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守るべき在り方

挿絵(By みてみん)

 この体の中に、本来のヴィヴィアナのものではない魂が入っていると言った瞬間、お婆様とフロリアナ以外の視線が鋭く私に突き刺さりました。


「魔法かなにか……かね?」


 皇帝の静かな問いかけに、私はゆっくりと首を横に振りました。

 そして、私はタンザナイト公爵家の家族にした説明と同じ話を、ゆっくりとした口調で話し始めました。

 前世は92歳まで生きた女性であったこと。

 神の要望でフロリアナを守るためにこの世界にやってきたこと。

 なにも動かなければ、ヴィヴィアナもフロリアナは誰かに殺されてしまうこと。

 目的はただ、フロリアナと最後まで一緒に生き抜くこと。

 伝え終わると、皇帝は深く息を吐き出し、「いつから?」と尋ねてきました。


「昨年の春のお茶会の日です。あの日、お茶会に参加していたら、私は父親と当時乳母であったマリッサが用意した誘拐犯に、拉致されてそのまま貧民街に捨てられるはずでした」

「……そして死ぬ予定だった?」

「いえ、捨てられたおよそ10年後に第二王子殿下が偶然ヴィヴィアナを見かけ、ジュエリアの瞳であると気づきタンザナイト公爵家に報告をして、オイドクシ公爵家(・・・・・・・・)に戻ることになります」

「そうか」


 皇帝はどこかほっとしたように言いましたが、「戻った時にはお母様は毒で死んでおり」と続けた私に、驚いたように目を大きく開きました。


「後妻になったマリッサと、養子となった令嬢が大きな顔をする家で、ヴィヴィアナは再び毎日少量の毒を盛られながら、地獄のような生活が始まります」


 それでも、本来のヴィヴィアナは毒に気づかず、明るく天真爛漫に周囲を魅了していったのでしょう。

 正しい星暦であれば、悪役であるマリッサやオイドクシ公爵令嬢、そしてジャキルピット男爵令嬢は制裁を受ける。

 フロリアナも死なずに平和な未来が続くはずだったのです。

 それが、歪められた結果……フロリアナは今まで、長い間ループを繰り返すことになったのです。


「毒は……オイドクシ公爵夫人の得意技かなにかなのか?」


 呆れたように言う皇帝に、「どちらかと言えば、ヴィヴィアナの実父が真犯人でしょう」と言いました。

 愛人であったマリッサに毒を渡していたのは実父でした。

 徐々に体を弱らせ、拉致をする際に抵抗できない体にして、貧民街ですぐ死んでしまう体にするように。

 そして、ヴィヴィアナがいなくなり精神的に弱ったお母様にも、同じ毒を飲ませ続け、ゆっくりと死に追いやる予定でした。


「毒を盛っていた乳母を罪に問わないことも、不思議だったが……なぜだ?」


 皇帝が私ではなくお婆様に視線を向けました。


「後ろにいるのがオイドクシ公爵だとわかったので、旦那様はオイドクシ公爵家をつぶすことを考えましたわ。けれど……」


 お婆様の目が細められ、冷たい光が浮かび上がります。


「愛人が毒を盛っていて、それを実父が容認していた。そんな、哀れな娘にヴィヴィアナをすることなど、できませんでしたのよ」


 哀れみの目など、孫娘に向けさせない。そう意志を込めたお婆様の視線に、皇帝は「なるほどな」と頷きました。


「オイドクシ公爵や後妻……養女になったものだけではなく、オイドクシ公爵家の関係者すべてのものに、レスレクシアとヴィヴィアナへのいかなる接触を許さず、権利の主張も許さないとしたのは、そのためか」


 ことを荒立たせないことを引き換えに、今後一切の関与を絶つ。

 普通であれば受け入れることが出来ない条件でしょうが、毒を盛っていたという事実を前に受け入れるしかなかったようです。

 王家の血を引く人間を2人も殺そうとしたのですからね。

 普通であれば待っているのは死罪です。

 自分たちの命を天秤にかけ、ヴィヴィアナへの接触と権利の主張を放棄を選ぶのは当然でしょう。


(ですが……)


 アウリティアは必ずヴィヴィアナ()に接触をしてきます。

 その時どうなるかは、それこそ…………。


(神のみぞ知る……ですらない、正しい星暦が待っているだけですよ)


 内心で薄暗く笑うと、「あいわかった」と皇帝が息を吐き出しました。


「夢物語というには、生々しい。それに、ヴィヴィアナの知識と思えるものを考えれば、享年92歳というのも…………信じがたいが信じよう」


 その後、小さな声で皇帝が「儂より年上かぁ」と呟きましたが、そこは諦めていただきましょう。


「ありがとうございます」


 丁寧に頭を下げた私を見たあと、皇帝はフロリアナを見ました。


「フロリアナ」

「……はい」

「この話を聞いてなお、お前はヴィヴィアナをツインレイとするのだな?」


 とはいえ、公言した以上撤回は出来ないと皇帝が無言の圧をかけましたが、フロリアナは私を見つめた後、しっかりと皇帝を見つめ……。


「わたくしは今の(・・)ヴィアを信じ、最期まで共に逝くと決めていますわ」


 恐れくこれまでで一番まっすぐ皇帝に向けて放たれたフロリアナの言葉に、皇帝はふわりと優しく微笑みを浮かべました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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