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二人の証②

挿絵(By みてみん)

 結局、どちらも野草ではありますが、皇帝が「野花も花に変わりなし。むしろ平民への印象はよいものになるかもしれない」と、笑って受け入れたため、フロリアナのお印はツユクサに、私のシンボルはヨモギの花になりました。

 薬師の描いた図と、図鑑の絵を参考に、デザイナーが一斉にそれぞれその場でデザイン画を描いていきます。

 さすがはプロですね。あっという間に様々なデザインが出来上がっていきます。

 やはりブローチにした方がいいという考えのようで、様々なブローチのデザイン画を見比べていきます。

 時折、フロリアナが質問をしたり変更箇所を指摘したりするのを見て、私と違いセンスがあるのだと感心してしまいました。

 こういうのはやはり才能の差ですね。


 最終的に、子供が付けていてもおかしくない、けれども成長しても使用し続けられるデザインのものに決まり、デザイナーたちが地金や宝石の種類などを話し合っていきます。

皇帝が土台は最高級の純金を出すと譲らず、お婆様と皇女もせっかくなら、花の部分にはタンザナイトとペツォッタイトを使おうと言い出しました。

 その言葉に、デザイナーの口元が引きつったのが見えましたが、フロリアナが乗り気になってしまったので、私は止めることはしませんでした。

 止めたところで、無駄でしょうしね。


「で、ではこちらのデザインで……素材は……」

「うむ、あと届けさせよう。最優先で作るように」

「はっはい」


 皇帝の言葉に笑みを浮かべて頭を下げるデザイナーですが、顔色が悪いですね。

 それはそうでしょう。

 王家御用達とはいえ使用する純金や宝石を考えれば、国宝レベルかもしれませんからね……。

 デザイナーたちが部屋を出ていき、様々なものが手早く整えられると、皇帝が改めてにこやかに私を見ました。


「さて、ヴィヴィアナ」

「なんでしょうか、皇帝陛下」

「他人行儀だな……お爺様と呼んでくれていいぞ」


(…………既視感が?)


 そう思いながらフロリアナを見ると、なにかを諦めたような視線を向けられ、かすかに首を横に振られました。


「……恐れ多いですし、私のお爺様が拗ねてしまいますのでご遠慮申し上げます」


 心の中で引き合いに出したお爺様に謝罪しつつ言えば、皇帝が「あいつは拗ねると面倒だしな」と諦めてくれました。

 お爺様、面倒ってなにをしたのですか?


「……………………よし、わかった」


(なにがわかったのでしょう?)


 いつかの再現のように、その場にいた全員の心が一致したように感じました。


「今後は大伯父様と呼ぶように。実際大伯父だからな」


 ああ、なるほど。さすがの血筋ですね。

 確かに血縁上大伯父ですから、間違いではないのですが、人前で大伯父様と呼ぶのは、第一王子をヴェスペリオンお兄様と呼ぶ以上に、難易度が高いですね。


「……私的な場所であれば」


 せめてもの妥協として口にしましたが、皇帝は気に入らないのか目が笑っていない笑みを向けてきますが、こちらも引くわけにはいきません。

 にこにこと笑みで見つめ合っていれば、フロリアナがグイッと私の腕を引いて引き寄せました。


「お爺様。ヴィアに無理を言うのでしたら、わたくしもお爺様と呼ぶのをやめますわ」

「なっ!?」


 フロリアナの言葉に、皇帝はわざとらしく座りながら器用によろめくと、「わ、わかった」と力なく頷きました。

 なんとかうまくまとまったとほっと息をつくと、「それで」と急に皇帝が表情を厳しいものに変えました。


「ルクシオンから聞き出したが、タンザナイト公爵領の実験的酪農計画だが……ヴィヴィアナ発案だそうだな?」


 急な話の切り替えに、お婆様がピクリと目の端を持ち上げ皇帝を見ましたが、皇帝の視線は私に向けられたままです。


「6歳……いや、提案をしたのは5歳の時だったか? さてはて、その知識はどこから来たものなのか……」


 目を細め、執政者の顔をする皇帝に、私はお爺様たち家族に私の前世を打ち明けた時の緊張感を思い出し、知らずにゆっくりと深く息を吸い込みました。


「髪の色も、目の色も報告から変わっていない。つまりアダマンス(皇族)への忠誠を失ったわけでも、裏切り行為を行ったわけでもない。何が起きているのか、この爺に教えてくれるか?」


 問いかけている口調ですが、拒否は許されていない。その空気にフロリアナが隣で不安そうに私の手を握ってきますが、安心させるように一瞬フロリアナに視線を向け微笑み、皇帝に視線を戻します。


「そうですね、それは……」


 言いながらちらりと侍女たちの方に視線を少しの間向ければ、皇帝が軽く手を上げ侍女や侍従、それだけではなく護衛の兵士も部屋の外に出してくれました。

 パパラチャ侯爵は残っていますが、この場には言ってしまえば身内だけが残りました。


「これからいう事は、どうぞ子供の夢物語と思わないでいただきたく存じます」


 今まで以上に、自分でも落ち着いた声音と話し方だと思いましたが、信じてもらうためには必要なことでしょう。


「……この体の中に入っているのは、本来のヴィヴィアナの魂ではありません」


 静かな部屋の中に、私の声が重く響きました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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