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選ばれたのは誰のもの?

挿絵(By みてみん)

 式典が始まる少し前、タンザナイト公爵家が列席する場所に二つ空席がある事に気づいた貴族たちは、その場にいない私とお婆様がどこになるかを気にしていたそうです。

 その後、到着時のドレスと全く違う衣装を着用し、皇帝の近衛騎士の誘導で入場した私とお婆様に、場内の空気はざわつきましたが、何事もないように着席した私たちに、次第にそのざわめきも収まっていきました。

 それぞれ、心の中で何か考えはするでしょうが、式典の直前でから、大声でおしゃべりをする愚かな真似をすることも出来ず、チラチラと視線を投げかけてくるだけですね。

 そして、王族の入場が告げられ、初めに第二王子と皇女の夫君が入場し、皇位継承権がない王族が座る席の前に立ちます。

続いてフロリアナと第一王子が並んで登場すれば、またもや会場の空気がざわりと揺れました。

 会場の空気に気づいているはずなのに、無表情を貫くフロリアナと微笑みを浮かべる第一王子。

 皇位継承権のあるものが上がれる壇上に用意された席の前に立ち、他の王族の入場を待ちます。

 続いて入場したのは皇后と皇女。皇后は皇帝の正妃ですから、あの位置にいることが出来るのでしょう。

 最後に皇帝と教皇が入場し、式典の開始が宣言され、皇帝と教皇が着席したのを合図に、王族が、そして貴族たちが着席します。

 式典は粛々と進んでいきますが、どこの家がどのようなものを献上したのかを読み上げることはありません。

 ただ、その中で教皇がもっとも興味を持ったものに対し、さらなる技術の向上を願い祝福を授けます。

 どこの家門の献上品なのかは、毎年どこも似たような品物なので、わかりやすい。

 けれども今回選ばれた献上品は、ガラスケースに収められた数種類の茶葉。

 茶葉が有名な家門に視線が集まったが、該当するいくつかの家門もキョロリと視線を泳がせているので、違うのだとわかります。

 そうすれば次はどこの家門なのかとなりますが、ふと視線が祝福された献上品に向けられました。

 再びざわりと揺れる空気。

 茶葉が入っているガラスケースは、従来のものよりも薄い板なだけでなく、上部は前世でいう切子細工が入っており、蓋になる部分の持ち手には鮮やかな青色(・・)琥珀色(・・・)で染められていました。

 今までこの国にはなかったガラス細工(・・)は、従来の分厚く頑丈さを重視するガラス製品しかありませんでしたから、前世風に言えばカルチャーショックを受けたのでしょう。

 ガラス製品と言えば、とオイドクシ公爵家に視線が向きましたが、彼らは彼らで眉間にしわを寄せていました。

 つまり、どこの家の献上品かはその場では全く分からないままだったのです。

 一部を除き、どの家門もどこか落ち着かない心境のまま、式典は何の問題もなく終了しました。

 教皇や皇帝たちが立ち去り、貴族たちも爵位が高い順位に会場を後にします。

 当然、ジュエリアであり当主夫人が元王族であるタンザナイト公爵家が真っ先に退場しますが、オイドクシ公爵家の席を見た時、私は驚きに思わず一瞬目を細めてしまいました。


(なぜ、アウリティア様が?)


 春にある子供のお茶会デビューを終えていないため、アウリティアがここにいていいはずがないのです。

 元平民で子爵家に嫁いだマリッサがわからないのはまだしも、オイドクシ公爵がわからないはずはありません。

 いえ、マリッサも私の乳母として、貴族の基本知識は教え込まれているはずです。

 どんなに家の中で子供のマナーに自信を持っていても、春の子供のお茶会でデビューをしなければ、どのような公式行事どころか他家の催し物に出席することもできません。

 しかしながら現実としてアウリティアはここにいます。


(これは、一波乱ありますね)


 すぐさま何事もなかったようにお養父様について行き、式典後の交流会場に入る前、タンザナイト公爵家用の控室に入りました。

 こういうところがあるのであれば、式典の最中は着て来たドレスを着用し、ここでこの衣装に着替えればよかったのではないでしょうか?


「ヴィヴィアナの迎えはこちらに来ることになっている」


 お爺様の言葉に、私はコクリと頷きます。

 迎えとは、教皇の接待のためフロリアナと共に、教皇が待機している部屋への案内係です。

 前世でも思っていましたが、行事が大きくなると細かいしきたりが多くて面倒ですよね。

 しばらく待っていれば迎えだという年嵩の男性と女性が来ましたが……。


(この衣装は、枢機卿と大司祭ですね?)


 内心でこのような高位の方を案内役に付けるなど、と思いつつも表面上はいつも通り微笑みを浮かべて二人について行きました。

 入ったことのない場所に案内される不安はありましたが、通路には王族の近衛騎士がいることで幾分安心できますね。

 そして到着した部屋に入ると、私は淑女の礼を取りつつ、一瞬見えた銀髪に内心嫌な予感がしました。


「頭を上げて下さい、タンザナイト公爵令嬢」


 教皇の穏やかな声にあげれば、先に到着していたフロリアナの向かいの席に……。


(なるほど?)


 角と翼はありませんが、子供の姿(・・・・)をした星の守護者がにんまりとした顔でこちらを見ていました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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