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ガラス細工への挑戦③

50話目ですってよ!?

挿絵(By みてみん)

 オイドクシ公爵家が経営しているガラス細工店と工房は、随分と短絡的……いえ、効率重視のようで、領地から腕利きの職人をすぐさま呼び寄せました。

 王都に到着した彼らと入れ替わるように、無能な見習い職人は即時解雇となり、契約通り(・・・・)退職金が支払われることもなかったそうです。

 路頭に迷うしかなかった彼らは、王都にあるガラス工房を訪ね、雇ってもらえないかと交渉しましたが、ほとんどのところで人員は足りていると断られました。

 その話を聞いた元の職場の工房主や職人たちは、自分たちの言うことを聞かないからだと笑ったそうですが、最後の希望と彼らが駆け込んだ、経営を始めたばかりの小さな工房にやっと雇われたと知り、落ちぶれたものだとさらに面白おかしく周囲に話を広めたと聞きます。


(小さな工房だからといって、何も知らずに噂を広めていただき、感謝すべきでしょうか?)


 睦月(6月)に入れば、この国にも雨期(梅雨)が訪れ、外出する頻度は自然と減ってしまいます。

 雨期が終われば本格的な夏が始まり、七夕の節句が執り行われます。

 前世では後年になればエアコンという便利な家電が開発され、室内で過ごす分には随分と快適でした。

 今世はそういった類の家電はありませんが、その代わりに魔道具が発達しています。


(とはいえ、燃料になる魔鉱石は高価なものですから、平民にはなかなか気軽に使えるものではありませんけどね)


 しかしながら、タンザナイト公爵家は国一番の魔鉱石鉱山を保有する家です。

 その部分で問題が起きることはほぼありません。


「今回は、孫へのプレゼントを作るにあたり、わしの道楽に協力してくれて感謝する。タンザナイト公爵」

「かまわないさ。こちらとしても、妻が(・・)希望するガラス細工を、優先して作ってもらえるという利点がある」


 事業提携とまでは行かなくとも、家同士の取引ということで行われている、タンザナイト公爵家とコンドロダイト子爵家との食事会。

 せっかくなら家族同士の交流を図るという名目で、両家とも全員が出席している。

 お母様も我が家でならということで、無理のない程度の参加となっており、はじめから和やかな雰囲気が続いています。

 流通や商品開発を管理しているともいえる家、コンドロダイト子爵家(ジュエリア)

 爵位が低くともジュエリアである以上、この国において重要な位置にあることに間違いはありません。


「しかし、今回はそちらから意見をいただけたことで、所属している職人たちから働きやすいと、喜びの声を貰っている」


 コンドロダイト子爵が満足そうに目を細め、ゆっくりと頷けばお爺様は一瞬だけ私を見た後に、視線をコンドロダイト子爵に戻し「いやいや」と笑いました。


「前に、キューブライト侯爵のところのやつが言っていたことを思い出したからな。実験的な意味もあったが、効果が出たなら向こうも喜ぶだろう」


 キューブライト侯爵家(ジュエリア)は、医療や研究に強い家です。

 私の前世の知識からアイディアを得たというよりも、専門にしている家の名前を出した方が説得力はあがりますね。


「とはいえ、やはり工房の一部とはいえ冷えた空気と冷水を維持する魔道具となると、高価になるし、魔鉱石もそれなりに消費してしまうな」


 そう言ったコンドロダイト子爵に、お爺様が「毎年死にかける職人がでるよりはましだろう」と眉を顰めました。

 前世でも、晩年は熱中症が騒がれていましたからね。

 あのような暑い工房では倒れる人が出てもおかしくありません。むしろ、先日短時間見学しただけの私が熱中症になりかけていました。

 服毒されていた毒は解毒されているとはいえ、今世のこの体はあまり丈夫ではありませんね。

 発育不全とまではいきませんが、成長期の子供への服毒はやはり影響が残ってしまうものなのでしょう。

 そのまま和やかに食事会が進み、お母様が少し疲れたというので退席した後、大人たちはまだ話があると場所を移し、子供たちもまた交流するということで場所を移動することになりました。


 子供とくくられたのは、私を入れて4人ですが、その中でジュエリアの資格を持つのは2人だけ。

 私を除けばコンドロダイト子爵家の末孫だけです。

 待望のジュエリアということもあり、私と同い年の彼はコンドロダイト子爵から目をかけられており、厳しく教育されつつも、惜しみない愛情を注がれています。

 琥珀色に近い不思議な黄色の髪と瞳は神秘的ですが、ジュエリアだからなのか、その瞳の奥には常に状況を見据える冷静さを持とうとする矜持を感じます。


「どうぞおかけください」


 先に一人かけ席に座った私の言葉に、コンドロダイト子爵の3人の孫のうち、末孫だけが私から見て右側のソファに座り、上の二人の兄姉は左側のソファに座りました。


(……兄姉であっても、ジュエリアではない2人は序列が下になっているのですね)


 そう思いつつ、コンドロダイト子爵家の末孫を見れば、困ったように口の端を軽く上げられました。

 こんなに幼いのに、苦労しているようですね。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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