そこになければないそうです?
献上品をどうするかの話し合いから数日後、私はお養父様と一緒に王都にあるガラス細工の専門店を訪れました。
当然のようにオイドクシ公爵家の参加の店ではありますが、王都で一番と言われる店ですから、ハチミツや茶葉を入れる容器を探しに訪れないという選択肢はありませんでした。
とはいえ……
(これが……王都一番のガラス細工の店ですか……)
確かに前世の技術と比べてはいけないとわかっていますが、それにしても味気なさ過ぎるガラス製品に、笑みを浮かべつつも心の中ではがっかりとしてしまいます。
(まあ、私も専門知識があるわけではありませんし、テレビの特集で作っている様子を見たことがあるだけですし、勝手な要求はできませんけどね)
それでも、主に透明なガラス瓶やケースばかりが並び、色付きのガラス製品はほぼなく、あったとしても、私の感覚で言えば趣がない……言葉悪く言えば不格好なものばかりです。
商品をじっくり眺めている私に、店員は子供が手を出して壊すのではないかとヒヤヒヤとみてきますが、触る気もないので安心してください。
タンザナイト公爵家にあるガラス製品を見ても思っていましたが、板ガラスはともかく、細工物の技術はまだそこまで発展していないのですね。
オイドクシ公爵家の得意分野とお爺様は言っていましたが、ヴィヴィアナの記憶をたどっても、ガラス細工が飾られていた覚えはあまりありませんね。
(ビー玉のようなものもないのですね)
店内には本当に実用的なものしかなく、前世で見かけた装飾品などはありません。
(……これからの時期、風鈴の音色などあると嬉しいのですが)
前世を懐かしんでいると、店の扉が開きベルが鳴り、新たなる客が来店したことを告げます。
店内に入ってきたのは……。
(マリッサと…………その娘のアウリティア、ですね)
後妻の連れ子と周囲には話していますが、アウリティアの顔立ちは実父によく似ており、不義の子であるというのは明白ですね。
私が二人に気づいたように、マリッサもこちらに気づきましたが、離婚時交わした契約があるからか、こちらに近づいてくる様子はありません。
それならこちらも関わる必要がないと視線をそらしましたが、不意に「ねえ」と子供の声がこちらに向けられました。
何かと思い振り向けば、アウリティアが訝しげに私を見ています。
「その髪と目……あんた、ヴィヴィアナでしょ? なんでここにいるの? それにその恰好……。はあ? 意味わかんない」
いきなりの喧嘩腰に驚いてしまいましたが、そういえば彼女の中では、ヴィヴィアナは5歳の時のお茶会で誘拐され、下層民として暮らしているはずでしたね。
フロリアナの話だと、アウリティアがオイドクシ公爵家の養女になるのは、お母様が病気で亡くなり喪が明けてすぐ、多少の誤差はあるけれども10歳を過ぎてからだそうです。
ですが、今回はお母様との離婚後比較的早期にマリッサが後妻に入ったため、アウリティアもいつもより早くオイドクシ公爵令嬢になりました。
後妻になるため、本来ならお母様と同じように病死するはずだった前夫と離婚したため、お母様と実父の離婚理由は不倫が原因では、とも噂されたそうです。
それも事実ですけどね。
「…………どちら様ですか?」
タンザナイト公爵令嬢としての品位を示すように微笑んで尋ねれば、アウリティアは眉間にしわを寄せて「アウリティア=オイドクシよ。公爵令嬢に対して平民がその口の利き方はないんじゃない?」と馬鹿にするようにいいました。
私たちのやり取りはマリッサにも聞こえているはずですが、接触しないという契約がある以上、近づくことも出来ず、店員に向かって何かを告げているようです。
「そうでしたか、貴女がオイドクシ公爵家の新しいご令嬢でしたか。ご存じのようですが、私はヴィヴィアナ=オネルヴァ=タンザナイトと申します。タンザナイト公爵家の娘です」
「はあ?」
意味が分からないとアウリティアが声を出したところで、背後から「オイドクシ公爵令嬢。夫人がお呼びです」と店員が声をかけてきました。
マリッサが呼んでいるとなれば、アウリティアもそちらに行くしかなく、私を睨みつけてから店員について行きました。
「大丈夫かい、ヴィヴィアナ」
「お養父様。大丈夫ですよ」
様子をうかがっている気配はありましたので、安心させるように微笑んで振り向けば、お養父様は工房を見学する手はずを整えて来た、と教えてくれました。
なるほど、満足してなさそうな私を察して、工房に直接交渉しようとするつもりですね?
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あ、この作品のPVあります。
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↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
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↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
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