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二人の証④

挿絵(By みてみん)

 フロリアナのお印と私のシンボルの花を決めた日は、最終的には和やかなお茶会をして解散となりました。

あれから五日後、デザイナー達がそれぞれ持ち寄ったデザインを確認するために、私は再びお婆様と王宮に来ています。

 あの日、私たちがいないところで何があったのかは知りませんが、この五日間、お爺様やお養父が毎日のように王宮に出入りしていたので、領地のことでなにか聞かれていたのかもしれません。

 私も専門家ではないので、本当に基本的な生活の知識しかなく、そのすべては家族に話していますから、話を聞くのなら私よりも、お爺様やお養父様となったのかもしれませんね。


(そういえば、そろそろ他人行儀にお養父様ではなく、お父様と呼んであげたらとお母様にいわれていましたね)


 他人行儀でいたつもりはないのですが、どうしても分けてしまうのは、前世の癖なのでしょうか?

 同じ発音でも漢字1つで意味が変わってくる言語でしたからね。

 こちらでは使われている言語は違いますが、ニュアンスが違うことに気づかれているのかもしれません。


(今度、お養父様の誕生日ですから、その日からお父様と呼び名を変更しましょうか)


 せっかくの誕生日ですからね。

 内心でそう言い訳をして、皇女やフロリアナたちが待つ部屋に到着すると、前回のように中に入ります。

 お婆様は皇女とフロリアナに挨拶だけをして、皇帝に話があるとすぐに出て行きました。

 部屋の中にはデザイナーが何人かいて、それぞれ複数枚のデザイン画を持っているようです。

 すでに皇女は目を通しているようで、却下されているらしいデザイン画を、アシスタントが何とも言えない表情で持っています。


「フロリアナはまだ見ていないのですか?」

「ヴィアと一緒に選びたいと思っておりましたのよ。それに、こういうものは、大きなものや派手なデザインなものはよく見ましたが、シンプルで小さくけれども品のいいものとなると難しくて……」


 フロリアナはそう言って皇女に視線を向けました。

 視線に気づいた皇女は軽く首をかしげると、その耳に飾られた品がいいけれども、施された宝石の重量感を感じるイヤリングが軽く揺れました。

 確かに、ああいったイヤリングは私たちのような子供には、ちょっと似合わないですね。

 皇女もそのあたりは理解しているのか、却下したデザイン画は、そういうものも含まれているのでしょう。


「ブローチはこのあたりのものがいいでしょうね。それから、普段使い用のイヤリングのデザインも考えていただけているようです」


 数枚フロリアナと見比べて、お互いの体の横にあててみたり、実際の色味に使う宝石はどんなものなのと聞いたりして、ブローチとイヤリングのデザインを決めていきます。

 最終的にそれぞれ2つにまで絞りましたが、フロリアナの青とピンクのバランスを見て、どちらを優先すべきなのかと頭を抱えました。

 本来であれば、フロリアナのお印のツユクサを強く出したいのですが、色味が青なので私のシンボルと誤解されかねません。

 かといってヨモギの花のピンクを強調してしまえば、私のシンボルなのでそれはそれで問題に……という形になってしまいます。

 デザイナーたちもそこは苦心しているのか、バランスよくどちらも見栄えするようなものにはなっています。


「フィリー……このままでは決まりませんね」

「そうですわね」


 私とフロリアナは視線を合わせて頷き合うと、イヤリングとブローチのデザイン画をそれぞれ手に取りました。

 そしてすっと裏返してから、作成したデザイナーを見た後、デザイン画の裏面に視線を戻して目を閉じました。


(前世で培った経験……というのもおかしな話ですが)


 フロリアナと手を握り合い、デザイン画の上にもう片方の手をかざしました。

 自身と引きあうものは、その姿かたちが分からなくても、何かを感じる。前世で私の母親はそう言っていました。


「「……これと、これ」」


 二人で同時に同じものを手に取り、目を開いて表を向ければ、シンプルなデザインのブローチとイヤリングでした。

 意見が一致したことに安どしていると、皇女が素早く選ばなかったデザイン画を回収し、何かを考えたように見るとさらさらと横に絵……いえ、デザインを描き始めました。


「……こちらのデザインは、このように紋章に流用してはいかがかしら? いいデザインですし、このまま却下してしまうのは勿体ありませんわ」


 綺麗に描かれた紋章の基礎案に、絵心のない私は感心してしまいます。

 ただ、中央に描かれた二人の女性には少し違和感を覚えたので、その部分を変更してもらうよう提案しました。


「フロリアナとヴィヴィアナの二人をイメージしているのですが、他にどのようなイメージがよろしいのかしら?」


 皇女の言葉に、私は不意に真っ白な世界樹が頭の中に浮かびました。


「……白い、大樹……」


 ぽつりと無意識に呟いた私の言葉に、皇女は「なるほど」と頷きました。

 即座に対応して描き直していくのはもはや才能ですね。羨ましいです。

 出来上がった基礎案をデザイナーに戻し、正式な紋章のデザインに手直しし、皇帝に提出するように伝え、デザイナーを下げた皇女は、「ところで」と私に視線を向けました。


「習い事に絵画を追加するつもりはありまして?」

「………………ない、です」


 いくら練習しても、身につかないものというのはあるのですよ。



紋章(左)とブローチ(右)

挿絵(By みてみん)


イヤリングのデザイン

挿絵(By みてみん)

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あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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