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二人の証③

挿絵(By みてみん)

 フロリアナの言葉を確認した皇帝は、「ならばよい」と頷くと、私に向かって「これからは、いつでも事前連絡なしに王宮に来ることを許可しよう」と言い出しました。


「お兄様!?」


 お婆様が驚いたように皇帝を見ますが、意見を変える気はないようで、手のひらを上向きに出せば、その手のひらにパパラチャ侯爵が許可証をそっと乗せました。

 金色のプレートは確かに王家の紋章が描かれており、いかなる場合でも王宮への出入りを許可する、と記載されています。


(出入り可能な範囲はフロリアナと同じ……ですか)


 そもそも、フロリアナが立ち入りを許可されている場所を詳しく知らないのですが、そのへんはあとで確認をすればいいでしょう。

 問題は、このようなものを貰ってしまったことです。

 すっとテーブルの上を滑らせるように私のところに置かれた許可証に、思わずどうしたものかと眉を寄せかけましたが、小さく息を吐くことでなんとか押さえました。

 お婆様を見れば、諦めたように受け取りなさいと視線で伝えてくるので、私は小さく頷いた後……。


「ありがたく受け取らせていただきます」


 と、どこか疲れを滲ませた声が出てしまったのは、気にしないで欲しいとことですね。


 その後、皇帝は執務があるということでパパラチャ侯爵と共に退室し、お婆様もそんな皇帝に話があると言ってついて行ってしまいました。

 私はフロリアナに王宮で出入りを許可されている場所を詳しく聞き、立ち入ってはいけない場所、注意しなくてはいけない場所もしっかりと聞いておきます。

 そんな私たちの様子を皇女は静かに見守っていますが、時折何かを確認するように目の奥が鋭い光を持つのが気になりますね。

 確認を終えた私が、一息入れようとカップを手に取りミルクを一口飲んだタイミングで、皇女が「前世、でいいのでしょうか」と尋ねてきました。


「はい」


 頷くと、皇女も「そうですか」と頷きましたが、そのあとフロリアナに視線を移すと、「では、フロリアナは?」と微笑みました。

 その言葉に、フロリアナはヒュッと息を飲み、私は静かに息を吐いて皇女を見つめます。


「フロリアナの言ったことに間違いはありませんわ。ただ、……説明したことのない場所も含まれていましたが、どうしてなのでしょう? ヴェスペリオンが教えましたの?」


 静かに、けれども逃げることを許さない口調の皇女に、フロリアナが緊張しているのがわかります。

 ゆっくりと息をする音すら聞こえそうな静けさは、皇女という権力者の品格を感じ取ることができ、フロリアナは何度かゆっくりと呼吸を繰り返し、「わたくしは———」と言いかけたところで、「まあ、よろしいですわ」と皇女がフロリアナの言葉を遮りました。


「ヴェスペリオンが妹可愛さに教えた、ということにいたしましょう。知っていて困るものではございませんし、むしろ知っていた方がいいことですわ」


 おそらく私に説明する際に、まだ今のフロリアナが知っていないはずの知識が混ざっていたのでしょう。

 ループを繰り返していると、こういった混乱もあるのですね。

 フロリアナ本人が周囲に明かすのならかまいませんが、そのうではないのなら気を付けなければいけないでしょう。


「……話は変わりますが」


 不意に皇女が明るい声で総話題を切り替えます。


「フロリアナのお印はツユクサとして、本来はそれだけで紋章作るものです。ですが今回ばかりは、ヴィヴィアナのマグワート……、いえ、ヨモギを組み合わせたものを紋章にした方がいいと思いますわ」

「それは……大丈夫なのでしょうか?」


 皇女の話に、私は思わず疑問の言葉を口にしてしまいました。

 お印の紋章は、本来他の草花を入れない、自分のお印だけで作るものなのです。剣や矛、盾などはありますが、他の草花を入れるということはないはずです。


「大丈夫というよりも、そうすべきと言ったほうがいいですわね」


 皇女の言葉に、私とフロリアナは思わず顔を見合わせてしまいました。


「フロリアナとヴィヴィアナはツインレイ(・・・・・)であると公言しましたわ」


 それに関しては事実なので素直に頷きます。

 私たちの反応に皇女は満足そうに微笑み、「だからこそ」と言葉を続けます。


「ヴィヴィアナを守るためにも、お印にヴィヴィアナのシンボルを入れるのです。二人は同格であると、周囲に改めて示すために」


 はっきりと守ると言われ、私は純粋に驚いてしまいます。

 ジュエリアである私は、フロリアナを守る立場ではありますが、守られる立場になるとは思っていませんでした。

 その考えが表情に出ていたのでしょうか、皇女はクスっと私に笑いかけました。


「いくら前世が92歳まで生き抜いた方でも、今のヴィヴィアナは6歳の子供です。守られて当然の存在だと自覚してくださいね」


 どこかお母様に似た表情で言われ、私は何も言えなくなってしまいました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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― 新着の感想 ―
>お婆様 「お兄さま、ちょっと」とニコォ……と満面の笑み(ただし目は笑ってない)で声をかけて入っていった執務室の扉が閉まるんですね、わかります その後の悲鳴? 周りの人達は何も聞いていません、いいね?
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