二人の証①
お茶会から一週間経ち、私は再び王宮へとやってきました。
もちろん、フロリアナと一緒に普段使いできるアクセサリーのデザインを考えるためです。
ただ、流石にあのドレスは着用できませんが、皇女よりお揃いのアクセサリーができるまで、皇帝から贈られた髪飾りを身に着けて王宮に来るように言われており、私の侍女が今朝から張り切って髪を結ってくれました。
「お婆様、お付き合いいただきありがとうございます」
「構いませんわ。わたくしもお兄様に少しお話しがありましたのよ」
普段、自分はもう嫁いだのだからと、皇帝のことを「皇帝陛下」と呼ぶお婆様が珍しく「お兄様」と呼んだことに驚きつつ、圧を感じる笑みに、まだお会いしたことのない皇帝の無事を祈ってしまいました。
迎えに来た侍女に従って歩いていく途中、前回とは違い私に対する嘲笑の視線は随分と減っています。
嫉妬の視線は増えていますが、そこは仕方がないでしょう。
王宮の奥まで案内されれば人は格段と少なくなり、目に入るのは護衛の兵士や執務官、もしくは侍女や侍従になります。
王宮にもメイドはいますが、主人のお世話をするのは侍女になりますから、メイドは表立って仕事をすることはほとんどありません。
それぞれの部屋に行けばいるかもしれませんが、メイドは下働きという意味合いが王宮では強いですね。
案内をしてくれた侍女が一つの部屋の前で足を止め、ノックをすれば中から確認の声がされ、私が来たことを告げると、静かにドアが開けられました。
開いた扉の向こう側には、無表情から私の顔を見て一気に笑みを浮かべたフロリアナと、そんなフロリアナを見て驚いたように目を丸くしたデザイナーらしき人のほか、数人の侍女や壁際にいるメイド、アシスタントと思われる人がいます。
「ごきげんよう、フィリー」
「ごきげんよう、ヴィア。さあ、こっちにいらして」
自分が座っているソファーの隣に手を置き、ここに座って欲しいと促すフロリアナに微笑みつつ、私は当然フロリアナの隣に腰を下ろしました。
ふむ、髪型は違いますが、フロリアナもお揃いの髪飾りをつけているのですね。
確認したさい、フロリアナとしっかりと目が合ってしまい、お互いにクスリと笑ってしまいました。
どうやら同じことを考えていたようです。
「お養母様が、王室御用達のジュエリーデザイナーを紹介してくださいましたの。でも、お揃いのアクセサリーや持ち物だとなにがよろしいのかしら? わたくし、こういうものは初めての経験でして……ふふ、なんだかワクワクしておりますわ」
「まあ、フィリーの初めてを私が貰ってしまいましたね」
二人でクスクス笑っていれば、部屋の中は何とも言えない和やかな雰囲気に包まれました。
……いえ、アンディア様が無表情を浮かべながらも目が爛々としていますね?
大丈夫でしょうか?
(お揃いのもの……前世だとお揃いの組紐や巾着袋、それこそ髪飾りや根付け……。いえ、孫たちは何かもっとハイカラなものを……)
フロリアナと同じく、お揃いと言われてもこの世界の基準で考えると何がいいのかわからず、一緒に「うーん?」と首をかしげていると、「恐れ入りますが……」とデザイナーの一人が丁寧に頭を下げて発言の許しを求めてきました。
「なんでしょう?」
フロリアナが発言を許可すれば、デザイナーは顔を上げ「お二人のご年齢なら」と前置きをした上で……。
「髪飾りがやはりよろしいかと存じます。指輪やブレスレットはお二人のご年齢ならすぐご成長なされ、サイズが変わってしまいますし、ネックレスなども同じでしょう」
その言葉になるほど、と二人で頷きました。
「もちろん、ブローチもよろしいかと存じます。お二人は個人の紋章をお持ちでいらっしゃいますか?」
「いえ、私は持っていません……よね?」
確認のためお婆様を見ると、頷いてくれたのでデザイナーに視線を戻し、やはり持っていないと視線で頷きました。
「わたくしは……あった……というか、できるはずというか……今はまだないというべきでしょうか?」
皇位継承権のある王族には個別にお印の花が決められており、それを使用した紋章があるとお婆様に聞いたことがありますが、この様子では今回はまだ紋章は決まっていない状態ということなのでしょう。
ループの影響もあってか、本人も少し混乱しているようですね。
「ではこういうのはいかがでしょう。これを機会にタンザナイト公爵令嬢もお印の花をお決めになり、お二人の花を合わせたデザインでブローチを作るのです」
「まあ!」
フロリアナは素晴らしいと手を叩いて目を輝かせましたが、私は思わずお婆様を見てしまいました。
お印の花は皇位継承権を持つ証とも言えます。ツインレイとはいえ、簡単にお印の花を決めることはできません。
お婆様もそのことを理解しているので、同じように困ったように眉を寄せています。
「……第一王女殿下、申し訳ございません。お印の花は皇位継承権を持つ方に許された特権。ヴィヴィアナが安易に持ってよいものではございませんわ」
「あ……」
お婆様の言葉に、フロリアナがシュンと無表情に戻ったところで、部屋の空気が一気に重くなってしまいました。
けれどもこればかりは……。
デザイナーも空気を察し、「では別の」と言いかけたところで、壊さんばかりの勢いと音を立ててドアが突然開け放たれました。
咄嗟にフロリアナを庇うよう体勢を取りましたが、現れたのは———
「よいではないか!!!」
ハニーブロンドとペツォッタイト色で瞳を持つ、壮年の男性でした。
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あ、この作品のPVあります。
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↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




