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ガラス細工への挑戦①

挿絵(By みてみん)

(わかっていましたけど、暑いですね……)


 工房に案内されると、真っ先に分厚い手袋と防護服、そして分厚いゴーグルをつけられました。

 安全第一、というのはわかります。

 公爵令嬢に小さな火傷でも負わせてしまえば、店は即取り潰し、最悪その背後にいるオイドクシ公爵家とタンザナイト公爵家での賠償問題になります。

 そもそも、工房自体が暑いので、防護服を着こんだ私はすでに汗だくです。

 帰りに着替え用の服を買いましょう。そうしましょう。


「こちらでは、店内に出している商品を作るほか、個別に依頼を受けた品物も制作しています」


 例えばこんなものをと見せてもらったのは壺の形をした容器、前世の基準で言えばどこかガラス花瓶や水差しもありますが、それも無色透明なものばかり。

 ガラスの作り方は……ビードロを作るのをテレビで見たことはありますが、正直分からないですね。

 息を吹きかける、というのは覚えていますが、こちらでも基本的な作り方は変わらないようです。


「もっと細かい細工や、色を入れるようなものはないのですか?」


 布越しなので幾分聞きにくいでしょうが、お養父様が間に入って会話を繋いでくれます。

 現在貴族の間では、透明で厚みのあるガラス細工が人気らしく、私が不格好と思った理由も前世で見ていたものよりも、倍以上の厚みがあったからのようです。

 工房主に細かいガラス細工は作れないのか、もしくは薄いガラス細工は作れないのかと尋ねても、今は予約を処理するので手一杯でそのようなものに余裕はないと言われました。

 その言葉にがっかりしていると、工房の隅で使い物にならないと判断されたものを割ったのか、ガシャンと軽い音と、ガラスを集める音が聞こえてきたので、お養父様に伝えてそちらに向かいました。


「ごきげんよう」

「え? は? え?」


 防護服をしっかりと着込んだ子供に急に声を掛けられ、驚いた職人さんは手にしていた塵取りを落とし、せっかく集めたガラス片がまた散らばってしまいました。

 そのことに申し訳なくなり、素直に謝罪をすれば、逆にこちらに頭を下げられてしまいました。

 再度ガラス片を集めている様子を何とはなしに眺めていると、薄いガラス片や色のついたガラス片があることに気づき、職人さんに再度声を掛けました。


「そちらにあるのは、失敗作……ということですか」

「あ、いや……オレは見習いなんですけど、師匠へ試作品見本で作ったらまあ……はは」


 こんなやわっちいものは使い物にならないと投げ捨てられました。と苦笑する職人の言葉に、私はゴーグルの奥で目を光らせました。


「このような作品を作るのは、他にいらっしゃいますか?」

「え? あ、ああ……まあ、はい。でも、結局使い物にならないって言われてみんな結局、いつも作るようなのを作っちまう……つくる……んす」


 慣れない敬語にどこか微笑ましく思いつつ、もしよければその人たちを集めてタンザナイト公爵家を訪問して欲しいと、お養父様経由で伝えました。

 こういうのを何というのでしたか……青田買い? ……まあ、うまくいけばタンザナイト公爵家専属のガラス製品工房を作れるかもしれませんね。

 オイドクシ公爵家の得意分野? 別に独占販売しているわけではありませんし、他家でも領地でガラス細工販売をしている店や工房を構えているところがありますから、何の問題もありま………………念のため、ジュエリアの1つであるコンドロダイト子爵家には、話をしておいた方がいいかもしれませんね。

 あの家は商業や流通、開発研究を担当していますから。

 そんなことを考えつつ、驚いている職人さんに、お養父様が遠慮なく訪ねて来てほしい。

 若い人と話すだけでもいい刺激になることもあると、穏やかな声で言ってから、そろそろ脱水症状を起こしそうな私を連れて工房を後にしました。


 汗でぐっしょりと濡れたワンピースドレスが不快すぎて、げんなりした顔をしている私を見て、お養父様は何も言わなくても服飾店によってくれ、新しいワンピースドレスを一式購入してくれました。


 後日、勧誘したガラス工房の職人さんは、若手の職人数人でおどおどとしながらも、タンザナイト公爵家を訪問してくれました。

 私は事前にお婆様に(・・・・)お願いして描いてもらったデザイン画を見せ、どのような目的で使うのかも伝えて細かく説明したところ、作れるかもしれないけれど、今の工房との契約上他の工房に移る事が出来ないといわれてしまいました。


(契約は大事ですよね……)


 その言葉に今回は諦めた方がいいのかとため息をついた時、お養父様が「ふむ」とテーブルを指先で軽く叩きました。


「その契約は、具体的にどのようなものかな?」


 にっこりと、見る人によっては安心できるような笑みを浮かべていますが、私にはわかります。

 これは、完全に悪だくみをしている時の笑顔です。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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― 新着の感想 ―
わあ、絶対契約の穴をついて引き抜くやつぅ……(笑)
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