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こればかりはどうしようも…

挿絵(By みてみん)

 あれから30分ほどの時間を使い、ヨモギが薬効効果のあるハーブであり、食用にもなり、なおかつ花も咲くことを説明すると、やっと納得してくれたのか、雑草ではないと理解してくれました。

 その後、デザイナーがどのような花が咲くのかを尋ねてきましたが、口で説明するのはなかなか難しく、絵で伝えようとは思ったのですが……。


「ヴィア……あの、これ……は?」

「ぅ……その、私には絵心がなくて……ですね?」


 ヨモギの葉はなんとか形になって……いませんが、なんとなく伝わると信じたいです。

けれども花は……、我ながら麦穂のようにしか見えませんね。

 いえ、目の前にあれば私でも、もう少しまともに描けたはずです……多分……。

 私の無言の敗北を察したのか、皇女がお付きの侍女に、薬草図鑑を図書室から取ってくるよう指示を出してくれました。

 待っている間、フロリアナのお印の花を何にするかの話し合いになりましたが、私がヨモギの花は少しくすんだピンク色と言ったからなのか、自分は青い花のお印がいいとフロリアナが譲りませんでした。

 青い花は多くありますが、薔薇のようなあまり派手なものは、フロリアナにはあまりに合わない気がしますね。

 どちらかと言えば、野花のような小さく可憐な……。

 いえ、けれども皇位継承権を持つフロリアナに野花を勧めるのも、なんだか気が引けてしまいます。


「スカイブルーセージにデルフィニューム……ここ5代以内に使用された青い花のお印はこのぐらいでしたわね?」


 皇女が思い出しながら口にすると、皇帝が頷きました。

 つまり、その花は出来るだけ使わない方がいいということですね。

 となると、桔梗やヒヤシンス、リンドウがいいのでしょうか?

 皇帝も席に座り、どんな花が似合うかと話し合っていると、やっとの思いで目的の薬草図鑑を探してきたのか、侍女の一人がどこかくたびれた様子で戻ってきました。

 抱えて来た本は3冊で、一つは有名な花の図鑑、他は薬剤師が使用するような専門的な薬草図鑑に、庶民の間で使用される薬物図鑑のようです。

 三冊の図鑑を皇女の前に置いた侍女は、音もなく壁際に下がると、ふぅと小さく息を整えました。

 なんだか私の画力がないばっかりに、申し訳ないですね。


「マグワートは……こちらの図鑑でしょうか?」


 皇女が手に取ったのは庶民の間で使用される薬物図鑑ですね。

 ええ、普段皇族が読む機会のありそうな、花の図鑑や薬草図鑑に載っていれば、覚えがありまよね……。

 しばらく図鑑をめくっていた皇女の手が止まり、じっとそのページを確認していますが、しばらくして「ふぅ」と息を吐き出してから、そのページを全員に見えるように広げてテーブルの上に置いてくれました。


「……残念ながら、花の形状は描かれていませんわね」


 その言葉に、何とも言えない沈黙が流れます。


「ゴ、ゴホン」


 沈黙を破ったのは、一人のデザイナーの咳払いでした。


「ま、まずは第一王女殿下のお印を決めてはいかがでしょう。その間に……そ、そうですね薬師であれば、マグワートの花の形状を知っているものがいるのではありませんか?」


 聞いてみるのはどうでしょう。という提案に、全員が頷くしかありませんでした。

 ちなみに、お婆様もヨモギの花は見たことがありません。

 その前に摘んで食用にしてしまいますからね。


「ヴィアは、わたくしにおすすめの花はありまして?」


 フロリアナの言葉に、私はいくつか思い浮かべますが、どれもなんだか違う気がして、なかなか答えられません。

 可憐だけれども強く、儚げでもありながらしっかりと根付くそんな花……。


(それで青、ですか……。ネラフィモ……勿忘草……ニゲラ……)


「……ツユクサ?」

「それは、どんな花ですですの?」


 私が小さく思いついた花の名前、ツユクサを聞き逃さなかったのか、フロリアナが首をかしげて言うので、私はこちらで何というのか必死で思い出します。


「ええと………………デイフラワー、でしたか?」


 必死に絞り出した名前に、フロリアナは困ったように眉を寄せ「存じませんわ」と首をかしげました。

 …………ツユクサも美味しい食用の植物なのですが、やはり知らないのですね。

 私の言葉に皇女がもう一度図鑑を手に取り、探し始めました。

 今度は見つかったようで、「なるほど」と頷いています。


「かわいらしい……野花ですわね」


 精一杯のフォローのような言葉に、なぜか申し訳なくなってしまうのはなぜでしょうか。

 そしてお婆様、その呆れたような目を向けるのはどうかお許しください。

 前世での癖がどうしても抜けず、派手な花よりも野花を愛でてしまう思いが強いのです。

 美味しいものも多いですし……。

 皇帝も何とも言えない表情で私とフロリアナを見てきますが、気づかないふりをしてにっこりと微笑めば、なぜか満足そうに頷かれました。


 そしてそれから1時間後、薬師からマグワートの花の図を貰って来た侍女が、疲れ切った様子で皇女に絵図を渡しました。

 薬師のところで、何かあったのでしょうか?


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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― 新着の感想 ―
食べられる野草ばっかりかーい!(笑) まあ他所様には農耕に適さない土地を抱えている領地持ち貴族なら野草栽培や酪農にシフトも已む無しと(だから詳しいんだと)主張は出来るかもな……
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