまいました。


「おやおや、お嬢さんは私も知らない知識を知っているようだ。ここにいるアストリアンと話があうのではないかな?」


 教皇がそう言えば、アストリアンはすっと袖を下ろして、愛らしい子供の笑みを浮かべます。


「ごきげんよう、お嬢様。ずいぶんと不思議なことをおっしゃいますね。るい……なんとかというものはお茶なんですよね? どのような茶葉をお使いですか? 栽培方法は? 精製方法は?」

「は? そんなの知らないけどぉ。適当な樹の葉っぱでしょ?」


 アウリティアの言葉に思わず呆れてしまったのは、私だけではないでしょう。


「そのような曖昧な情報では、そのるいなんとかは入手できそうにありませんね」

「何とかするのが貴族じゃないの? ああ、平民にさせるぅ?」


 笑うアウリティアを止めようとする前に、フロリアナが私の手を握りました。


「マナーを身に着けていないご令嬢。わたくしは貴女を存じ上げませんわ。ここにいらっしゃる資格があるように思えませんわ」


 暗に下がれと言っているのですが、アウリティアに通じるでしょうか?


「プッ。ただのお祭りに参加資格? 子供が遊びに来てるだけなのに、なぁにめんどくさいこと言ってるの? っていうか、……なんで貴女たちがもうそこで仲良くしてるの?」

「わたくしとヴィアが親しくしていることに何か問題がございまして? それに、わたくしとヴィアがツインレイと公言している事、ご存じないのでしょうか?」


 嘲笑うように言うアウリティアに対し、フロリアナが冷静に返す姿に、思わず驚いてしまいますが、握りしめられた手がかすかに震えていることから、勇気を出しているのだと分かります。

 それならば、私はフロリアナの勇気を見守りましょう。


「ついんれいって何? っていうか色々おかしいのよね。まあ、あたしが予定より早く公爵令嬢になれたのはいいけど」


 クルクルと自分の髪をいじりながら言う様子は、やはりマナーに精通しているとは言えませんね。

 前世でも髪をいじりながら人と話すことは、褒められた行為とは言えませんでした。

 年寄りの感覚かもしれませんが、髪は神に通じているのです。

 特に女性にとって髪は命そのもの……。


「話が通じないようですね。では分かりやすくお伝えいたしますわ。下がりなさい」


 フロリアナらしくない厳しい声音ですが、そこには王族らしさが見えました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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